梨/株式会社闇/大森時生 2024 太田出版
「行方不明」にまつわる,張り紙,物,手紙,動画などの展覧会を書籍化したもの。ここに展示されているものをあえて分類すれば,
・行方不明になった(と思しき)人の手紙あるいは物(遺留物)など
・家族が行方不明になった(と思しき)人が行方不明者の捜索協力を求める張り紙など
です。このとき,後者の場合,本当に行方不明になっているケースと,もしかしたら妄想かもしれないと推測されるケースがあります。
それから,ここで出てくる「行方不明者」には,行方不明になりたい願望(意思),あるいは,「異世界」へ行きたい,今いるこの世界から消えて別の世界に行きたい願望(意思)のようなものも醸し出されてます。そして,それにまつわる「都市伝説」的なものも含まれます。そこで浮かび上がるポイントは,「死にたい」ではなく「行方不明になりたい」ところです。
と,「行方不明」に関する様々なオブジェで構成された展覧会であって,たいへん興味深かった。そして,これらが全部,フィクションであり,その一つ一つがとてもよく作られていることにも感心しました。つまり,「行方不明」をテーマにした現代アートの展覧会,というわけですが,いろいろ感じるところがありました。
0 件のコメント:
コメントを投稿