2025年1月31日

2月1日早朝,ミャンマー最後の戦争が始まった。

フレデリック・ドゥボミ(脚本)ラウ・クォンシン(作画)ナンミャケーカイン(翻訳) 2024 寿郎社

2021年2月1日,ミャンマーで起こった軍事クーデターによって,再び軍部による独裁体制に舞い戻ってしまったミャンマーの様子を描いた漫画。クーデターから,明日でちょうど丸4年が経つ。

知り合いにミャンマーの人がいて(大学院のときの先輩),たしか大学院当時も軍政下でしたが,非常に優秀だったので国費留学か何かで大学院に留学に来ていました。そのときから,国に自由に帰ったり,家族と自由に連絡を取ったり,というのはできなかったように覚えています。その後,アウンサンスーチー氏率いるNLDに政権が委譲されて民主化したときには,本当に良かったと思っていました。これで自由に帰ったり連絡を取ったりできると,他人事ながら安堵というか嬉しさというか,そんなものを感じていました。「アジア最後のフロンティア」と呼ばれて,経済的な発展も右肩上がりでした。外国人の行き来も自由になって,観光客も多数訪れていたでしょう。たしか,ヒロシの『迷宮グルメ 異郷の駅前食堂』でもミャンマーロケがあったから,ミャンマーもずいぶんオープンになったなぁ,良かったなぁと思っていました。しかし,それからまもなく,またこの軍事クーデターでもって,もとの軍事独裁政治に戻ってしまいました。もうすぐ80歳になるアウンサンスーチー氏は今,どこに収容されているのかさえ明らかにされていません。私の知り合いの気持ちを思うと,心が痛いです。

ミャンマーの近年の繁栄は明らかに民主化のおかげであって,その繁栄を我が物にしようとクーデターによって軍事独裁に戻してしまったら経済は停滞して衰退してしまうわけで,軍部はそんなことも予測できなかったのかと不思議に思います。いや,それでも権力を握りたいのか。


2025年1月30日

行方不明展

梨/株式会社闇/大森時生 2024 太田出版

「行方不明」にまつわる,張り紙,物,手紙,動画などの展覧会を書籍化したもの。ここに展示されているものをあえて分類すれば,

・行方不明になった(と思しき)人の手紙あるいは物(遺留物)など

・家族が行方不明になった(と思しき)人が行方不明者の捜索協力を求める張り紙など

です。このとき,後者の場合,本当に行方不明になっているケースと,もしかしたら妄想かもしれないと推測されるケースがあります。

それから,ここで出てくる「行方不明者」には,行方不明になりたい願望(意思),あるいは,「異世界」へ行きたい,今いるこの世界から消えて別の世界に行きたい願望(意思)のようなものも醸し出されてます。そして,それにまつわる「都市伝説」的なものも含まれます。そこで浮かび上がるポイントは,「死にたい」ではなく「行方不明になりたい」ところです。

と,「行方不明」に関する様々なオブジェで構成された展覧会であって,たいへん興味深かった。そして,これらが全部,フィクションであり,その一つ一つがとてもよく作られていることにも感心しました。つまり,「行方不明」をテーマにした現代アートの展覧会,というわけですが,いろいろ感じるところがありました。


2025年1月12日

シャザム!

(原題:SHAZAM!)(アメリカ,2019)

久しぶりにまた観ました。続編の『シャザム!神々の怒り』(2023)を観ようと思って。やっぱり面白い。観ていて飽きない展開。

ところで,最後に続編を匂わせるエンディングになってますが,続編が公開されるのにちょっと時間が経ってるのは,もしかしたらコロナのせいかね。

★★★


2025年1月11日

フランキー 不完全な男

(原題:Bad Frank)(アメリカ,2017)

うううむ,どうなんだろう。微妙だなぁ。

昔,相当に危ないブチギレ野郎だったけど,断酒会で知り合った看護師のジーナと出会い,更正して真っ当な暮らしをしていたフランク。両親とは絶縁状態だが,5年の断酒生活で,ようやく父親と会って話ができるように。そんなときにふと,昔の悪党仲間ミッキーと出会ってしまう。

なんか中途半端なんだよね。監督は,このフランクという,自己制御できない幼稚なブチギレ野郎を,どう描きたかったんだろうか。いっそ,ナメ殺映画にしてしまえば良かったんじゃないか。せっかく真っ当に生きてたのに,悪党にちょっかいかけられて,どうにも我慢できなくて,酒飲んでスイッチオン,とかで良かったんじゃない?酒飲む前から,ときどき小ギレするし,とうとうバーのあんちゃんをボコスコにしちゃうし,いやいや正体明かすのまだ早いでしょ,ここで中途半端にスイッチオンしたら,後半の盛り上がりをどう持っていくのさ,と観ながら心配してたけど,案の定,なんとなく微妙な終わり方。

邦題のサブタイトルは何なんだろうね。『不完全な男』ってどういう意図で付けたんだろう。原題のBad Frankは,良いタイトルだよね。「悪いフランク」です。真っ当に暮らしてる表の「善いフランク」の内側に潜む裏の「悪いフランク」。まともな人間になりたかったんだ,俺は。

途中,薬を2種類飲んでいる,っていう下りがある。2つとも頭痛薬だとフランクは言うけれど,看護師のジーナはなんで頭痛薬が2種類なの?と疑問に思う。ただ,冒頭で,この薬が切れるんだよね。診察も再来週にしか受けられないから手に入らない。すると,イライラがだんだん表に出てくる。何らかの抗精神病薬とか,そういう意味なのかね。

★★


六月のぶりぶりぎっちょう

万城目学 2024 文芸春秋

直木賞受賞作『八月の御所グラウンド』に続くシリーズ第二弾。面白かったです。京都に住みたいねぇ。


2025年1月9日

オールドマン

(原題:Old Man)(アメリカ,2022)

これはなかなか面白かった。思わず見入ってしまった。

山奥の掘っ建て小屋に一人で住む老人。そこに,道に迷った一人の青年が訪れる。孤独な老人は極端に疑り深い。青年は,そんな老人に殺されるんじゃないかと気が気でない。それでも,奇妙な話をし続ける老人と少しずつ打ち解け始め,お前はどこで生まれた,なぜここに来たかとあれこれ尋ねる老人に,青年は怯えながらも自分の身の上話を始める。

主演は,『ドント・ブリーズ』のスティーヴン・ラング。基本的に全編,老人と青年の二人芝居。何なんだこの話は?一体どうなるんだ?と,始終,目が離せません。アマプラの評価はなぜか低いけど,僕は好きだなぁ,こういう映画。筒井康隆的ブラックSF。

★★★


2025年1月3日

マン・オブ・スティール

(原題:Man of Steel)(アメリカ,2013)

前にも観たけど,また観ました。続編(?)の『バッドマンVSスーパーマン:ジャスティスの誕生』を観ようかなと思って。

★★★


2025年1月2日

寄生獣 / 寄生獣 完結編

(日本,2014)

超有名な漫画『寄生獣』(岩明均,アフタヌーンKC)の映画化。漫画の方は,読んだような読んでないような(たぶん,最初の方だけ読んだんだろうなぁ)感じだったので,映画の方を観ました。面白かったです。

そもそも,エイリアンなの?漫画の方は,空から降ってくるんだよね(なんとなく覚えてる)。しかし映画の方は,降ってきてないよね?(海からぶくぶく出てきたぞ)

そこんところが,まぁ,あれか。大気や海洋を含めた地球上の環境を汚染する人間の活動が生み出した,的な?あくまで,地球圏内の出来事として,循環システムの中で生じてることなんだよ,的な?

今度,時間があったら漫画の方の冒頭も観てみよう。

★★★



八月の御所グラウンド

万城目学 2023 文芸春秋

第170回直木賞受賞作。万城目ワールド。京都に住みたいなぁ。