2026年4月1日

人生に,上下も勝ち負けもありません。焦りや不安がどうでもよくなる「老子の言葉」

野村総一郎 2024 日経ビジネス文庫

老子(道徳経)の教えに基づいて,精神科医の野村先生がいろんな人生のつまづきや悩みのケースについて考えてみた本。良い本でした。


2026年3月29日

ほんとうのピノッキオ

(原題:Pinocchio)(イタリア,2019)

いい話でした~。寓意満載。映画ならではの視覚的な造形も全部,良い。

★★★


2026年3月27日

暁に祈れ

(原題:A Prayer before Dawn)(イギリス/フランス,2017)

タイで荒んだ生活をしていた青年ボクサーのビリー・ムーア。ある日,薬物の使用と密売で警察に摘発され,刑務所に収監される。刑務所の過酷な生活に生きる希望を失いつつあるとき,刑務所内のムエタイチームと出会う。

実話(自伝)に基づく映画。ラストに本人が父親役として登場。

★★★


2026年3月23日

となりの陰謀論

鳥谷昌幸 2025 講談社現代新書

非常に勉強になりました。読みやすい文体と,分かりやすい説明です。かつては『ムー』的な「ネタ」として楽しめた陰謀論ですが,昨今では,そうした荒唐無稽な陰謀論を鼻で笑って放置するのがいかに危険か,よく分かりました。


2026年3月22日

関心領域

(原題:The Zone of Interest)(アメリカ/イギリス/ポーランド,2023)

ようやく観ました。ああ,胃が重い。

これもA24映画。

★★★★


2026年3月19日

ねこまた 狸穴素浪人始末

由原かのん 2025 光文社時代小説文庫

面白かった~。荒物屋の防ぎを務める猫矢又四郎と,荒物屋の娘お清の飼い猫である黒猫のかちんの名コンビ。『首ざむらい 世にも怪奇な江戸物語』所収の「ねこまた」の続編。『首ざむらい』の4編とも面白かったし,このまま,ねこまたシリーズにならないかねぇ。


2026年3月12日

おんどりの鳴く前に

(原題:Men of Deeds)(ルーマニア/ブルガリア,2022)

ルーマニアの,牧草地の広がるのどかな田舎の村。引退して果樹園でもやってのんびり暮らしたいと思っている,まったくやる気の欠片もない,独身中年の駐在警察官イリエ。村の警察官はイリエ一人だが,若い新人警察官が来ることに。そんな,何もない片田舎の村で,ある日,殺人事件が起きる。

原題の"men of deeds"は,「まず行動して後から考える人」という意味らしい。Menだからね。複数だ。となると,それは村の人々のことを指してるわけですね。確かにその通りかもしれません。ことごとく場当たり的な,事なかれ主義。

★★★


2026年3月11日

ディック・ロングはなぜ死んだのか?

(原題:The Death of Dick Long)(アメリカ,2019)

バカだね~。ホント,アホだね~。

アメリカの田舎町。人には言えないある理由で,バンド仲間のディックが瀕死の状態に。一緒にいたジークとアールは,ディックを救急病院の前に置き去りにして事なきを得ようとするが,やがてディックは死に,警察が捜査を開始する。必死で証拠隠滅をしようとするけれど,何から何までその場しのぎの短絡的な対処と嘘で,どんどん窮地に追い込まれていくジークとアール。

人間,正直が一番です。A24映画。

★★★


韓国映画から見る,激動の韓国近現代史:歴史のダイナミズム,その光と影

崔盛旭 2025 書肆侃々房

韓国映画から紐解く,韓国の近現代史。観たことのない映画なら観たくなるし,観たことのある映画ならその背景が分かるし,さらには,韓国の近現代史も知ることができて,一石二鳥,一挙両得,一粒で二度おいしい,そんな本です。

全部で44本の映画が紹介されていて,一つ一つについての簡単なあらすじを紹介して,映画としての評論をしつつ,その時代的な背景について解説しています。お隣の国韓国の映画が好きな方,韓国の近現代史に興味がある方には,絶対オススメです。


2026年3月8日

希望の灯り

(原題:In  the Aisles)(ドイツ,2018)

アウトバーン沿いの巨大スーパーマーケットで働く,東西統一後の旧東ドイツの人たち。新人の若者クリスティアン(フランツ・ロゴフスキ)は寡黙で真面目な男。しかし,袖と襟から覗くタトゥーは,それまでの彼の人生を物語っている。ちょっと訳ありそうな同僚のマリオン(ザンドラ・ヒュラー)に心を寄せつつ,懸命に働くクリスティアンは,同僚から少しずつ信頼を得ていく。

東西の格差。あからさまな貧富の差。旧東ドイツの人たちの厳しく貧しい暮らしぶり。日々暮らしていくために,思い通りにいかない人生,耐え忍ぶ人生。酒とたばこで紛らわす日々。マーケットで廃棄される高級な食べ物をこっそり漁る。寒空のクリスマスイヴでも,仲間と集まって喜びを分かち合う。刹那的な快楽に逃避する人。人生に絶望する人。それでも生きていかねばならない。リフトを降ろす音が,波の音に聞こえる。

マリオン役のザンドラ・ヒュラーは,『アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド』に出てた,アンドロイド会社の案内役の人だね。『関心領域』(←未見)のヘートヴィヒ・ヘス役。

★★★


MaXXXine マキシーン

(原題:Maxxxine)(アメリカ,2024)

『X エックス』『Pearl パール』に続く三部作完結。ホラー・サスペンス。6年前の田舎の一軒家での惨劇を命からがら逃れたマキシーン。ポルノ女優として身を立てているが,ハリウッドでの成功を夢見てホラー映画のオーディションを受け,見事合格。一方,ロサンジェルスでは連続殺人犯・通称「ナイトストーカー」による事件が続発。マキシーンの周辺も次々に殺されていく。時を同じくして,なぜかマキシーンの過去を知る者から付け狙われることに。犯人は誰だ?

まぁしかし,一番怖かったのは『Pearl パール』だなぁ。あの最後のミア・ゴスの作り笑顔はトラウマ級です。A24映画。

★★★


2026年3月5日

MEN 同じ顔の男たち

(原題:Men)(イギリス,2022)

うーん。つまり何が言いたいんだろう。いろいろと考えが湧いてくる,謎のホラー映画です。

男の身勝手な価値観と欲望(欲求)を女に押し付ける(求める)ことの醜悪さ。しかし,「同じ顔」の男であることの意味は?男は皆同じ,ということか。でも,村中全員同じ顔なのかと思ったら,そうでもない。古い伝統的な(男性中心的な)価値観に縛られている時代遅れの田舎。しかし,素朴だからでは済まない。それから,なぜ変態男(=すっぱだか)は森(自然)からやってくる?段々と植物化してるし。古い鉄道のトンネルの意味は?トンネルの向こうから変態男がやってくるだけど,要するに,トンネルは産道ってことか?最後に,男からひたすら男が出てくる,ってのは,男性(男系)社会のメタファーか。夫も男。男は皆同じ。男は女の愛が欲しいという。遊んで欲しいという。許して欲しいという。・・・アホか。最後にはもう,トホホなため息をつく主人公のハーパー。男は女を支配しようとするけれども,そうはさせない。映画のラスト,駆け付ける女友達は妊娠してる様子(それまで,画面越しだったので妊娠していることは分からない仕掛け)。最後には女が残る。そして,子は女が生むことの再確認か。

・・・とまぁ,考えが色々浮かんできます。A24の謎映画。

★★★


2026年3月4日

アイアンクロー

(原題:The Iron Claw)(アメリカ,2023)

フォン・エリック一家の,実話に基づく話。「アイアン・クロー」のフリッツ・フォン・エリックの息子たちは,みな,父の期待に応えてレスラーになるが,病気や自殺で,次々に死んでいく。最後に一人残ったケビンの目から見た,「呪われた一家」の物語。

父,フリッツの夢は,自分が叶えられなかったNWA世界チャンピオン。その夢を息子たちに託し,息子たちもその気持ちに答えようと懸命に努力する。フォン・エリック家の,家族の絆,兄弟の絆,親子の絆は固く強い。がしかし,それは裏を返せば,計り知れないプレッシャーでもある。

ケビンとケリーのタッグで新日本に来てたよね。懐かしい。映画には,ブルーザー・ブロディとかリック・フレアーも出てきます。A24映画。

★★★


2026年3月1日

JUNK WORLD

(日本,2025)

長編ストップモーションアニメ映画『JUNK HEAD』の前日譚。といっても1042年前の話。

しかし,すごいよなぁ,模型作って,ストップモーションでこんだけ作り込むんだから。なお,今回はCGも駆使してます。

★★★★



2026年2月22日

ウルフマン

(原題:Wolf Man)(ニュージーランド,2025)

最愛の娘ジンジャーとジャーナリストの妻シャーロットと暮らすブレイクのもとに,数か月前に行方不明になった,オレゴンの田舎に暮らす父親の,死亡宣告書が届いた。最近夫婦仲がギクシャクしてきたと感じているブレイクは妻に,娘とともに三人で,実家の整理ついでにオレゴンの雄大な景色を見に行こうと誘う。しかし,トラックで向かう途中,まもなく家に着く直前で,獣らしきものに襲われる。その獣は確かに,二本足で立っていた。

感染によって発症する,徐々に獣のような顔と身体になっていく病気。先住民たちはそれを「マインガン・オデングワン」(狼顔)と呼んでいる。

タイトル通り,狼男です。あんまり美しくない,グロテスクな狼男です。月夜の晩とは関係ない(つまり呪いでも神罰でもなんでもない),まぎれもない感染症なので,徐々に症状が「悪化」していくところが痛々しい。嗅覚・聴覚・視覚などが段々おかしくなっていく様子や,うまく話せなくなっていくところや,たぶん,脳にも影響が生じていくようで,突然自分の腕を喰っちゃうし(狂っていってるんでしょうね),自分で足もかみちぎっちゃうし,もう大変なことになってます。

「狼男アメリカン」をまた観たくなりました。

★★★



2026年2月19日

カッコウ

(原題:Cuckoo)(ドイツ/アメリカ,2024)

うーん,分かったような分からんような。

変な映画。これはいずれカルト映画になるな,たぶん。

【追記(1か月後)】いかん。カッコウ人間が頭から離れん。

★★


死の瞬間:人はなぜ好奇心を抱くのか

春日武彦 2024 朝日新書

改めて,春日武彦の文学や漫画や映画に関する造詣の深さに驚嘆。


2026年2月9日

聴くということ:精神分析に関する最後のセミナー講義録

エーリッヒ・フロム(著)堀江宗正・松宮克昌(訳) 2012 第三文明社

フロム死後に出版された晩年の講義録集。これはたいへん勉強になりました。私は臨床はやりませんが,心理臨床家は当然,これ,読んでるんだろうね。読んでないなら,読むべきだね。

精神分析と禅,あるいはマインドフルネス,そして武術。まさかフロムが太極拳をやっていたとは知らなかった(笑)。身体への気づき,リアリティ,being,今ここに在ること。ナルシシズムへの気づき。まさに我執,私へのこだわりへの気づき。非常に仏教的です。

精神分析とはどうあるべきかに関してフロムが至った最晩年の思想がここに書いてある。これはそのまま,カウンセリングとはどうあるべきかと読み替えても良いのではないだろうか。無論,ロジャース的なアプローチには異を唱えていますが,純フロイト派の精神分析にも異を唱えていて,カウンセラーという立場の人間が,クライアントにどう向き合い,クライアントと何を話すべきなのか,そんなこんなが,講義録特有の話し言葉で書かれています。名著です。私は臨床はやりませんが。


2026年2月1日

ザ・ゲスト

(原題:The Guest)(アメリカ,2014)

サイコ・ホラー?

ある日,戦死した息子の戦友を名乗る男が一家を訪れる。

深いかなぁと期待したけど,なんか浅いな~。もっと設定を練り切ればいいのになぁ。中途半端。無茶苦茶する割には,最後のクライマックスもなんか急にショボいし。そもそも理由や目的がよく分からないし。

★★



2026年1月29日

ジェイコブス・ラダー

(原題:Jacob’s Ladder)(アメリカ,2019)

『ジェイコブス・ラダー』(1990)のリメイク。1990年版は見てません。リメイクするぐらいだから,1990年版がけっこう面白い映画だったんじゃないかなぁ。1990年版を先に観た方が良かったかな。

2019年版はアフガン?からの帰還兵のPTSD。幻覚と妄想で混乱し始める外科医師ジェイコブ。1990年版の方は,ベトナム帰還兵で郵便局員。

「ヤコブの梯子」は,旧約聖書の創世記28章に出てくる,天国へ伸びる梯子のことらしい。「天使の梯子」とも言う。これは,あの,雲間から差す太陽の光の筋のことですね。

★★★


サブスタンス

(原題:The Substance)(アメリカ/イギリス/フランス,2024)

うひょー。見てしまった。キモコワ。老若と美醜。名声と幸福。欲望と現実。存在と意味。実体と実存。デミ・ムーア怪演。

★★★★


2026年1月17日

リアリティ

(原題:Reality)(アメリカ,2023)

仕事終わりにスーパーに寄ってから軽自動車で自宅に帰ると,突然,二人の男に呼び止められる,小柄な白人女性のリアリティ。男二人はFBIだと名乗ってバッヂを見せ,家宅捜索の令状が出ているから家に入りたいと言う。家の中に他に人はいないか,武器は置いていないか,矢継ぎ早に質問をしてくる。やがて応援のFBIも駆けつけ,自宅の周りには黄色い「立ち入り禁止」のテープが張り巡らされる。一体何がどうして?

[以下,ネタバレ]

2016年のアメリカ大統領選挙へロシアが介入した疑惑に関する機密情報を漏洩した罪で,懲役5年の刑に処せられた,国家安全保障局(NSA)の職員リアリティ・ウィナーの事件を映画化したもの。

この事件そのものを知らなかったので,何が疑われてるのか,何かの間違いではないか,何が本当なのか分からなくて,見ていてドキドキしました。だんだん暴かれていく真実が怖い。リアリティを演じたシドニー・スウィーニーの演技も素朴な感じで非常に良い。

逆に,事件を知っているであろうアメリカ人は(ニュースや新聞を見ないから知らないアメリカ人もいるだろうけど),これをどう見たんだろう。結末を知っている(ネタバレしてる)わけだから,たぶん,見え方もまったく違うんだろうなぁ。それはそれで,なんでごく普通の職員が重要な機密情報を漏らしたのか,その動機を推し量る物語,ということか。

★★★



2026年1月13日

2026年1月12日

スティーヴン・キング エイジ・オブ・パンデミック

(原題:Children of the Corn)(アメリカ,2020)

うーむ,なんでこのタイトルなんだろ?「感染症大流行の時代」?内容と全然関係ないし。原題のまま,「トウモロコシ畑の子どもたち」で良いのに。

目先の利益のために企業と組んで遺伝子組み換えと農薬を散布した身勝手な大人たちのせいで,村のトウモロコシ畑がダメになってしまう。子どもたちとトウモロコシ人間の逆襲。残酷殲滅劇場。

『チルドレン・オブ・ザ・コーン』(1984)のリメイクのようです。

★★


2026年1月11日

エイリアン:ロムルス

(原題:Alian: Romulus)(アメリカ,2024)

西暦2142年。『エイリアン』と『エイリアン2』の間の話。『エイリアン』の最後に爆破されたノストロモ号の残骸の中から,無人探査機がある物体を持ち帰る。

面白かった。次々展開。いやぁ,飽きさせないね~。

★★★


2026年1月6日

SMILE/スマイル

(原題:Smile)(アメリカ,2022)

うげー,怖かったぁ。見たら最後,乗り移ります。

精神科病院で救急外来に勤める精神科医のローズ。ある時,運ばれてきた患者が目の前で突如自殺してしまう。それも笑いながら・・・。それからまもなく,どんどん周りでおかしなことが起き始める。端から見れば錯乱しているローズを見て婚約者や同僚からは心の病だと疑われるが,ローズはだんだんおかしなことになっている現実(事実)を誰にも信じてもらえず,ただ一人,追い込まれて混乱していく。

いや~な映画だ。なるほど,「2」が2024年に出てますね。

★★★


2026年1月2日

2026年1月1日

故障

(原題:Jestem REN)(ポーランド,2019)

原題の”Jestem REN”はポーランド語で「私はREN」かな。良き夫と良き息子と暮らす,妻であり母親であるレナタ。アンドロイドである。あるとき,システムが故障して,息子を傷つけてしまう。

私は人間のために作られたアンドロイド。壊れたら返却され廃棄されるのか。でも息子を愛している。離れたくない。セラピーをするという施設に連れて行かれる。このままこの施設に置いていかれるのか。夫は,そんなことはしないと言う。それは本当なのか。医師はセラピーに同意して欲しいと言う。私は壊れていない。どこにも異常はない。夫が嘘を付いているのだ。でも,記憶があいまいだ。私はどうすれいいのだ。

システムの故障は,つまり,精神の異常のメタファーでもある。ただ,人間は交換できないが,アンドロイドは交換できる。

★★★