半藤一利 2026 平凡社ライブラリー
本書は2014~2016年に平凡社の文芸誌『こころ』に連載されたもので,単行本を経て2018年に平凡社ライブラリーとして文庫本化した後に,(おそらく)最後の対談を加えて「新版」として2026年に出たものだろうと思われます。
日本が,昭和と年号が変わってから,やがて太平洋戦争へと突き進んでいき,最後にはにっちもさっちも行かなくなって降伏する,その流れ,うねりを,庶民の暮らしという観点から紐解いています。著者は,「歴史探偵」と自らを称して,丁寧に解きほぐしていきます。とにかく,文章が軽快で読みやすかったし,何より,勉強になって面白かったです。何よりすごいのは,著者がこれを書いたのが80歳前半~半ばってことです。すごいわ。
なるほど,戦前って,とても遠いところにあった気がしていましたが(それはたぶん,戦前と戦後で切り離されている感じがするから),地続きであると感じさせられました。政治的思想的には全く相容れない(まるで別の国の)戦前と戦後ですが,庶民の生活という面で言えば,ある日突然何かが変わったわけではなく,戦前も戦後もそのまま,もっと言えば昔からずっと,生きるための日々の営みは続いている,玉音放送を聞く前日もその日も翌日も,同じように飯を食って寝る,という当たり前のことがよく分かりました。
この前83歳で死んだ親父は,昭和17年(1942年)11月生まれ。なかなか厳しい時代に生まれたなぁ。数年前に死んだ伯父さんは,たしか親父より9歳ぐらい年上だったから,この大変な時期に小学生ぐらいか。いやぁ,きっと毎日,腹減ってただろうなぁ。




