京極夏彦 (2021) 文芸春秋
京極の講演集。「妖怪」「幽霊」「怪談」「おばけ」の話,概念と言語の話です。<語彙は解像度である>ということで,次のように述べています。まさに最近注目されている「感情粒度」(=感情語彙力)と一致しています。また,構成感情論のリサ・フェルドマン=バレットも同様のことを述べています。
「言葉のバリエーションが豊富であれば,より気持ちを細かく表現できます。語彙が多ければ,自分の気持ちを相手にもっと正確に伝えられる可能性が高くなります。」
「語彙は多ければ多いほど人間関係も潤滑になるし,自分の視野も広がるし,世界も広がるんです。そのためには何をするのが一番いいでしょうか。それはもちろん本を読むことです。」
「私たち人間は,言葉と文字という驚くべき発明によって,自分の頭の中に世界を取り込み,取り込んだ世界を概念に置き換えることで編集し,世界を再構成する能力を獲得したんですね。語彙を増やすということは,取り込む際の,また出力する際の解像度を上げるということです。」
また,「心」は,概念として「ある」けれども実体としては「ない」点で,「妖怪」と同じ,なんて話もしています。まさにその通りですね。
プロフィールが変わったのでびっくりしましたが、空手をやめられたわけではないですよね?著者の愛読者の同世代です。
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