本多啓 2013 開拓社
認知言語学の中でも,特に認知意味論的なテーマについて,生態心理学的な観点に基づいた様々な角度からアプローチする,読み物として非常に面白い傑作です。認知言語学,認知意味論に興味のある人には是非オススメの一冊です。私は,全体通してものすごく楽しく読めました。
まずこの,本多先生の語り口が非常に軽妙です。ものすごくフランク。しかし,このフランクな語り口(書きっぷり)を,開拓社の編集者はよく了解したなぁと思いますが(笑),私としては,このフランクさがものすごく良かった。開拓社の編集者は凄い。開拓社万歳。
本書のポイントは3つ。「世界を知覚することは同時に自己を知覚することである」「世界を語ることは同時に自己を語ることである」「言葉には視点がはりついている」の3つです。このポイントに基づいて(常にこのポイントに戻ってくることで),いろんな角度から色んな言葉を取り巻く現象を紐解いていきます。
<あとがき>でも,「当たり前を発見」したい,ということを書いています。当たり前だと思ってること(普段,あんまり気にしていないこと)に,当たり前でないこと(言われてみれば不思議なこと)があって,それを発見したときの面白さは痛快です。そんな痛快な話が全21章に詰め込まれています。ですから,<はじめに>にも書いてある通り,本書は,じっくり考えることが好きな人,幅広い観点から考えることが好きな人,に向いています。
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