2023年4月22日

このゲームにはゴールがない:ひとの心の哲学

古田徹也 (2022) 筑摩書房

言語哲学。門外漢なので正しいのか分からないけど,いわゆる「心の哲学」とくに「他我問題」を言語哲学的に考えた感じでしょうか。言っていることは分かるし,なるほどそういう風に見ればそうだよね,というところもあるけれど,そもそも僕はこの本の中でいう懐疑論的な立場というか,その立場をただ面白がってる遊んでいるだけなところはあるので,なんだかその遊びを注意されてる(ふざけないでちゃんと考えなさい!)みたいで,そこんところがちょっと面白くない。懐疑論とか反懐疑論は,理論でもなんでもない(から,不毛だ)と言っているからね。でも,本書の結論も結局,懐疑論の範疇から出ないんじゃないかなぁ。分からんものは分からん,そういうゲームなのだ,ということだし。いや,しかし,そこが僕の哲学的理解の浅さなのかもしれない。よく分かりません。古田先生ゴメンナサイ。こういう,哲学的な詳細が,踏み込んでいくうちにだんだん分からなくなって思考が混乱して曖昧になるところが,徹底的に哲学できない僕の性質いや限界なのであって,たぶんそれが心理学者になった理由のような気がしています。哲学者ってのは,だからいつでも尊敬しています。いずれにせよ,他者の心をどう思うか,という議論や,感情や意思や動機というものをどう扱うか,心とは何か,って話は面白いし,僕自身にとってもずっと本質的な問いです。



1 件のコメント:

  1. ご無沙汰しています。お元気ですか。

    私は本書を読んで、心について考えたかったすべてのヒント(始まり)がここにある!と思うほど感銘を受けました。保存用にもう1冊買おうか悩んでもいます(読んでいるとぼろぼろになるので)。

    湯川先生のコメントが、私の感想とは真逆とは言わないまでも違った方向の感想でしたので、思わずコメントしてしまいました。「心とは何か」を考えたくて心理学を始めたのに、大学院ではその問いから離れてしまって、大学院を修了してから(やっと)その問いを考え始めることができています。

    なかなか先生とお会いできる機会がなくなってはしまいましたが、またいつかお話できることを楽しみにしています。

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