9月26日(土),神奈川県の横浜武道館にて,第53回全日本杖道大会が開催されました。三段の部は,北海道から沖縄まで,総勢29組が出場しました。結果は,3回戦まで進み,ベスト8でした。
昨年の第52回大会(埼玉)では,1回戦で早々に敗れました。敗れた理由は,集約すれば「硬さ(固さ)」だったと思っています。硬さとは,緊張ゆえの硬さもありますし,技そのものの硬さもあります。武術はやはり,硬くてはいけません。そういう色んな意味での硬さをなくすよう,つまり,「軟らかさ(柔らかさ)」を少しでも身に付けるよう,この一年間のテーマの一つにして,稽古してきました。そこで,一つ掲げたモットーが,双葉山の「稽古は本場所の如く,本場所は稽古の如く」でした。試合で(特に緒戦で)緊張しないように・・・。これをスマホの待ち受け画面にして(笑),日々の稽古で心掛けました。
大会はやはり,1回戦(緒戦)の入りが重要です。一番緊張しますから。ここで気負い過ぎて,力み過ぎては,すなわち,「硬さ」が出てしまいます。硬いと当然,技は粗く雑になります。武術は敵を制する技術ですから荒々しいものではありますが,ただ荒々しいだけの武力は効率が悪い。それは術とは言いませんね。術であるためには,最小の力(コスト)で最大の効果(ベネフィット)を発揮しなければなりません。そのためには,まずは単純に,力まないことですね。まぁ,武術に限らず,人生において何事もそうですが(笑)。
今回,そういう意味では,昨年よりは硬くならずにできたと思います。一年間の稽古の成果は,自分なりに感じる1回戦でした。
1回戦のお相手は,宮城県のお二人。試合前,身体を動かしているお二人をチラッと横目で見たところ,姿勢も構えも,杖や太刀の振りも,とても安定しています。宮城県には素晴らしい高段者の先生方が大勢おられますから,きっと上手いだろうと思っていましたが,予想通り,とても手強い相手だと感じました。であるからこそ,胸を借りる思いで(ありきたりな言葉を使えば「挑戦者」のつもりで),気負わず,精一杯の技を演武しようと思うことができました。
そこで今回一つ学んだことは,相手をリスペクトするのが大切だということ。今までリスペクトしてこなかった,という意味では決してありません(笑)。今までは,対戦相手が自分たちより上手なのかどうなのか分からないために,ただ不安に思うだけでした。しかし,相手が上手いことを前提に,精一杯やること,ベストを尽くすこと。これが大切だと感じました。
特に杖道の試合は,対戦相手と直接交わることはありません。実質的には,単に,自分(たち)の形を演武するだけです。もし相手が上手いと判断されれば負けるし,自分(たち)の方が上手いと判断されれば勝つ。そういう相対的な判定です。だからこそ,勝ち負けは,自分の統制下にないところの要素が結構な割合を占めています。つまり,対戦相手よりも上手とか下手とかは,実はどうでもよいことであり,いかにマインドフルに演武をするかが,杖道大会のキモだということを,改めて感じました。
結果は,1回戦と2回戦に勝つことができました。対戦していただいたお相手の二組に感謝です。3回戦は,昨年の大会で優秀賞だった北海道のペアでした(三段の部までは決勝戦はなく,二組が優秀賞を受賞します)。もし勝ち進めば必ずこの北海道ペアと当たると思っていましたので,対戦できたことにこれまた感謝です。結果は,1-2で負けました。残念。しかし,旗は一つ上がりましたので,0-3の完敗ではなかったということは,それなりに良かったと審判の先生方に見ていただけたということかと思います。
今回,ありがたいことに,杖道仲間の方々に1~3回戦の動画をすべて撮っていただけました(これも本当に感謝です)。負けて思うに,つい何度も見たくなるのは負けた試合ですね。何が足りなかったのか,何が良くなかったのか,お相手の何が良かったのか,どこが自分(たち)より優れていると判断されたのか。負けた悔しさというよりも,勝ったお相手の(相対的な)良さは何か,負けた自分の(相対的な)悪さ・足りなさは何かと考える。そして,お相手の良いところを取り込み,自分の悪いところや足りないところに気づいて修正しようとする。早速いくつか真似しようと思うところがあり,そういう意味では,負けたのに得をした気分です。
つまり,逆説的ですが,勝つよりも負けた方が得るものが多いような気がしました。
勝てば単純に嬉しいですが,しかし,嬉しいだけです。自己を顧みることはあまりないでしょう(←私の場合)。反省することも少ないでしょう(←私の場合)。なぜなら,結果的に,勝っているから。もちろん,一流のアスリートや毎年優勝し続けるような人であれば,勝った試合からも足りなさを学び,さらに精進するんでしょうね。それが一流の証,トップを維持する要因に違いありません。しかし,私のような凡人は,勝った試合を見てもせいぜい悦に入って,まさにユング的な「自我肥大」(エゴ・インフレーション)を起こすだけです。得るものがあまりない。
もちろん負けるのは嬉しくないですが,しかし,自分の杖道をもっと良くしていくためには,負けることは決して良くないことではなく,むしろ必要なことであることを,今回もまた,つくづく思いました。
11月末には,広島杖道大会に出場します。個人戦と団体戦があります。今回の全日本大会で得たことを稽古に活かしつつ,大会に臨みたいです。そして,昨年に続き,広島でもまた色々得られるものがあるかと思うと,今から楽しみです。



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