2026年9月28日

第53回全日本杖道大会

9月26日(土),神奈川県の横浜武道館にて,第53回全日本杖道大会が開催されました。三段の部は,北海道から沖縄まで,総勢29組が出場しました。結果は,3回戦まで進み,ベスト8でした。


昨年の第52回大会(埼玉)では,1回戦で早々に敗れました。敗れた理由は,集約すれば「硬さ(固さ)」だったと思っています。硬さとは,緊張ゆえの硬さもありますし,技そのものの硬さもあります。武術はやはり,硬くてはいけません。そういう色んな意味での硬さをなくすよう,つまり,「軟らかさ(柔らかさ)」を少しでも身に付けるよう,この一年間のテーマの一つにして,稽古してきました。そこで,一つ掲げたモットーが,双葉山の「稽古は本場所の如く,本場所は稽古の如く」でした。試合で(特に緒戦で)緊張しないように・・・。これをスマホの待ち受け画面にして(笑),日々の稽古で心掛けました。

大会はやはり,1回戦(緒戦)の入りが重要です。一番緊張しますから。ここで気負い過ぎて,力み過ぎては,すなわち,「硬さ」が出てしまいます。硬いと当然,技は粗く雑になります。武術は敵を制する技術ですから荒々しいものではありますが,ただ荒々しいだけの武力は効率が悪い。それは術とは言いませんね。術であるためには,最小の力(コスト)で最大の効果(ベネフィット)を発揮しなければなりません。そのためには,まずは単純に,力まないことですね。まぁ,武術に限らず,人生において何事もそうですが(笑)。

今回,そういう意味では,昨年よりは硬くならずにできたと思います。一年間の稽古の成果は,自分なりに感じる1回戦でした。

1回戦のお相手は,宮城県のお二人。試合前,身体を動かしているお二人をチラッと横目で見たところ,姿勢も構えも,杖や太刀の振りも,とても安定しています。宮城県には素晴らしい高段者の先生方が大勢おられますから,きっと上手いだろうと思っていましたが,予想通り,とても手強い相手だと感じました。であるからこそ,胸を借りる思いで(ありきたりな言葉を使えば「挑戦者」のつもりで),気負わず,精一杯の技を演武しようと思うことができました。

そこで今回一つ学んだことは,相手をリスペクトするのが大切だということ。今までリスペクトしてこなかった,という意味では決してありません(笑)。今までは,対戦相手が自分たちより上手なのかどうなのか分からないために,ただ不安に思うだけでした。しかし,相手が上手いことを前提に,精一杯やること,ベストを尽くすこと。これが大切だと感じました。

特に杖道の試合は,対戦相手と直接交わることはありません。実質的には,単に,自分(たち)の形を演武するだけです。もし相手が上手いと判断されれば負けるし,自分(たち)の方が上手いと判断されれば勝つ。そういう相対的な判定です。だからこそ,勝ち負けは,自分の統制下にないところの要素が結構な割合を占めています。つまり,対戦相手よりも上手とか下手とかは,実はどうでもよいことであり,いかにマインドフルに演武をするかが,杖道大会のキモだということを,改めて感じました。

結果は,1回戦と2回戦に勝つことができました。対戦していただいたお相手の二組に感謝です。3回戦は,昨年の大会で優秀賞だった北海道のペアでした(三段の部までは決勝戦はなく,二組が優秀賞を受賞します)。もし勝ち進めば必ずこの北海道ペアと当たると思っていましたので,対戦できたことにこれまた感謝です。結果は,1-2で負けました。残念。しかし,旗は一つ上がりましたので,0-3の完敗ではなかったということは,それなりに良かったと審判の先生方に見ていただけたということかと思います。


今回,ありがたいことに,杖道仲間の方々に1~3回戦の動画をすべて撮っていただけました(これも本当に感謝です)。負けて思うに,つい何度も見たくなるのは負けた試合ですね。何が足りなかったのか,何が良くなかったのか,お相手の何が良かったのか,どこが自分(たち)より優れていると判断されたのか。負けた悔しさというよりも,勝ったお相手の(相対的な)良さは何か,負けた自分の(相対的な)悪さ・足りなさは何かと考える。そして,お相手の良いところを取り込み,自分の悪いところや足りないところに気づいて修正しようとする。早速いくつか真似しようと思うところがあり,そういう意味では,負けたのに得をした気分です。

つまり,逆説的ですが,勝つよりも負けた方が得るものが多いような気がしました。

勝てば単純に嬉しいですが,しかし,嬉しいだけです。自己を顧みることはあまりないでしょう(←私の場合)。反省することも少ないでしょう(←私の場合)。なぜなら,結果的に,勝っているから。もちろん,一流のアスリートや毎年優勝し続けるような人であれば,勝った試合からも足りなさを学び,さらに精進するんでしょうね。それが一流の証,トップを維持する要因に違いありません。しかし,私のような凡人は,勝った試合を見てもせいぜい悦に入って,まさにユング的な「自我肥大」(エゴ・インフレーション)を起こすだけです。得るものがあまりない。

もちろん負けるのは嬉しくないですが,しかし,自分の杖道をもっと良くしていくためには,負けることは決して良くないことではなく,むしろ必要なことであることを,今回もまた,つくづく思いました。


11月末には,広島杖道大会に出場します。個人戦と団体戦があります。今回の全日本大会で得たことを稽古に活かしつつ,大会に臨みたいです。そして,昨年に続き,広島でもまた色々得られるものがあるかと思うと,今から楽しみです。


2026年9月27日

沈黙:雑音まみれの世界のなかの静寂のちから

ティク・ナット・ハン(著)池田久代(訳) 2021 春秋社

とても良い本でした。マインドフルネスとはどういうことか。仏教的に生きる。


2026年9月17日

隣人13号

(日本,2004)

いやぁ,また観てしまった。復讐映画,隣人13号。20年以上前の小栗旬と中村獅童。小栗旬が若い。中村獅童が怖い。二人でグルーヴしてるシーンがキモすぎて,つい見入ってしまいます。

全編グロくて暴力的で救いがないけど,終わり方は悪くないと思う。二回観て,意味が分かりました。なるほどそういうことね。

★★★



2026年9月16日

そして奇妙な読書だけが残った

大槻ケンヂ 2025 本の雑誌社

いいなぁやっぱり,オーケンのエッセイ。


2026年9月10日

アイランド・ゼロ

(原題:Island Zero)(アメリカ,2018)

ある日,電気も電話もネットも通じなくなり,定期便のフェリーも来なくなった,陸からは60キロ離れた孤島。ここのところ魚も全く獲れない。船で島から出ていった者もどうやら失踪したようだ。一体,何が起こっているのか。その正体は,謎の海洋生物だった・・・。

アイディア自体は面白いけど,なんかもう,とにかく全体に安っぽい。いろいろ無理がある。途中までは期待して観てたけど,うううん,なんだかなぁ。

そもそも,定期便が島に行かなかったら(行っても戻ってこなかったら),フェリー会社が気づくだろう。フェリー会社が気づかなくても,取引してる食品会社とかが気づくよね。1週間も孤立してたらニュースになるよ。なぜ誰も助けに来ない?海からだと来れないなら,船じゃなくて,ヘリコプターとかさ。その辺の無理筋をなんとか通すための設定も,途中でお披露目されるんだけど,それもまた無理がある,っつうか。

ああ,もうだめだ。モンスターの造形とか性質とか描写とか,登場人物のやられ方とか,あまりにもショボすぎて,最後まで観ていられない・・・。登場人物のサブストーリーも,ぜんぜんショボいしなぁ。なんだこれ。まぁ,いろいろ映画観てりゃ,時には駄作にも当たるよね。

なお,準主役の女医(元軍人?軍医?)は,ドラマ『The Boys』の元CIA副長官グレイス・マロリー役だった,ライラ・ロビンス。

★



2026年9月6日

陰謀論入門:誰が,なぜ信じるのか?

ジョゼフ・E・ユージンスキ(著) 北村京子(訳) 2022 作品社

「陰謀論」の入門書として最適,と言われている本。陰謀論関係の本で必ず引用される有名なやつです。勉強になりました。なお,原著そのものは2020年に公刊されているので,二期目のトランプ政権については触れられていない。陰謀論を駆使する政治家ドナルド・トランプをリーダーに冠するアメリカ合衆国は一体どこへ行くのか,ぜひ著者に語ってもらいたい(もうすでに出ているかもしれないから,そのうち翻訳書が出るかな)。


究極Q太郎詩集 散歩依存症

究極Q太郎 2024 現代書館

「詩」って,分かりにくい。何について書いているのか,よく分かんない。そんなのが「詩」だという印象がずっとありました。例えば歌に付いた詩(歌詞)は,分かんないものもありますが,比較的分かるものが多い気がします。がしかし,こと純粋な「詩」となると,これがよく分からないものが多いような気がします。気の所為か。ですが,この人の詩は,分かる。言葉がスッと入ってくる気がしました。まぁしかし,それでも意味の分かんないところもありましたけどね。そういう風に詩を読んでしまう私は,たぶん,詩の読み方が分かっていないんだと思いますよ。

というわけで,「詩」なんて読まない私がなんで買って読んだかと言うと,単純に,作者の名前が変だったから(笑)。究極Q太郎。なんというハイセンス。ちなみに,あとがきでも書いていますが,「地球温暖化」のことを深く,深く嘆いています。心から同意。


2026年9月2日

杖道七段六段審査会・地区講習会(福岡)その2:講習会

講習会は,審査会と同会場で,土日に行われました。先にも書きましたが,非常に広い会場であり,また,今回は参加者総勢約370名でしたので,若干少なめだったせいか,隣の人や他段位の人ともぶつかることなく,余裕をもってできました。

杖道愛好者の数は,杖道の全剣連番号がある数(有段者の登録数)からすれば,2025年3月末の時点で,25744人(内女性4300人)だそうです。しかし,初段二段を取って辞めてしまう人も大勢いますから,現時点で実際に活動している人数はもっとずっと少ないでしょう。たぶん2000~3000人ぐらいなのではないでしょうか。どうなのかな?

そのうち,講習会には400~500人,来ます。講習会は冬に東京で,夏に東京以外で開催されますが,冬の東京の講習会は,かなり手狭です。場所が狭いので,二組に分かれて順番に実技もざらです。その点,今回の福岡は370人で,体育館もかなり広かったので,二組に分かれることなくできました。

それはともかく・・・

こうしてわざわざ時間とお金を使って,全国から集まってくる人は,よほど杖道が好きな人であり,まさに,ただの「杖道愛好者」ならぬ芯からの「杖道家」だなぁと改めて思いました。全日本大会に出場される方々もみなさん,腕に覚えのある方たちなので,上手な方が多いですが,特に今回のように夏の講習会(つまり,東京ではない地区講習会)にやってくるみなさんは,上手な方が多いと感じました。いつもお見掛けする,静岡の方,徳島の方,大阪の方,京都の方,福岡の方・・・みなさんお上手です。好きこそものの上手なれ。

やはり,講習会は,八段の先生方による,基本動作12本(単独,相対)と制定形12本の解説が毎回行われますので,動作の確認や教本(解説書)の解釈など,本当に勉強になります。逆に言えば,この講習会での解説を毎回聞かないと(変更点もあり得るので),制定杖道は正しくできないのではないかと思います。なので,正しく制定杖道をしたいと本気で思うなら万障繰り合わせて講習会に参加した方がよい,でしょうね。うん。しかし,まぁ,人生において何を優先とするかは人それぞれ違いますし,また,どうしても都合がつかない場合もありますからね。

そして何より,東京以外の八段の先生のご指導を賜ることができるのも,こういう機会しかありません。東京は,八段の先生が大勢おられるので,杖道を稽古する環境としては極めて恵まれています。それでもさらに貪欲に考えれば,全国におられる八段の先生の教えに触れる,滅多にない機会ですから,これを逃すわけにはいきません。

今回,三四段の講師は,広島の宮脇先生でした。宮脇先生の丁寧な解説と誠実なお人柄に心から感銘を受けました。ああいう杖道が,できるようになりたい。

2026年8月31日

杖道七段六段審査会・地区講習会(福岡)その1:審査会

先週末,福岡は博多にある福岡市総合体育館にて,杖道七段六段審査会と地区講習会が開催されました。地区講習会に参加するついでに,前日に開催される審査会も全日拝見,一日かけて見取り稽古させていただきました。


福岡市総合体育館は,ホテルのある博多駅からは少し離れたアイランドシティという埋立地ニュータウンにありまして,少々交通の便が悪いところではありますが,大変立派で綺麗な体育館でして,メインアリーナはとても広かったです。あまりに広いせいか,さらには連日の猛暑日のせいか,やや冷房の効きが悪いぐらい。

27日(木)に新幹線で博多入りし,28日(金)は,午前中は七段審査を,午後は六段審査を拝見させていただきました。朝10:30から開始し,終了したのは16:00頃でした。七段審査は50~60名ぐらい,六段審査は60~70名ぐらいだったでしょうか。審査は(高い方から)年齢順です。受審されていた先生方は,自分の順番が回ってくるまで椅子に座って待機です。直前まで準備運動さえもままなりません。東京都の五段以下審査会も同じですが,順番が回ってくるまでじっと座っていて,番が来るなりいきなりいいパフォーマンスができるかというと,正直言えば,なかなか難しいですね。

そこで一つ考えたのが,呼ばれたら部屋に入って演武する,入試入社面接みたいな感じにしてはどうでしょうかね(笑)。呼ばれるまでは,待機室で体を動かしたり休んでいたりしていてよい,という感じです。ただ,毎度そういう場所を確保するのが難しいか(笑)。

それはともかく・・・

たかだか三段の私ごときで大変に恐縮ですが,審査会を見ている限り,合格された先生は,丁寧かつ正確に制定杖道をされている方だと思いました。前回の千葉のときもそう感じました。若い人の方がスピードとパワーとクイックネスが当然高いですから,見栄えは良いですが,必ずしもそうした要素を備えていない年配の先生も,ゆっくりではありますが丁寧かつ正確に制定杖道をされている方が,受かっているように思いました。

というのも,ある年配の女性の方が一人おられて,その方は,ゆっくりですが丁寧かつ正確に演武されていたので,その人の受審番号を控えておき,合格するかどうか見ていました。見事合格してました。逆に,ある若い男性の方が一人おられて,その方は,スピードとパワーとクイックネスは高いですが,制定杖道としての細部の詰めが甘い感じで演武されていたので,同じように番号を控えておいたところ・・・不合格でした。

気杖体一致で正しく制定杖道をする,という点で言えば,大会も審査も同じかと思います。大会だから,審査だからと,良しとする基準が変わるようでは,制定杖道の意味がありません。以前は,大会では気迫(パワーとスピードとクイックネスを含む)がこもってる方が審判への印象が強いから勝ちやすいのかなとか,一方で審査はそういうインパクトよりも丁寧にやる方が受かりやすいのかなとか,あれこれ思っていました。しかし,このところは,大会だろうが審査だろうが,制定杖道なのだから,結局のところ,演武の相手と気をつなげて,丁寧かつ正確に,気杖(剣)体一致,これに尽きるかと思っています。どうでしょうかね?

2026年8月26日

邪悪なるもの

(原題:When evil lurks)(アルゼンチン/アメリカ,2023)

感染する魔。アルゼンチン悪魔憑き映画。

原題のlurkは,「潜む,隠れる,待ち伏せする/こそこそ歩く,こっそり行動する,潜行する,そっと動く/気づかれずに(疑われずに)存在する,潜在する」って意味(ランダムハウス英和大辞典)。原題をそのまま訳せば,「魔が潜むとき」でしょうか。

主人公のペドロは,過去に何か問題を起こしていて,田舎の街を追われて辺鄙な農場で弟のジミーと暮らしている。世界がなんでこんなことになっていて,人々はなんでこんな目に遭うのか,そこんところは良く分からない。パンデミックほど蔓延はしていないけれど,都会の方はかなり流行しているようだ。でも田舎は大丈夫,なんて人々が思っているところに,兄弟が隣の農場で感染者を発見する。

7つのルールを守らないと悪魔に憑りつかれる。特殊な道具を使うエクソシスト的な「処置人」でないと退治できない。でも,ほとんど活躍の場なし。悪魔が圧倒的に強力で,ほとんどなす術なし。

★★★