2026年8月12日

吉永進一セレクション第一巻 霊的近代の興隆:霊術・民間精神療法

吉永進一(著)栗田英彦(編) (2024) 国書刊行会

「精神療法」って言っても,現代の心理療法・精神療法とは違います(なお,心理学では「心理療法」,医学では「精神療法」と言いますが,両者は基本的には同じことを指してます)。

この本で言うところの「精神療法」とは,大正期・昭和初期に流行した,いわば「精神力(生命エネルギーのようなものとかいろいろ)によって(他者の)癒しや治療を施す技法」全般のことです。西洋の催眠術とか,日本土着の(神道や仏教などの)民間療法とかが融合合体したもので,「霊術」とも呼ばれていた。

オカルト研究や宗教研究の文脈で語られるテーマで,前にも『近現代日本の民間精神療法』(栗田英彦/塚田穂高/吉永進一 編)も読みましたが,本書はその編者の一人,吉永進一氏没後にまとめられた氏の論文集であり,非常に勉強になりました。

第二巻は『洗脳・陰謀論・UFOカルト』です。これもまた非常に興味深いので,すでに入手済み。そのうち読みます。



プロジェクト・サイレンス

(原題:Project Silence)(韓国,2024)

いやはや,ハラハラドキドキでした。ハングル語のタイトルは”탈출”で「脱出」って意味みたい。手に汗握る映画ってのはこういうやつですね。

空港へ向かう大きな橋の上で,濃霧のために多重追突事故が起き(まぁ,それも,アホな危険系ユーチューバーが起こした事故がキッカケなのだが),たまたま居合わせた軍用車の車列も巻き込まれる。ただ,それは,最高機密の改造軍用犬を秘密裏に処分するために移送中の軍用車だった。

主人公ジョンウォンは,政府の安全保障室の行政官。留学する娘ギョンミンを空港まで送る途中で事故に巻き込まれる。事故発生直後から,上司である安全保障室長のヒョンベク(次期大統領候補)と連絡を取りながら,なんとか機密(=改造軍用犬に関する計画「プロジェクト・サイレンス」)が世間に漏れないよう,なおかつ,無事に帰れるように奔走するが・・・。

★★★


ただ悪より救いたまえ

(原題:Deliver Us from Evil)(韓国,2020)

韓国ノワール・アクション。スピード感があって,見ていてあっという間でした。主人公のインナム(ファン・ジョンミン)も良いけど,敵役のレイ(イ・ジョンジェ)が色んな意味でキレまくってていいわ~。あと,タイトルが良いよね。これ,新約聖書の「主の祈り」(マタイによる福音書6章9節~13節)の一節らしいですね。

元は国家の情報部に所属していたインナムだが,拷問など違法な手法が仇となり部署は解散。逃亡して殺し屋稼業に身を落としていたが,これが最後の仕事と請け負った,日本のヤクザの親分コレエダを東京で暗殺。大金をもらって南の島へと高跳びしようと思っていた矢先,かつての恋人ヨンジュの死を知らされる。さらに,ヨンジュには,行方不明になっている9歳の一人娘がいることも。

娘を探しにタイのバンコクへ向かうが,一方,コレエダの弟であり,狂暴で残忍な殺し屋レイが,兄貴の敵を取るために,執拗に追いかけてくる。

ところで,暗い感じのサスペンス映画やたばこの煙が漂うようなふた昔前の時代設定の映画なんかで「ノワール」ってよく言うけど,「ノワール」って正確にはどういう意味なんだ?と改めて思ったので,調べてみました。

【ノアール(フランス noir)】《ノワールとも》 1 黒。暗黒。 2 多く複合語の形で用い,暗黒の,正体不明の,不正の,などの意を表す。(デジタル大辞泉)

【フィルム・ノワール(film noir)】フランス語で<暗黒映画>の意だが,アメリカの犯罪映画,あるいはハードボイルド映画をさすアメリカの映画用語である。(改訂新版 世界大百科事典)

なるほど~。

★★★


2026年8月5日

クレイジー・リーダー 不条理な世界

(原題:Alpha Male)(ポーランド,2022)

謎映画(笑)。

婚約者のバーシアに言われて一日禁煙セラピーに来たつもりのピョートル。だが迷い込んだその会は禁煙セラピーではなく,なんだか怪しい自己啓発セミナー?陰謀論団体?カルト宗教?だった・・・

この建物はやたらと複雑な構造になっていて,いろんな部屋でセミナーやワークショップなどをやっているカルチャーセンターみたいなところ。入った部屋のセミナー(「アルファ・メイルの会」)は禁煙セラピーの会だと思ってたのに,男性講師と受講生(男性4人)の言ってることがなんだかどうもおかしいので,途中休憩(そもそも「タバコ休憩」だし!)のとき,ロビーにあるパンフレットをよくよく確認してみたら,どうやら入るところを間違えたことに気づく。そこでもう禁煙はひとまず諦めて帰れば良かったのに,帰宅を告げようと電話したら婚約者に「そんな中途半端な気持ちじゃ禁煙は無理ね」なんて冷たく言われたもんだから,ピョートルはまた(食事が豪勢で広々とした部屋の)アルファ・メイルの会に戻ることに(禁煙セラピーの狭い部屋ではなく・・・笑)。いや,なんでそっちに戻るんだよ(笑)・・・と,まぁ,ここからいよいよ話が怪しくなってきます。

というのも,邦題では分からないけど,原題の「アルファ・メイル」って「αオス」,つまり,群れの中の一番優位な雄(猿で言えばボス猿)=支配する男・強い男,って意味ですからね(笑)。ポーランド語の方の原題はSamiec Alfaで,これも「アルファ雄」です。そう,実はアルファ・メイルの会は,闇の男性弾圧組織に抵抗するための会員制秘密団体だったのだ!!(会員制なのになんで入れちゃったかは、後から分かります)

ところで,邦題の『クレイジー・リーダー』は,まぁ,内容をそれなりに表してるんだろうけど,この映画の本当の面白さはそこじゃなくて,やっぱり原題通り「アルファ雄」(→転じて,マッチョイズムの男性優位主義な頭の悪い男,って意味も)なので,そこんところ,なんとかならなかったかなぁ。惜しい。

とまぁ,謎の設定の面白ヨーロッパ映画なのが,ただ,最後の落ちがイマイチ良く分からなかったから,全体を振り返りながら,あとで反すうしてよく考えてみます(笑)。

★★★★


2026年8月3日

ベスト・キッド:レジェンズ

(原題:Karate Kid: Legends)(アメリカ,2025)

ダニエルさん(ラルフ・マッチオ)とジャッキーの共演。

話としては,まぁ,『ベスト・キッド』(1984)をほぼ踏襲。もともとジャッキー師父に北京でカンフーを習ってた主人公の高校生が,母親とニューヨークへ引っ越してきて,なんだかんだあって,空手大会に出場することに。そこで,ジャッキー師父は,遠くカリフォルニアの元ミヤギさん家に住む旧友のミヤギさんの弟子ダニエルさんに助っ人を頼むことに。

ジャッキーは,おじいさんの師匠役だからおじいさん風で良いのだけど,ホントにおじいさんになってるなぁとつくづく感じました。

主人公の高校生は,チンピラ三人を超人的なアクションでやっつけたりニューヨークのピザ屋の親父にカンフーを教えたりするぐらい達人なのに,ライバルのバイオレントなブラック高校生に校庭での初対戦で苦戦したり,そのブラック高校生がチャンピオンの空手大会のためにまた一から修行し直したりと,強いのか弱いのかよく分からん(そうなると,図式的には,このブラック高校生がめちゃくちゃ強いことになるわけです)。ダニエルさんは「カンフーと空手は違う!」と強調するけれど(だから「空手大会」に出るには「空手」を体得する必要ありと判断して,ジャッキー師父がダニエルさんを呼んだわけだけど),どこがどう違うのか曖昧だし,実際のところ空手大会と称していても,ほとんど天下一武道会か「鉄拳」か「バーチャ」モドキの格ゲーみたいで,どの辺が「空手」の大会なのかよく分からん。

とまぁ,『レジェンズ』という名の通り,冒頭にはミヤギさん(ノリユキ・パット・モリタ)とダニエルさんの懐かしい場面(たぶん『2』?)があったり,最後には「コブラ会」のあの人がミヤギさん家に一緒にいたり(ドラマ『コブラ会』絡みでしょう),そのミヤギさん家は,『1』のときのものを再現していたり(ただ,20~30年しても,車の位置までほぼそのまんま,ってのも・・・)と,なつかしの同窓会映画ってことですね。ときどき,数十年ぶりの続編映画で,なつかしのキャストが実際に年を取って出演,ってのがありますが,これもそれ。

あとは,やっぱり,ダニエルさんとジャッキー師父では,功夫の蓄積が違うのが,見えちゃうな~(笑)。ラルフ・マッチオは,別に,アクション俳優じゃないしなぁ。そもそも『カラテ・キッド』の面白さは,ド素人が無我夢中で謎の稽古(ワックスがけとかペンキ塗りとか)して,知らない内に強くなっていて,最後には強い奴に勝つ,って話なわけで,そのかつてのダニエルさん(=ド素人)はジャッキー師父(=説明不要のレジェンド・アクション俳優)並みに達人扱いだし,一方で,ニューヨークに来た時点ですでに相当なカンフーができる主人公が,空手大会のために例のジャッキー版『ベスト・キッド』の服を着たり脱いだりする謎稽古を今更繰り返したりと,なんか全体に緩い。ああ,ゆるく懐かしむ映画だったか。

主人公とジャッキー師父がニューヨークで再開する場面では,なぜか師父が自宅に不法侵入していて暗闇の中いきなり主人公に全力で攻撃を仕掛ける,という意味不明の師弟いちゃつき場面も。

ダニエルさんとミヤギさんの『ベスト・キッド』(1984)は,ブルース・リー師父の『ドラゴンへの道』(1972)に並ぶ,僕のベストオブベストな映画だけに,まぁ,言いたいことはたくさんありやす(笑)。

★★




アンティル・ドーン

(原題:Until Dawn)(アメリカ,2025)

なんだか単なるお化け屋敷映画。タイムループもので,設定は良いように思うんだけどね。殺人鬼とかゾンビとか怪物とか魔物とかがてんこもりで出てくるスラッシャー映画,スプラッタ映画。ゲームか何かの映画化?

と思ったら,やっぱりそのようでした。プレステのゲームでした。なんだかゲームっぽいと思いました。

★★


ワンドゥギ

(原題:Punch)(韓国,2011)

障がいを持つタップダンサーの父,その父を心から慕う知的障がいの叔父ミング(血はつながってない)と,三人で貧乏暮らしの高校生ワンドゥクは,毎日鬱屈しているケンカっ早い問題児。その担任教師で,破天荒だが正義感は強いドンジュ。ワンドゥクは,ドンジュのしつこいおせっかいを煙たがる。教会に行っては神様に,「糞ドンジュを殺してくれ!」と祈り続ける。ある日,ワンドゥクはドンジュから,いないと思っていた母親はフィリピン人で,今も元気に暮らしていることを知らされる。

中でも,イイ味を出しているのは,キックボクシングジムの館長と,隣人の変なオッサン。館長はもう,めちゃくちゃ厳しい人。ワンドゥクに一切容赦しません(が,ワンドゥクに目をかけてます)。「チクショウ」が口癖の隣人のオッサンはとにかく,変人ぶりが際立ってます(首にいつも変な細い紐?包帯?を巻いている:笑)。

不器用な父。優しい叔父。破天荒な担任教師。厳しい館長。みんな,ワンドゥクのことが好きなのです。

ハングルのことはよく分からないですが,主人公の名前はワンドゥクなのに,映画のタイトルはワンドゥギです。これは,名前の後に付く愛称?か何かで発音が少し変わるらしい。

あと,映画の中で,教師のドンジュも,字幕では「糞ドンジュ」となったりしますが,ほとんど「ドンジュ」にしか聞こえません。「教師に糞を付けるな!」と怒ったりしてるから,発音が若干変わるんだと思うのですが,まったく聞き分けられません(笑)。

★★★


2026年7月31日

ロードハウス/孤独の街

(原題:Roadhouse)(アメリカ,1989)

こちらは1989年版の,最初の方の『ロードハウス/孤独の街』。ジェイク・ギレンホールはこれのリメイク。なので,こっちも見てみました。

街道沿いにある,バンドのライブもやってる酒場の雇われ用心棒ダルトンが,街の利権を我が物としている成金から店を守る,ってストーリーは同じ。

だけど,まぁ,こっちは30年以上前の映画だし,全体にファッションやアクションやカメラワークがモサッとしてるかなぁ。

やっぱり連想するのは,『ドラゴンへの道』(1972)だよね。主人公のダルトン,途中で上半身裸で太極拳の稽古するし,どう考えても,リー師父を意識してないはずはない(下記ポスター参照)。しかしそこは,洗練されたリー師父のジークンドーにはかないません。

★★


スマイル2

(原題:Smile 2)(アメリカ,2024)

『スマイル』(2022)の続編。笑いながら破壊的な自殺をする者を見た者が再び,笑いながら人前で破壊的に自殺する連鎖。それは魔物の仕業であり,その者のトラウマ的な恐怖を食い尽くすまでじわじわと幻覚を見続けさせ,やがて狂気のあまりに自殺に追い込んでいく。

主人公のスカイ・ライリー(ナオミ・スコット)は人気歌手。1年前に自らのドラッグ絡みで大事故を起こしてからの復帰ツアーに向けて準備中,事故の後遺症の腰痛をごまかすために,強い鎮痛剤をもらおうと昔の友人(ドラッグの売人)に接触。そこで魔物に寄生されてしまう。

第一作目のアイディアそのままでの続編であり,当たりか外れかどっちかだろうと思ってましたが,まぁまぁ当たりでしたね。どこまでが幻覚でどこまでが現実かが分からなくなる設定が良い。

★★★


2026年7月30日

ロードハウス/孤独の街

(原題:Road House)(アメリカ,2024)

また観ました。3回目か。やっぱし,かっこいいなぁ。主演ジェイク・ギレンホール。

★★★★