(原題:Border)(スウェーデン/デンマーク,2018)
ずっと観たいと思っていた映画。ようやく観ることができました。そして,期待した通りの,いや,それ以上の映画でした。
容姿が特徴的な女性ティーナ。彼女は,港の税関職員として働いている。異常に「鼻が効く」。文字通り,違法な持ち込みをしているかどうかを「匂いで察知できる」特殊な能力を活かし,摘発に貢献していた。特徴的な容姿,いわゆる醜女のために,蔑みにも耐えて過ごす,やや中年に差し掛かった孤独な女性。人を避けるように,自宅は森の奥深くにある。
寂しさを紛らわすために,一人の男性と暮らしている。居候と言えば聞こえは良いが,要するにヒモ男で,趣味のドッグショーに明け暮れている。それでも,いないよりはマシだから,住まわせているし,好き放題させている。
そんなある日,いつもと同じように税関業務に「鼻を効かせている」と,いつもと違う匂いがする。すると,自分となんとなく容姿の似た男性が税関を通る。果たしてこの男は誰なのか。
この映画は観て損はない。いや,観た方が良い。差別や偏見はもとより,価値観や常識,人類の歴史,人間の醜悪さと残酷さ,生と死,孤独,愛,自然など,色々と感じられると思います。映像も良いし,演技も良いし,展開も間延びしていない。男が現れることで揺れる主人公ティーナの心とその解放。悲しいけど暖かい話です。
★★★★
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