2026年2月22日

ウルフマン

(原題:Wolf Man)(ニュージーランド,2025)

最愛の娘ジンジャーとジャーナリストの妻シャーロットと暮らすブレイクのもとに,数か月前に行方不明になった,オレゴンの田舎に暮らす父親の,死亡宣告書が届いた。最近夫婦仲がギクシャクしてきたと感じているブレイクは妻に,娘とともに三人で,実家の整理ついでにオレゴンの雄大な景色を見に行こうと誘う。しかし,トラックで向かう途中,まもなく家に着く直前で,獣らしきものに襲われる。その獣は確かに,二本足で立っていた。

感染によって発症する,徐々に獣のような顔と身体になっていく病気。先住民たちはそれを「マインガン・オデングワン」(狼顔)と呼んでいる。

タイトル通り,狼男です。あんまり美しくない,グロテスクな狼男です。月夜の晩とは関係ない(つまり呪いでも神罰でもなんでもない),まぎれもない感染症なので,徐々に症状が「悪化」していくところが痛々しい。嗅覚・聴覚・視覚などが段々おかしくなっていく様子や,うまく話せなくなっていくところや,たぶん,脳にも影響が生じていくようで,突然自分の腕を喰っちゃうし(狂っていってるんでしょうね),自分で足もかみちぎっちゃうし,もう大変なことになってます。

「狼男アメリカン」をまた観たくなりました。

★★★



2026年2月19日

カッコウ

(原題:Cuckoo)(ドイツ/アメリカ,2024)

うーん,分かったような分からんような。

変な映画。これはいずれカルト映画になるな,たぶん。

★★


死の瞬間:人はなぜ好奇心を抱くのか

春日武彦 2024 朝日新書

改めて,春日武彦の文学や漫画や映画に関する造詣の深さに驚嘆。


2026年2月9日

聴くということ:精神分析に関する最後のセミナー講義録

エーリッヒ・フロム(著)堀江宗正・松宮克昌(訳) 2012 第三文明社

フロム死後に出版された晩年の講義録集。これはたいへん勉強になりました。私は臨床はやりませんが,心理臨床家は当然,これ,読んでるんだろうね。読んでないなら,読むべきだね。

精神分析と禅,あるいはマインドフルネス,そして武術。まさかフロムが太極拳をやっていたとは知らなかった(笑)。身体への気づき,リアリティ,being,今ここに在ること。ナルシシズムへの気づき。まさに我執,私へのこだわりへの気づき。非常に仏教的です。

精神分析とはどうあるべきかに関してフロムが至った最晩年の思想がここに書いてある。これはそのまま,カウンセリングとはどうあるべきかと読み替えても良いのではないだろうか。無論,ロジャース的なアプローチには異を唱えていますが,純フロイト派の精神分析にも異を唱えていて,カウンセラーという立場の人間が,クライアントにどう向き合い,クライアントと何を話すべきなのか,そんなこんなが,講義録特有の話し言葉で書かれています。名著です。私は臨床はやりませんが。


2026年2月1日

ザ・ゲスト

(原題:The Guest)(アメリカ,2014)

サイコ・ホラー?

ある日,戦死した息子の戦友を名乗る男が一家を訪れる。

深いかなぁと期待したけど,なんか浅いな~。もっと設定を練り切ればいいのになぁ。中途半端。無茶苦茶する割には,最後のクライマックスもなんか急にショボいし。そもそも理由や目的がよく分からないし。

★★



2026年1月29日

ジェイコブス・ラダー

(原題:Jacob’s Ladder)(アメリカ,2019)

『ジェイコブス・ラダー』(1990)のリメイク。1990年版は見てません。リメイクするぐらいだから,1990年版がけっこう面白い映画だったんじゃないかなぁ。1990年版を先に観た方が良かったかな。

2019年版はアフガン?からの帰還兵のPTSD。幻覚と妄想で混乱し始める外科医師ジェイコブ。1990年版の方は,ベトナム帰還兵で郵便局員。

「ヤコブの梯子」は,旧約聖書の創世記28章に出てくる,天国へ伸びる梯子のことらしい。「天使の梯子」とも言う。これは,あの,雲間から差す太陽の光の筋のことですね。

★★★


サブスタンス

(原題:The Substance)(アメリカ/イギリス/フランス,2024)

うひょー。見てしまった。キモコワ。老若と美醜。名声と幸福。欲望と現実。存在と意味。実体と実存。デミ・ムーア怪演。

★★★★


2026年1月17日

リアリティ

(原題:Reality)(アメリカ,2023)

仕事終わりにスーパーに寄ってから軽自動車で自宅に帰ると,突然,二人の男に呼び止められる,小柄な白人女性のリアリティ。男二人はFBIだと名乗ってバッヂを見せ,家宅捜索の令状が出ているから家に入りたいと言う。家の中に他に人はいないか,武器は置いていないか,矢継ぎ早に質問をしてくる。やがて応援のFBIも駆けつけ,自宅の周りには黄色い「立ち入り禁止」のテープが張り巡らされる。一体何がどうして?

[以下,ネタバレ]

2016年のアメリカ大統領選挙へロシアが介入した疑惑に関する機密情報を漏洩した罪で,懲役5年の刑に処せられた,国家安全保障局(NSA)の職員リアリティ・ウィナーの事件を映画化したもの。

この事件そのものを知らなかったので,何が疑われてるのか,何かの間違いではないか,何が本当なのか分からなくて,見ていてドキドキしました。だんだん暴かれていく真実が怖い。リアリティを演じたシドニー・スウィーニーの演技も素朴な感じで非常に良い。

逆に,事件を知っているであろうアメリカ人は(ニュースや新聞を見ないから知らないアメリカ人もいるだろうけど),これをどう見たんだろう。結末を知っている(ネタバレしてる)わけだから,たぶん,見え方もまったく違うんだろうなぁ。それはそれで,なんでごく普通の職員が重要な機密情報を漏らしたのか,その動機を推し量る物語,ということか。

★★★



2026年1月13日