(原題:Ich Bin Dein Mensch)(ドイツ,2021)
イイ話でした。ずっと見ようとは思いつつ,なかなか見られなかった。というのも,テーマがテーマだけに,ものすごくありきたりで下らなかったらどうしようと思って,つい避けてました。が,しかし,イイ映画だった。以下,ちょっとネタバレ含む。
伴侶(恋人)として,自分好みに設定されている精巧なアンドロイドと3週間暮らす実験に参加する,考古学者のアルマ(独身)。アンドロイド(ロボット)が人間の伴侶になるわけがないと端から懐疑的だが,実験に参加すれば研究旅費を付けるからと学部長に誘われ,しぶしぶ参加する。キザなセリフとシチュエーション作りでアルマを喜ばせようとするハンサムなアンドロイドのトムとの奇妙な同居生活が始まる。
トムは,キザな二枚目野郎だけど,どうすればアルマが幸せになるかを考えて(フル計算して),さりげなく奮闘する健気さが切ない。でしゃばらないし,おしつけがましくない。しかし,トムが何をしようとも,(最初は特に)やることなすことキザすぎる(アルゴリズムが最適化されていないから/深層学習が進んでいない初期設定だから),回答が完璧で正論すぎる(AIだからね),そんな機械とは恋人になんかなれないと,頑なに合理と論理を優先しようとする科学者のアルマ。これもまた道理。
共に過ごすことによって最適化が進み,やがて完璧な伴侶となるアンドロイド。それはその人の望み通りの伴侶であり,その人はそれによって幸せになれるだろう。しかし,そうなると人はもはや,生身の人と付き合うことができなくなるにちがいない。だから,アルマが下した実験の評価は「×」。でも,アルマは,いなくなったトムを探しに行く。
★★★★
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