2026年11月3日

新版B面昭和史1926-1945

半藤一利 2026 平凡社ライブラリー

本書は2014~2016年に平凡社の文芸誌『こころ』に連載されたもので,単行本を経て2018年に平凡社ライブラリーとして文庫本化した後に,(おそらく)最後の対談を加えて「新版」として2026年に出たものだろうと思われます。

日本が,昭和と年号が変わってから,やがて太平洋戦争へと突き進んでいき,最後にはにっちもさっちも行かなくなって降伏する,その流れ,うねりを,庶民の暮らしという観点から紐解いています。著者は,「歴史探偵」と自らを称して,丁寧に解きほぐしていきます。とにかく,文章が軽快で読みやすかったし,何より,勉強になって面白かったです。何よりすごいのは,著者がこれを書いたのが80歳前半~半ばってことです。すごいわ。

なるほど,戦前って,とても遠いところにあった気がしていましたが(それはたぶん,戦前と戦後で切り離されている感じがするから),地続きであると感じさせられました。政治的思想的には全く相容れない(まるで別の国の)戦前と戦後ですが,庶民の生活という面で言えば,ある日突然何かが変わったわけではなく,戦前も戦後もそのまま,もっと言えば昔からずっと,生きるための日々の営みは続いている,玉音放送を聞く前日もその日も翌日も,同じように飯を食って寝る,という当たり前のことがよく分かりました。

この前83歳で死んだ親父は,昭和17年(1942年)11月生まれ。なかなか厳しい時代に生まれたなぁ。数年前に死んだ伯父さんは,たしか親父より9歳ぐらい年上だったから,この大変な時期に小学生ぐらいか。いやぁ,きっと毎日,腹減ってただろうなぁ。


山形県少林寺拳法連盟50周年記念式典で講演

ご縁がありまして,先日の10月31日(土),山形県少林寺拳法連盟創立50周年記念式典に招かれ,講演をしてきました。講演のタイトルは「武道と感情:稽古における思想と方法論の観点から」でした。このタイトルは,予定では今年度末ぐらいに,日本感情心理学会の2つの機関誌の内の1つである『エモーション・スタディーズ(ES)』に載る私の論文と同じです。その論文の内容をふまえて,約80分ぐらいの講演をさせていただきました。

(少林寺拳法のシンボルマークをここにどどーんと張り付けたかったのですが,しかし,権利関係でいろいろとありそうなので,やめておきます。その代わり,リー・リン・チェイ[ジェット・リー]の主演映画『少林寺』と,千葉真一の主演映画『少林寺拳法』のポスターを貼り付けます)

 


内容としては,私がこれまでにも著書や雑誌記事などで書いているいつもの話といえばいつもの話でして,要するに,武道はスポーツではない,ということがメインです。で,武道とスポーツは何がどう違うのか,という話をしてきました。さらに,今回のES論文では,武道稽古の喜び,武道稽古の心理学的な効用,なんかも加えていますので,その辺の話もしてきました。

論文そのものは,もう少し先ですが,そのうちいずれ出ますので,ご興味ご関心のある方は,ご笑覧くださいませ。ESは電子ジャーナルですので,論文はPDFで無料ダウンロードできます。J-stageでも良いですし,単純にGoogleでも,タイトル検索すればたぶん辿り着けると思います。なお,出ましたら,改めて,このブログでお知らせすると思います。