2020年10月23日

地獄の楽しみ方(17歳の特別教室シリーズ)

 京極夏彦 2019 講談社

絶対に読んだ方が良い。特に心理学とかコミュニケーションとか人間関係とかをやる人,その初学者は絶対に読んだ方が良い。いや,初学者じゃなくても,ここんところをよく分かっていないプロの心理学者(大学教員,研究者)だって大勢いるんじゃないかと思います。だから,心理学者を自称する人にはとりあえず読んでもらって,ここに書いてあることに全くピンと来ない人は,心理学者は辞めた方が良いでしょう。ヒトという存在について,非常に大切なことがキッチリ書かれています。言葉がいかに重要かが,とても分かりやすく書いてあります。なにせ,対象は17歳ですから,ものすごく分かりやすく書いてあります。大人も必読です。

この本の最重要な結論の一つとして,語彙は豊富な方が良いよ,というのがあります。これは,リサ・フェルドマン・バレットの構成感情論(構成主義的感情理論)の結論とも一致します。その理由も要するに同じ。希代の小説家と神経科学者の結論が同じ,ということは,たぶん,これが結局,揺るぎなき真理なのだと思います。で,語彙を増やすには本を読むこと。王道です。

なので,本書も絶対読んだ方が良いけれど,京極の小説を読むと良いです。


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