2023年5月3日

ロスト・ボディ ~消失~

(原題:A perfect enemy)(スペイン/ドイツ/フランス,2020)

原題を直訳すれば,「完璧な敵」でしょうか。それだと本作の内容がイマイチよく分からないから「ロスト・ボディ~消失~」にしているわけですが(何をもってこのタイトルにしたかは,見終わる頃には分かりますが),それでもやっぱり,この邦題だとさらによく分からない(笑)。一体,どんな映画なのか,タイトルからはさっぱり。じゃ,どんなタイトルが良いかと言われればそれも難しいけど。

著名な建築家のジェレミーは,パリでの講演後にタクシーに乗るが,空港までの渋滞に巻き込まれる。途中,同じく空港に行くという若いアバズレ女を乗せてやることに。結果的に予定していたワルシャワ行の飛行機には乗れず,ラウンジで時間をつぶすことに。すると,その女がラウンジにやってきて,あれこれ絡んできて,離れない。でもって,勝手に色々話し出す。なんだこの変な女は。

この変な女のキモさが謎で,最初はなんだか恨みを持ったヤツにストーカーされる話かと思って,観るのを途中で止めようかと何度か思ったけど,最後まで観ることができました。嫌いではない話。

まぁだから,ものすごく特徴的なのはこの二十代のキモい女の存在なのであって,全編,基本的に,この女との空港と回想での二人劇なわけだから,やっぱり,タイトルは,この女にちなんだ方が良いでしょう。「空港女」とか,どうでしょう?(笑)邦題は,結局,種明かしっていうかネタバレっていうか核心っていうか,「ああ,そういうことね」という話なので,だからやっぱり良くないよね,タイトルにするのは。

ただしかし,なぜ「女」なのかね。「男」だと,絡んできた時点でケンカになっちゃうか警察に通報されるだけだからかね。若い女,ということで,ラウンジで絡んでくることを許容させている仕掛けになってるってことか。あと,なぜ「アバズレ」なのか。これもやっぱり,しつこく何度も絡んでくる必要があるから,まっとうな若い女性や淑女では駄目なんだね。でも,一見まともな人がラウンジで病的にしつこく絡んでくるのも,それはそれでキモいと思うけど。

一番最初の場面で,この女,自分でタクシーのドアを開けました。ここは,厳密さを追求するために,ジェレミーが開けないといけないと思う。惜しい。

★★


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