2026年9月6日

陰謀論入門:誰が,なぜ信じるのか?

ジョゼフ・E・ユージンスキ(著) 北村京子(訳) 2022 作品社

「陰謀論」の入門書として最適,と言われている本。陰謀論関係の本で必ず引用される有名なやつです。勉強になりました。なお,原著そのものは2020年に公刊されているので,二期目のトランプ政権については触れられていない。陰謀論を駆使する政治家ドナルド・トランプをリーダーに冠するアメリカ合衆国は一体どこへ行くのか,ぜひ著者に語ってもらいたい(もうすでに出ているかもしれないから,そのうち翻訳書が出るかな)。


究極Q太郎詩集 散歩依存症

究極Q太郎 2024 現代書館

「詩」って,分かりにくい。何について書いているのか,よく分かんない。そんなのが「詩」だという印象がずっとありました。例えば歌に付いた詩(歌詞)は,分かんないものもありますが,比較的分かるものが多い気がします。がしかし,こと純粋な「詩」となると,これがよく分からないものが多いような気がします。気の所為か。ですが,この人の詩は,分かる。言葉がスッと入ってくる気がしました。

「詩」なんて読まない私がなんで買って読んだかと言うと,単純に,作者の名前が変だったから(笑)。究極Q太郎。究極のQ太郎ですよ。なんというハイセンス。ちなみに,あとがきでも書いていますが,「地球温暖化」のことを深く,深く嘆いています。心から同意。


2026年9月2日

杖道七段六段審査会・地区講習会(福岡)その2:講習会

講習会は,審査会と同会場で,土日に行われました。先にも書きましたが,非常に広い会場であり,また,今回は参加者総勢約370名でしたので,若干少なめだったせいか,隣の人や他段位の人ともぶつかることなく,余裕をもってできました。

杖道愛好者の数は,杖道の全剣連番号がある数(有段者の登録数)からすれば,2025年3月末の時点で,25744人(内女性4300人)だそうです。しかし,初段二段を取って辞めてしまう人も大勢いますから,現時点で実際に活動している人数はもっとずっと少ないでしょう。たぶん2000~3000人ぐらいなのではないでしょうか。どうなのかな?

そのうち,講習会には400~500人,来ます。講習会は冬に東京で,夏に東京以外で開催されますが,冬の東京の講習会は,かなり手狭です。場所が狭いので,二組に分かれて順番に実技もざらです。その点,今回の福岡は370人で,体育館もかなり広かったので,二組に分かれることなくできました。

それはともかく・・・

こうしてわざわざ時間とお金を使って,全国から集まってくる人は,よほど杖道が好きな人であり,まさに,ただの「杖道愛好者」ならぬ芯からの「杖道家」だなぁと改めて思いました。全日本大会に出場される方々もみなさん,腕に覚えのある方たちなので,上手な方が多いですが,特に今回のように夏の講習会(つまり,東京ではない地区講習会)にやってくるみなさんは,上手な方が多いと感じました。いつもお見掛けする,静岡の方,徳島の方,大阪の方,京都の方,福岡の方・・・みなさんお上手です。好きこそものの上手なれ。

やはり,講習会は,八段の先生方による,基本動作12本(単独,相対)と制定形12本の解説が毎回行われますので,動作の確認や教本(解説書)の解釈など,本当に勉強になります。逆に言えば,この講習会での解説を毎回聞かないと(変更点もあり得るので),制定杖道は正しくできないのではないかと思います。なので,正しく制定杖道をしたいと本気で思うなら万障繰り合わせて講習会に参加した方がよい,でしょうね。うん。しかし,まぁ,人生において何を優先とするかは人それぞれ違いますし,また,どうしても都合がつかない場合もありますからね。

そして何より,東京以外の八段の先生のご指導を賜ることができるのも,こういう機会しかありません。東京は,八段の先生が大勢おられるので,杖道を稽古する環境としては極めて恵まれています。それでもさらに貪欲に考えれば,全国におられる八段の先生の教えに触れる,滅多にない機会ですから,これを逃すわけにはいきません。

今回,三四段の講師は,広島の宮脇先生でした。宮脇先生の丁寧な解説と誠実なお人柄に心から感銘を受けました。ああいう杖道が,できるようになりたい。

2026年8月31日

杖道七段六段審査会・地区講習会(福岡)その1:審査会

先週末,福岡は博多にある福岡市総合体育館にて,杖道七段六段審査会と地区講習会が開催されました。地区講習会に参加するついでに,前日に開催される審査会も全日拝見,一日かけて見取り稽古させていただきました。


福岡市総合体育館は,ホテルのある博多駅からは少し離れたアイランドシティという埋立地ニュータウンにありまして,少々交通の便が悪いところではありますが,大変立派で綺麗な体育館でして,メインアリーナはとても広かったです。あまりに広いせいか,さらには連日の猛暑日のせいか,やや冷房の効きが悪いぐらい。

27日(木)に新幹線で博多入りし,28日(金)は,午前中は七段審査を,午後は六段審査を拝見させていただきました。朝10:30から開始し,終了したのは16:00頃でした。七段審査は50~60名ぐらい,六段審査は60~70名ぐらいだったでしょうか。審査は(高い方から)年齢順です。受審されていた先生方は,自分の順番が回ってくるまで椅子に座って待機です。直前まで準備運動さえもままなりません。東京都の五段以下審査会も同じですが,順番が回ってくるまでじっと座っていて,番が来るなりいきなりいいパフォーマンスができるかというと,正直言えば,なかなか難しいですね。

そこで一つ考えたのが,呼ばれたら部屋に入って演武する,入試入社面接みたいな感じにしてはどうでしょうかね(笑)。呼ばれるまでは,待機室で体を動かしたり休んでいたりしていてよい,という感じです。ただ,毎度そういう場所を確保するのが難しいか(笑)。

それはともかく・・・

たかだか三段の私ごときで大変に恐縮ですが,審査会を見ている限り,合格された先生は,丁寧かつ正確に制定杖道をされている方だと思いました。前回の千葉のときもそう感じました。若い人の方がスピードとパワーとクイックネスが当然高いですから,見栄えは良いですが,必ずしもそうした要素を備えていない年配の先生も,ゆっくりではありますが丁寧かつ正確に制定杖道をされている方が,受かっているように思いました。

というのも,ある年配の女性の方が一人おられて,その方は,ゆっくりですが丁寧かつ正確に演武されていたので,その人の受審番号を控えておき,合格するかどうか見ていました。見事合格してました。逆に,ある若い男性の方が一人おられて,その方は,スピードとパワーとクイックネスは高いですが,制定杖道としての細部の詰めが甘い感じで演武されていたので,同じように番号を控えておいたところ・・・不合格でした。

気杖体一致で正しく制定杖道をする,という点で言えば,大会も審査も同じかと思います。大会だから,審査だからと,良しとする基準が変わるようでは,制定杖道の意味がありません。以前は,大会では気迫(パワーとスピードとクイックネスを含む)がこもってる方が審判への印象が強いから勝ちやすいのかなとか,一方で審査はそういうインパクトよりも丁寧にやる方が受かりやすいのかなとか,あれこれ思っていました。しかし,このところは,大会だろうが審査だろうが,制定杖道なのだから,結局のところ,演武の相手と気をつなげて,丁寧かつ正確に,気杖(剣)体一致,これに尽きるかと思っています。どうでしょうかね?

2026年8月26日

邪悪なるもの

(原題:When evil lurks)(アルゼンチン/アメリカ,2023)

感染する魔。アルゼンチン悪魔憑き映画。

原題のlurkは,「潜む,隠れる,待ち伏せする/こそこそ歩く,こっそり行動する,潜行する,そっと動く/気づかれずに(疑われずに)存在する,潜在する」って意味(ランダムハウス英和大辞典)。原題をそのまま訳せば,「魔が潜むとき」でしょうか。

主人公のペドロは,過去に何か問題を起こしていて,田舎の街を追われて辺鄙な農場で弟のジミーと暮らしている。世界がなんでこんなことになっていて,人々はなんでこんな目に遭うのか,そこんところは良く分からない。パンデミックほど蔓延はしていないけれど,都会の方はかなり流行しているようだ。でも田舎は大丈夫,なんて人々が思っているところに,兄弟が隣の農場で感染者を発見する。

7つのルールを守らないと悪魔に憑りつかれる。特殊な道具を使うエクソシスト的な「処置人」でないと退治できない。でも,ほとんど活躍の場なし。悪魔が圧倒的に強力で,ほとんどなす術なし。

★★★


2026年8月24日

ヒロシのネガティブ大全

ヒロシ 2025 自由国民社

ヒロシと同学年です。

ところで,「ぼっちキャンプ」も好きだけど,個人的には「迷宮グルメ 異郷の駅前食堂」が良かったなぁ。スギちゃんよりヒロシの方がいい。コロナになって国内編になって,コロナ事情もありどうしても無茶ができずに消極的になってしまいましたが,コロナ前の海外編は,その攻撃的ロケ(言葉の通じない見知らぬ国の見知らぬ街でおそらくノープランノーアポイントメントの無謀な探索ロケをするその捨て身の姿)が非常に良かったです。


2026年8月22日

考えすぎない練習

ジョセフ・グエン(著) 矢島麻里子(訳) 2025 ディスカヴァー携書

ポイントは,「考えないこと」。「考え(thoughts)」と「考えること((thinking)」は別。考えは直感的なものでありそれ自体は悪いわけではない。それについて,あれこれ考えることがネガティブ感情の根本原因である。したがって,考えなければ,自ずと,安らぎ,愛,喜びに満たされる。安らいでるとき,喜びに満たされているときって,あれこれ考えてないでしょ?

ということで,考えが浮かぶのは良い。そこまで。とにかく,考えないこと。これがミソ。マインドフルネスや禅の話なわけですが,ポイントを絞って「考えることを止めること」を提案していて,なぜそうなのか,いろいろな角度や話を織り交ぜて説明しています。

しかしここでまた問題が生じるのは,我々の脳は「考えないようにすればするほど考えてしまう」わけです。いわゆるウェグナーの,思考抑制によるリバウンド効果ですね(一般的には「シロクマ効果」って呼ばれてるやつです)。ではどうやって考えないようにするか。その辺りを練習するのがマインドフルネスですね。

ただ,本書のポイントは,なぜ「考えること」こそがネガティブ感情の根本原因なのか,そして,なぜ「考えないこと」がとにかく最短最善の方法であるのかを,いろんな角度から説明している点です。これはとても参考になりました。


2026年8月12日

吉永進一セレクション第一巻 霊的近代の興隆:霊術・民間精神療法

吉永進一(著)栗田英彦(編) (2024) 国書刊行会

「精神療法」って言っても,現代の心理療法・精神療法とは違います(なお,心理学では「心理療法」,医学では「精神療法」と言いますが,両者は基本的には同じことを指してます)。

この本で言うところの「精神療法」とは,大正期・昭和初期に流行した,いわば「精神力(生命エネルギーのようなものとかいろいろ)によって(他者の)癒しや治療を施す技法」全般のことです。西洋の催眠術とか,日本土着の(神道や仏教などの)民間療法とかが融合合体したもので,「霊術」とも呼ばれていました。

オカルト研究や宗教研究の文脈で語られるテーマで,前にも『近現代日本の民間精神療法』(栗田英彦/塚田穂高/吉永進一 編)も読みましたが,本書はその編者の一人,吉永進一氏没後にまとめられた氏の論文集であり,非常に勉強になりました。

第二巻は『洗脳・陰謀論・UFOカルト』です。これもまた非常に興味深いので,すでに入手済み。そのうち読みます。



プロジェクト・サイレンス

(原題:Project Silence)(韓国,2024)

いやはや,ハラハラドキドキでした。ハングル語のタイトルは”탈출”で「脱出」って意味みたい。手に汗握る映画ってのはこういうやつですね。

空港へ向かう大きな橋の上で,濃霧のために多重追突事故が起き(まぁ,それも,アホな危険系ユーチューバーが起こした事故がキッカケなのだが),たまたま居合わせた軍用車の車列も巻き込まれる。ただ,それは,最高機密の改造軍用犬を秘密裏に処分するために移送中の軍用車だった。

主人公ジョンウォンは,政府の安全保障室の行政官。留学する娘ギョンミンを空港まで送る途中で事故に巻き込まれる。事故発生直後から,上司である安全保障室長のヒョンベク(次期大統領候補)と連絡を取りながら,なんとか機密(=改造軍用犬に関する計画「プロジェクト・サイレンス」)が世間に漏れないよう,なおかつ,無事に帰れるように奔走するが・・・。

★★★


ただ悪より救いたまえ

(原題:Deliver Us from Evil)(韓国,2020)

韓国ノワール・アクション。スピード感があって,見ていてあっという間でした。主人公のインナム(ファン・ジョンミン)も良いけど,敵役のレイ(イ・ジョンジェ)が色んな意味でキレまくってていいわ~。あと,タイトルが良いよね。これ,新約聖書の「主の祈り」(マタイによる福音書6章9節~13節)の一節らしいですね。

元は国家の情報部に所属していたインナムだが,拷問など違法な手法が仇となり部署は解散。逃亡して殺し屋稼業に身を落としていたが,これが最後の仕事と請け負った,日本のヤクザの親分コレエダを東京で暗殺。大金をもらって南の島へと高跳びしようと思っていた矢先,かつての恋人ヨンジュの死を知らされる。さらに,ヨンジュには,行方不明になっている9歳の一人娘がいることも。

娘を探しにタイのバンコクへ向かうが,一方,コレエダの弟であり,狂暴で残忍な殺し屋レイが,兄貴の敵を取るために,執拗に追いかけてくる。

ところで,暗い感じのサスペンス映画やたばこの煙が漂うようなふた昔前の時代設定の映画なんかで「ノワール」ってよく言うけど,「ノワール」って正確にはどういう意味なんだ?と改めて思ったので,調べてみました。

【ノアール(フランス noir)】《ノワールとも》 1 黒。暗黒。 2 多く複合語の形で用い,暗黒の,正体不明の,不正の,などの意を表す。(デジタル大辞泉)

【フィルム・ノワール(film noir)】フランス語で<暗黒映画>の意だが,アメリカの犯罪映画,あるいはハードボイルド映画をさすアメリカの映画用語である。(改訂新版 世界大百科事典)

なるほど~。

★★★