2025年10月22日

ヒトはなぜ自殺するのか:死に向かう心の科学

ジェシー・べリング(著)鈴木光太郎(訳) 2021 化学同人

これも非常に勉強になりました。新潟大の鈴木光太郎先生の訳。しかし,なぜ鈴木先生が?と思って読んでましたが,けっこう進化的な観点の話が多いからか,と納得。なお,鈴木先生はこのベリングの本をすでに3冊訳してます。これで4冊目。



2025年10月19日

第52回全日本杖道大会

1回戦敗退。

思うところはいろいろありますが,足りないところは多々あり。清々しいぐらいの負けっぷり。とにかく,あれこれと足りませんでした。身体的にも精神的にも。身体と心。まだまだ全く,修業がなってません。稽古あるのみ。一から稽古し直し。

つまり,逆に言えば,収穫もまた多々あり。何が足りないか。現段階で見える範囲で,足りないところに気づくことができました。

四段~七段の決勝まで見ました。スピード,パワー,気迫はもちろん,そこに正確さ,キレ,安定感(体軸のブレなさ)がある。そして,剛と柔。線と円。概して,美しい。私に足りないものがたくさんありました。全然,足りてません。自分はまだまだまったく美しくない。武術的な美しさ。

勝つ人は勝ちます。常に勝つ。圧倒的に勝つ。それは,日々の稽古・鍛錬の積み重ね。正確さ,キレ,安定感は,ひたすらに稽古をしてきた蓄積だと思う。そう思いたい。ああいう,正確な杖筋と太刀筋,キレのある杖裁きと太刀裁き,姿勢や重心の安定感は,むろんセンスや才能もあるだろうけれど,むしろ,ただひたすら愚直な稽古の継続と蓄積なのではないだろうか。そう信じて稽古あるのみ。

試合を稽古の糧にしていくこと。それが武道で試合をする本来的な意味だから,稽古に活かさなければ試合をする意味もなし。ただ,あっさり負けるとその分フィードバックも少ないから,稽古の糧にするためにも,もう少しやりたかったなぁ(笑)。


2025年10月13日

PERFECT DAYS

(日本/ドイツ,2023)

主演・役所広司。第76回カンヌ映画祭男優賞。ようやく観ました。なんというか,こう,じわじわ来るね。

★★★★


2025年10月10日

2025年10月6日

アメリカン・カーネイジ

(原題:American Carnage)(アメリカ,2022)

不法移民とその家族(子どもはアメリカで生まれているからアメリカ国民なのに)が逮捕されるが,3か月間介護付き老人ホームでボランティアをすれば釈放されるというプログラムに参加するか(あるいは刑務所に行くか)と誘われ,プログラムに参加する主人公JP。しかしその施設は何かが怪しい・・・と,ここまでの展開は移民や差別の問題も絡んでいて悪くはないと思ったので,さてどうなるか最後まで観ましたが,もう途中から無茶苦茶でした。なんだこれ。

こういう,無茶苦茶なのが,意外と後々カルト映画化するのかね。


スピリットウォーカー

(原題:Spiritwalker)(韓国,2021)

12時間ごとに体が入れ替わる記憶喪失の男。俺は一体誰だ?

アイディアは面白い。そのアイディアを利用した展開はサスペンスとしても面白い。アクションも,まぁ,良い(ただし,そんなに入れ込まなくても良かったのでは。ジョン・ウィック的なガンアクションが長い。そこ,この話にとってそんなに重要か?)。ただ,そもそも,その根本的なアイディアが成立する理屈がちょっと強引かなぁ。別に科学的な根拠は設けなくても,超自然的な力でそうなってしまった,とかでも良いように思うけどね。アイディアは良かった。

★★★



2025年10月5日

見える子ちゃん

(日本,2025)

面白かった~。邦画は普段ほとんど見ませんが,ホラーコメディで,なんとなく面白そうだったので見てみました。

突然,霊が見えるようになってしまった女子高生のみこ(原菜乃華)。見えてることに気づかれると霊がついてきてしまうので,見ないふりしてしのいでいたところ,ある朝,親友のハナ(久間田琳加)の右肩に霊の手が!

★★★


2025年10月3日

ヌシ 神か妖怪か

伊藤龍平 2021 笠間書院

ヌシ論。日本各地に伝承されている「ヌシ」(的なもの)に関する総覧的まとめ。期待通り。面白かった。


2025年10月2日

アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド

(原題:Ich Bin Dein Mensch)(ドイツ,2021)

イイ話でした。ずっと見ようとは思いつつ,なかなか見られなかった。というのも,テーマがテーマだけに,ものすごくありきたりで下らなかったらどうしようと思って,つい避けてました。が,しかし,イイ映画だった。以下,ちょっとネタバレ含む。

伴侶(恋人)として,自分好みに設定されている精巧なアンドロイドと3週間暮らす実験に参加する,考古学者のアルマ(独身)。アンドロイド(ロボット)が人間の伴侶になるわけがないと端から懐疑的だが,実験に参加すれば研究旅費を付けるからと学部長に誘われ,しぶしぶ参加する。キザなセリフとシチュエーション作りでアルマを喜ばせようとするハンサムなアンドロイドのトムとの奇妙な同居生活が始まる。

トムは,キザな二枚目野郎だけど,どうすればアルマが幸せになるかを考えて(フル計算して),さりげなく奮闘する健気さが切ない。でしゃばらないし,おしつけがましくない。しかし,トムが何をしようとも,(最初は特に)やることなすことキザすぎる(アルゴリズムが最適化されていないから/深層学習が進んでいない初期設定だから),回答が完璧で正論すぎる(AIだからね),そんな機械とは恋人になんかなれないと,頑なに合理と論理を優先しようとする科学者のアルマ。これもまた道理。

共に過ごすことによって最適化が進み,やがて完璧な伴侶となるアンドロイド。それはその人の望み通りの伴侶であり,その人はそれによって幸せになれるだろう。しかし,そうなると人はもはや,生身の人と付き合うことができなくなるにちがいない。だから,最後にアルマが下した実験の評価は「×」。でも,アルマは,いなくなったトムを探しに行く。

★★★★


ヒトラーを殺し,その後ビッグフットを殺した男

(原題:The Man who Killed Hitler and then the Bigfoot)(アメリカ,2018)

思わずまた見てしまった。3回目。これ,傑作だと思います。何回見ても面白い。

第二次世界大戦。出兵で最愛の恋人と離れ離れになり,戻ってきたときには,すでに恋人は若くして亡くなっていた。やがて長い年月が過ぎ,白髪の老人となった男は,閉店間際までいた場末のバーで,ガラスに映る年老いた自分の姿を見て,深いため息をつく・・・。

まず,「ヒトラー」と「ビッグフット」の組み合わせが秀逸。タイトルで思いきりB級感を漂わせつつ(笑),国家の都合に翻弄される男の悲哀を丁寧に描いている。そして,ナメ殺。ヨタヨタした老人だと思ってナメて襲ってきたチンピラ強盗三人を瞬殺。人類滅亡を救う最後の望みは,かつて,天才的な語学力と追跡能力を買われ,歴史の裏側でヒトラー暗殺を完遂させた伝説の老兵に託される。

なお,細かい下りはやっぱり(配信用に?)編集(カット)されてるところがあるかなぁ。帽子屋のところで,抜きん出た語学力を仄めかす,婚約者とのやりとりがあったような・・・。

★★★★