2026年11月7日

武道論:これからの心身の構え

内田樹 2021 河出書房新社

内田師の,武道に関する最後の本(とご自身で書いておられる)。けっこう久しぶりに内田師の本を読んだ気がします。様々なことを本で書いておられるので,必ずしも武道関係のことだけではないですから,読んだり読まなかったりでしたが,やっぱり「武道論」と言うタイトルですから,読まないわけにはいかないと思い,読みました。2021年刊ですから,どうやら見落としていたようです。ようやく読みました。

これまでにも各所で語ってこられた武道論,武道的な観点からの教育論・社会論など,の評論集です。とにかく大なり小なり多々影響を受けてきたので,こうしてまた改めて師の考えに触れると,心の奥底が震える気がしました。

しかし,改めてこうして読み通すと,専門の哲学や武道に限らず歴史や社会制度にも博学博識だし,難しい熟語(そんな動詞は僕は普段使わない,っていうような動詞とか!)を頻繁に使うし,別に知識だけが重要じゃないけれど,教養の深さをベースにした思慮深さをつくづく感じました。

こういう,社会に向けて「モノ言う武道家」は,内田師以外あんまりいません(他にいます?管見の限り,知りません)。「モノを言う」ためには教養だけではダメで,たぶん,勇気が要ります。というのも,コンプライアンスへの配慮は当然のことながら,場合によっては「敵」を増やすことにもなりかねません。本書で内田師の言うように,武道家は「天下無敵」(←意味は本書を読んでね)を目指すのならば,「モノを言う」ことは,事によってはそれに逆行しかねない行為でもあります。

内田師の配慮は,そこのところまで含めて,それでもやはり「世のため人のため」になることを言い続けることが自分の使命であると確信しているかのように,ときに(いや常に?)手厳しい社会批判・体制(政治)批判・(学校)教育批判を展開しています。そういう意味では,本当に,極めて貴重な人だと,思います。



2026年11月3日

新版B面昭和史1926-1945

半藤一利 2026 平凡社ライブラリー

本書は2014~2016年に平凡社の文芸誌『こころ』に連載されたもので,単行本を経て2018年に平凡社ライブラリーとして文庫本化した後に,(おそらく)最後の対談を加えて「新版」として2026年に出たものだろうと思われます。

日本が,昭和と年号が変わってから,やがて太平洋戦争へと突き進んでいき,最後にはにっちもさっちも行かなくなって降伏する,その流れ,うねりを,庶民の暮らしという観点から紐解いています。著者は,「歴史探偵」と自らを称して,丁寧に解きほぐしていきます。とにかく,文章が軽快で読みやすかったし,勉強になって面白かったです。何よりすごいのは,著者がこれを書いたのが80歳前半~半ばってことです。すごいわ。

なるほど,戦前って,とても遠いところにあった気がしていましたが(それはたぶん,戦前と戦後で切り離されている感じがするから),地続きであると感じさせられました。政治的思想的には全く相容れない(まるで別の国の)戦前と戦後ですが,庶民の生活という面で言えば,ある日突然何かが変わったわけではなく,戦前も戦後もそのまま,もっと言えば昔からずっと,生きるための日々の営みは続いている,玉音放送を聞く前日もその日も翌日も,同じように飯を食って寝る,という当たり前のことがよく分かりました。

この前83歳で死んだ親父は,昭和17年(1942年)11月生まれ。戦中生まれというのは概念的には分かっていましたが,なかなか厳しい時代に生まれたんだなぁ,とつくづく思いました。戦後もしばらくは混沌としていただろうに。数年前に死んだ伯父さんは,たしか親父より9歳ぐらい年上だったから,この大変な時期に小学生ぐらいか。いやぁ,きっと毎日,腹減ってただろうなぁ。


山形県少林寺拳法連盟50周年記念式典で講演

ご縁がありまして,先日の10月31日(土),山形県少林寺拳法連盟創立50周年記念式典に招かれ,講演をしてきました。講演のタイトルは「武道と感情:稽古における思想と方法論の観点から」でした。このタイトルは,予定では今年度末ぐらいに,日本感情心理学会の2つの機関誌の内の1つである『エモーション・スタディーズ(ES)』に載る私の論文と同じです。その論文の内容をふまえて,約80分ぐらいの講演をさせていただきました。

(少林寺拳法のシンボルマークをここにどどーんと張り付けたかったのですが,しかし,権利関係でいろいろとありそうなので,やめておきます。その代わり,リー・リン・チェイ[ジェット・リー]の主演映画『少林寺』と,千葉真一の主演映画『少林寺拳法』のポスターを貼り付けます)

 


内容としては,私がこれまでにも著書や雑誌記事などで書いているいつもの話といえばいつもの話でして,要するに,武道はスポーツではない,ということがメインです。で,武道とスポーツは何がどう違うのか,という話をしてきました。さらに,今回のES論文では,武道稽古の喜び,武道稽古の心理学的な効用,なんかも加えていますので,その辺の話もしてきました。

論文そのものは,もう少し先ですが,そのうちいずれ出ますので,ご興味ご関心のある方は,ご笑覧くださいませ。ESは電子ジャーナルですので,論文はPDFで無料ダウンロードできます。J-stageでも良いですし,単純にGoogleでも,タイトル検索すればたぶん辿り着けると思います。なお,出ましたら,改めて,このブログでお知らせすると思います。


2026年10月30日

ブログ【じょうとたち】に,杖道をどう紹介するか,について書きました

ブログ【じょうとたち】に,「杖道」を手短に紹介するには何をどう言えば良いだろうか,について書きました。

【じょうとたち】

https://jo-and-tachi.blogspot.com/

ブログ【じょうとたち】に,白鷗大学杖道会の白鴎祭での演武について書きました

ブログ【じょうとたち】に,私の教えている白鷗大学杖道会(大学での名称は「古武道杖術愛好会」)が大学の学園祭(白鷗祭)で行った演武について書きました。

【じょうとたち】

https://jo-and-tachi.blogspot.com/