2024年9月17日

ドント・ウォーリー・ダーリン

(原題:Don't Worry Darling)(アメリカ,2022)

ああ,なるほど。一応,分かりました。

時は60~70年代のアメリカ。豪華な家とスマートな夫のいる優雅な生活を送る主婦のアリス。ビクトリー社に勤める夫を送り出し,家事をこなした後は,奥様たちとプールサイドでおしゃべり。夜はパーティ。そんなある日,隣の奥様の様子がおかしい。漠然と感じる違和感。あるとき,気晴らしにバスに乗っていると,プロペラ機が立ち入り禁止区域の山の向こうに墜落するのを目撃。心配になって見に行くと,丘の上に奇妙な建物が立っていた。

以下,ど~しても気になるので,ややネタバレ。もし良かったら,観てから読んでね。面白い映画ですから。

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そもそも,これは何のために?誰得?ボランティアじゃないんだから,装置のシステムと身体的な衛生・栄養の維持管理のための予算もそこそこかかるでしょう?国家予算レベルとまでは言わないけど,大富豪レベルの予算は必要ではないか。まぁ,しかし,そういう偏った思想に基づいた狂気の実験計画,ってことなんだろうね。近未来だから技術的な面から予算もそれほど掛からないってことかね。技術的なギミックや方法はあえてショボく作ってるみたいだけど。

あと,話の転換のキッカケとなる「飛行機の墜落事故」はなんで起きたんだろう?世界は完璧じゃなかったのか?やっぱり完璧ではない?それから,ときどき揺れるのは何だろう?壁が迫ってくる幻覚は?システム障害なのか?それともバグなのか?寝返りしてるから?何の伏線なんだ?いや,これはすべて,要するに,作りものの世界であるという,この話そのものの伏線なんだね。

そうだとして,複数の人間で世界が共有されてるようだけど,それは一体どうやって?そういうシステムと言ってしまえばそれまでだけどねぇ。それから,時間的な尺は同じなのか違うのか?尺が同じなら,やっぱり予算がそれなりにかかるんじゃないかなぁ。同じだとすると予算的にも身体的にも(衛生とか栄養とか)続かないでしょう,この実験計画だと。それから,男は昼間の仕事中,何やってることになってるんだ?やることないから暇なんじゃないか?いや,そうじゃないのか・・・うううむ。つまり,一時的には成立するかもしれないけれど,継続性を考慮していない,根本的に破綻した計画なんじゃないかと思うわけですよ。時間的な尺が全く違う「胡蝶の夢」なのであれば成立すると思うけど,そうだとしたら,この実験の狂気性は薄らいでしまうわけで(その場合は,『トータル・リコール』のリコール社みたいなもんでしょう)。

・・・と,細かいところの整合性や意味を考えたら色々と疑問が湧きますが,まぁ,面白かった。細かいところに目を瞑って,表面的に見れば(深く考えなければ),とても面白い設定です。近未来SFです。

★★★


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