広島杖道大会に出場してきました。
個人戦,団体戦ともに,1回戦敗退でした。残念。
ただ,今回は非常に大きなものを一つ得ることができました。ごくごく当たり前の,いや,武道的には本当に初歩の初歩,初級中の初級,イントロ中のイントロだと思うのですが,それは,「目付」です。
広島大会は,大会の前日の土曜日の午後13:00~16:00,随時自由参加の合同稽古というのを行います。これはたぶん,非常に珍しい形態です。各自相手を見つけて稽古したり,高段者の先生に稽古をつけていただいたりと,3時間,会場内でみなさん自由に稽古している感じでした。人見知りして一人体操なんかしていたら(笑),声かけていただいたりして,本当にありがたい限りでした。
その際,広島の先生に稽古をつけていただいたのですが,「目付」(視線)のことをご指摘いただき,何か根本的にひっくりかえるように,ハッとさせられました。具体的には,自分がいかに,相手の太刀や攻撃箇所だとか自分の杖だとかをチラチラと見ているか,つまり,視線がしょっちゅう外れるかを知ることができました。
これは本当に良いものをいただいたと思い,もちろん,翌日日曜日の試合でも実践しようとしたのですが,まぁ,急に意識してやっても(付け焼刃?ですから)それはそれで難しく,結果には結びつきませんでしたが,この経験を反すうしていて,帰りの道中,さらにハタと分かったことがありました。
それは,自分がいかに自分の身体にばかり意識を向けているか(向けすぎているか),です。杖道は,相手(敵)と対峙して,二人で演武する武道です。相対している目の前の相手の目を通して,相手と自分がつながることを,というか,そもそもそれが太刀と杖で演武する杖道(の醍醐味)であることを,自分の身体のことばかりに意識を向けすぎていて,全然分かっていなかったことが分かりました。
前日の広島の先生の仰っていたこの言葉(「目を通して自分と相手がつながる。それが杖道の醍醐味」)の意味が,なんというか,実践によって体感でもって身に染みて,分かったのです。
おそらく自己の身体に意識を向けすぎるので,試合のときはさらに緊張もしますから,よけいに動きが硬く,ぎこちなく,小さくなるのです。相手のことは置き去りにして,自分のことばかり考えている。つまり,結局やっぱり,「私」に囚われている,「私」に執着しているのです。我執ですね。
「私」から離れること。それには,相手の目を見て切らさないこと。
「目付」の本質,大事さを改めて知る,というか,杖道という武道の醍醐味(面白さ,奥深さ,難しさ)を改めて知る,本当に良い経験でした。いやぁ,新幹線代とホテル代を使って広島まで行って,本当に良かった~。負け惜しみではなく,本当に,負けて大収穫(笑)。勝ってたら分からない,そういう,貴重な学びを得ることができました。

