森川亮 2022 ミネルヴァ書房
よくよく,ちゃんと,落ち着いて,考えてみよう。君は思考が奪われていないか,本当に自分で考えているか。そんな本です。こういうところまで切り込んでる本は,最近読んだ本だと,中島義道『差別感情の哲学』でしょうか。世の中に溢れている言説を鵜呑みにせず,立ち止まってよく考えてみること,自分を客観的に眺めてみること,バランスよく観察してみること。読んだ方が良い一冊。
身体を練る,言葉を練る,心を練る
森川亮 2022 ミネルヴァ書房
よくよく,ちゃんと,落ち着いて,考えてみよう。君は思考が奪われていないか,本当に自分で考えているか。そんな本です。こういうところまで切り込んでる本は,最近読んだ本だと,中島義道『差別感情の哲学』でしょうか。世の中に溢れている言説を鵜呑みにせず,立ち止まってよく考えてみること,自分を客観的に眺めてみること,バランスよく観察してみること。読んだ方が良い一冊。
(原題:American Fiction)(アメリカ,2023)
媚びない作風の頑固な小説家モンク。黒人として,いかにもな黒人社会を描いた中身の薄い小説に嫌気が指している。こだわりが強すぎて,勤めていた大学からも休暇(という名の休職)に出される中,いろいろと家族の不幸も続いて,半ばやけくそで書いた(ある意味,皮肉のつもりで冗談で書いた)いかにもな黒人小説がバカ売れする。嗚呼,なんてこった。
★★★
(原題:Fantastic Planet)(フランス/チェコ,1973)
有名なアニメ映画だよね。初めて観ました。1973年にこれはすごいよね。僕がまだ2歳だからね。50年前ですよ。衝撃だったでしょう,きっと。
魚のような顔をしたドラーグ人に,まるでアリのような昆虫のごとく,飼われ,遊ばれ,潰され,駆除される人間たち。人間からすりゃ,アリの扱いもそんなもんだったりするからねぇ。不思議な人種,不思議な服装,不思議な装置,不思議な習慣,不思議な植物,不思議な動物。
ただ,惑星間移動はいわゆる「ロケット」なのね。
★★★
(原題:The Lobster)(アイルランド/イギリス/ギリシャ/フランス/オランダ/アメリカ,2015)
なんかすごい映画,というか,ものすご~く変な映画を観てしまった。監督はヨルゴス・ランティモスというギリシャの人。これが長編三作目だそうです。変,って言っても,別に支離滅裂っていうわけではないです。筋はちゃんと通っています。いろいろと寓話や意味がこれでもか!というぐらいいろんなところに込められてます。最後まで釘付けです。
独身が罪となる世界で,妻に離婚された男・デヴィットが連れて来られたところは,風光明媚な湖畔にたたずむ瀟洒なホテル。ホテルには,「独身者」たちが宿泊している(というか,収監されている)。ここで,45日以内に相思相愛のパートナーを見つけなければ,希望する「動物」に換えられてしまう。タイトルの「ロブスター」は,デヴィットが希望する動物だから。なお,ホテル滞在者は毎日,森に逃げ込んで暮らす独身者たちを(麻酔銃で)「狩る」という義務も与えられている。独身者を一人捕獲するたびに,ホテルに滞在可能な日数が一日増える。
まぁしかし,数多あるディストピア映画の中でも,こんな設定は初めてですわ(笑)。過剰管理社会とか出産制限社会とか資源枯渇社会とかエイリアン支配社会とか色々ありますが,だいたい,あまりに突飛すぎる設定は随所に無理が出て,インパクトは最初だけで開始早々に破綻したりして,ご都合主義のオンパレードになり,もう後半はしょうがないからアクションでごまかす,なんてのが多いような気がする。しかしこの映画は,破綻する前に,畳みかけるように設定の細部をどんどん重ねていって,その中に暗喩・明喩の両方絡めて人間社会の本質,夫婦・家族の本質,愛の本質みたいなのを皮肉たっぷりに描いていて,非常に面白い。というか,変。
あまりに突飛な設定なので,これ,作りによっては思いきり空振りする可能性もあっただろうけれど(最初に脚本見せられた出資者は絶対難色示したんじゃなかろうか。「これ,大丈夫?」って),映画全体を通して真面目にキッチリ作られていて,妙な白々しさ,嘘くささは全然感じない。だから怖い。というか,変だわマジで(笑)。よく作ったよ,ホント。
終わり方もね~,良いよね~。愛とは何だ?夫婦って何だ?人間って,何だ~?
★★★★★
(原題:22 Jump Street)(アメリカ,2014)
「21ジャンプストリート」の続編。今度は大学潜入。シンプルなギャグに,笑えます。声に出して笑えるアメリカンコメディ。たぶん,ギャグが全体的にあんまりコッテリじゃないからかね。このぐらいが良いよ,このぐらいが。でも,下ネタは多いなぁやっぱり。
★★★
(原題:21 Jump Street)(アメリカ,2012)
1987年~1990年に放映されたテレビドラマの映画化。テレビドラマは,ジョニー・デップの出世作(らしい)。
青少年犯罪の潜入捜査専門の課,通称「21ジャンプストリート」署に所属することになった新人警官のシュミットとジェンコは,麻薬汚染が疑われる高校に「高校生」として潜入する!もうこの時点で笑える。なんで「21ジャンプストリート」かというと,隠れ蓑として,21番ジャンプ通りにある廃墟となった教会にこの捜査課(署)があるため。
全編,笑えます。アメリカンジョークなところも多いけど(アメリカ人は下ネタ好きだね~),でも,高校生の突き抜けた(無意味な)アホさってこういう感じだよね,というど真ん中なギャグが爽やか。
カメオ出演で,テレビシリーズのときのコンビ,ジョニー・デップ(とピーター・デルイーズ)が登場!愛されてるなぁ。
★★★
川崎悟司 2019 SBビジュアル新書
代表的な動物の特徴を,特に骨格の観点から,人体で表現してみたらどうか,っていう本。そうすることで,その動物がどのように進化して今の形になったのか,いかに人類と異なるのかが良く分かる。なので,ただ単にヘンテコな動物人間の図鑑ではなくて,「構造」的な説明と「進化」的な説明がポイントになっている。面白かったです。
図鑑としての発想が極めてオリジナリティが高く面白いからか,なぜか映画化されてます。観る気は起きないですが。
京極夏彦 (2002) 講談社文庫
講談社ノベルズ版は,1996年刊。漠然としたイメージ(千葉県にある名門女学校が舞台)が残っているだけで,話の中身は全然覚えてませんでした。最後まで読み応えがありました。