2025年5月9日

ディストピア2043 未知なる能力

(原題:Night Raiders)(カナダ/ニュージーランド,2021)

いやぁ,邦題が悪いよ(笑)。なんのひねりもない,そのまんまのタイトルだもんね。内容をストレートに表現するのも良いけど,ひねろうよ少しは(笑)。確かに近未来のディストピア映画で,とある能力が鍵になるわけだけど,もちっと良いネーミングはなかったかなぁ。例えば,主人公の名前で「ニスカ」とかでも良いよ。先住民のお告げとしての「守護者」でも良いよ。でもそれだと客が何だか分からなくて観てくれないから,これか。でも,この陳腐なタイトルより,全然良いんじゃないかなぁ。原題のNight Raidersも,映画の内容とどう関係してるのか分かんないけどね。「夜の侵入者たち」?うううむ。確かに,子どもたちを奪還するために,夜に侵入するけどね。

世界大戦後の近未来。子どもはすべて政府の所有物として徴集され,徹底した洗脳教育を受け,兵士になる訓練を受けさせられる。常にドローンが飛んでいて,子どもを隠していないか監視している。特権的な市民だけが住むことのできるエリアとそうでないエリアは,高い塀で隔てられている。中でも優秀な子どもは,その特別なエリアでさらなる教育を受けることになる。

しかし,この話,根本的におかしい。子どもをかき集めてすべて兵士にしてしまったら,やがてその国は滅びてしまうと思うんだけど,その辺は全く説明されてません。大人たちのエゴのために,子どもを国粋主義に教育することは理解できますが,人間はどんどん年を取るし,子どもはすぐに大人になるし,子どもがいなくなれば次の世代の子どもは生まれてこないし,さて,この国はいったいどうやって成り立っているのか,分かりません。国が国として存続するには,さらには高度な文明を維持して存続できる背景には,基礎となる第一次産業や第二次産業の生産と流通と消費を回す経済的な営みが必要であり,市民の大多数はそれを担う必要があるわけで,生まれてくる子どもを片っ端から兵士にしたら,そりゃ,軍事力は一時的に上がるかもしれないけれど,やがて滅ぶよね(笑)。子どもや若者がみな戦争に行ってしまったら,老人だけが残って,国としては存続しないのではないだろうか。

なので,話としては大したことはないけれど,一応,最後はどうなるのか(どういうオチなのか)気になったので,最後まで観ました。親子愛とか先住民のお告げとか,テーマもちんまりとそれなりにあって,まったくの愚作・駄作というわけではないから,何かもっと良い邦題を付けてあげたいよね。

★★


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