2023年3月7日

プロジェクト:ユリシーズ

(原題:Tides)(ドイツ/スイス,2020)

気候変動・伝染病・戦争などで居住不可能になった地球を脱出して,ケプラー209という惑星に移住した人類は,その惑星の環境から生殖機能を失ってしまったため,再び地球に帰還する計画を立てる。それがユリシーズ計画。先に探索のために向かった第一次計画のクルーからの通信が途絶えたため,第二次計画としてポッドで地球に降下する予定のクルー三人だったが,大気圏突入時の事故で海面に不時着時に一人死亡,もう一人も身動きが取れなくなる。一人探索に出るブレイクは,ひたすら続く干潟を歩くが,霧も出てきたのでポッドに戻ろうとする。しかし,そこで「人類」に襲われる。地球に取り残された生存者たちであった。

とまぁ,結果,地球で生き残った人類のコミュニティ(言語がすでに通じない!)に捕えられるのだが,そこから色々と謎が見えてくる。コミュニティを襲うまた別のコミュニティは一体誰なのか。第一次計画のポッドはどこにあるのか。ケプラー209から離れたことで,生殖は可能になるのか。

地球は,(おそらく)海面上昇してほとんどが海になり,干満を繰り返している環境。食料としては,主に甲殻類や貝類が捕れる。全体に湿気と霧で覆われている(気象病の僕には,この環境は見てるだけでつらいですわ)。ただ,なんで移住してたった二世代しか経ってないのに,こんなに言語が通じなくなってるのかよく分からなかったり,そんな遠い惑星に移住できる科学力がある割に着陸したポッドがけっこう今風だったり,そもそも植物が存在しないのになぜ酸素が存在するのかも謎だったり,といろいろ疑問はありますが,それなりに楽しめました。

設定が斬新かな。よくあるのは,環境汚染された地球から脱出,ってのはあるけど,これは,そこでも住めない(人類が絶滅してしまう)から戻ってくる,って設定です。

タイトルの原題は他に,The colonyというのもありました。tideは「潮汐(潮の干満)」って意味ですから,この映画の設定(干満を繰り返す海)になってます。colonyは「居留地」とか「植民地」とかですが,こちらの方が映画そのもののメッセージに近いかも。

★★★


0 件のコメント:

コメントを投稿