2021年3月7日

タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら

(原題:Tucker and Dale vs Evil)(カナダ,2010)

これは面白かった。ジャンルとしてはホラー・コメディーというんでしょうか。というか,ホラーのパロディですね。でも,ホラーマニア向けの内輪ネタとかアメリカンジョークが満載の(門外漢や日本人にはどう面白いのかよく分からない)白けたエピソードが並んだ薄っぺらな映画ではありません。話もよく練られていて,笑えます。90分でまとまっていて,飽きさせません。

田舎にキャンプをしに訪れる都会的な大学生の若い男女。ホラー映画の定石では,彼らは田舎に住むシリアルキラーに惨殺されるわけですが,ここから面白いのがこの映画。念願の別荘(今にもつぶれそうな掘っ立て小屋)を買って休暇を過ごしに来た独身のむさ苦しい男二人組タッカーとデイルは,大学生たちとすれ違う。むくつけき男二人を見て大学生は恐れおののく。あの二人組は,無差別に旅行者を襲う異常殺人者よ,きっと!

つまりこの映画,キャンプに訪れた大学生たちを次々と襲う恐怖の連続!ではなくて,勘違いした大学生たちに次々と襲われる不運なタッカーとデイルが味わう恐怖の連続!なのです。

とにかく大学生の勘違いっぷりが笑える。彼らは勝手に想像を膨らませて恐怖に苛まれ,結果的には定石通り,無残に勝手に死んでいきます。タッカーとデイルからすれば,次々に死んでいく彼らは了解不能の「変態自殺集団」なわけですね。たくさんあるホラー・コメディーの中で僕が知らないだけだと思うのですが,こういうふうに構造を転換したものって他にもあるのかな?ないのだとしたら,これはなかなか傑作です。

原題にあるように,タッカー&デイルvs悪鬼(evil)であり,物語はいつの間にか,イカれた悪魔的サイコ大学生(キザ野郎)との対決になっていきます。この,サイコ大学生のウザっぷりがまた見事。こういう,リーダーぶった面倒くさいヤツって,いますよね~。

★★★


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