道又爾 (2009) 勁草書房
心理学という学問のヘンテコさ(怪しさ)について,学部で始めたころからなんとなく感じてはいましたが,意識的には特にこの10年ほど考えてたこと,ここ最近では一般教養の「心理学」の授業で学生に話してること(人間の心を研究すると称する心理学という学問のヘンテコさ)が,ほぼほぼここに書いてありました。
「心理学」は,うちの大学では「A」と「B」がありまして,履修上,学生はどっちから取ることも可能だから,AとBは独立して内容を構成しています。そこで,Aはどちらかといえば広く浅く心理学の射程を紹介する感じで,いわば「心理学概論」的な話。一方,Bはより原理的に狭く浅く,いわば「心理学の哲学」みたいな感じで,心とは何か,他者の心って何か,そういう心を研究する心理学って何か,みたいなところを話しています。「まぁ,まさに『B面心理学』っつうことですね」と,うううん我ながら良い例えだぜ,と悦に入って最初の週に学生に説明していますが,残念ながら今時の学生に「B面」は通じず。
この,「心理学B」で,僕が心理学をずっとやってきて思うところ感じるところ(要するに,違和感や不全感として感じられる学問としてのヘンテコさや怪しさと,しかし,そのヘンテコさ・怪しさ故の学問そのものや人間存在の面白さ)を何とか学生に伝えようとしているのですが,そのヘンテコさと面白さが,分かりやすく書いてありました。あとがきでは「愛想半ば」と書いてますが,まさにその通り。
ああ,道又先生,今までお会いしたことはないですが,同じこと考えてたんだ~,良かった~,僕だけじゃないだ,このモーレツな違和感は~・・・って,あれ?これって,心理学やってる人はみんな思ってることなのかな?