2018年10月29日

稔真門

私が所属する空手道場,「糸東流空手術稔真門」の柏道場(柏豊四季台道場,柏旭町道場)のサイトをリニューアルしました。

糸東流空手術稔真門 柏
https://jinshinmon-kashiwa.blogspot.com/

改めて我が稔真門を説明しますと,小林真一先生を代表(総師範)とする稔真門は,糸東流開祖・摩文仁賢和先生の創始した糸東流空手を継ぐ,二代目宗家・故摩文仁賢榮先生,三代目宗家・摩文仁賢雄先生,そして正修館初代館長・故西田稔先生の教えにこだわりこれを正しく練ることで,宗家糸東流を地道に研究・伝承しています。なお,小林先生の直接の師である故西田稔先生は,二代目宗家・賢榮先生の弟子でもあり,かつては,糸洲安恒先生の弟子である修道館・遠山寛賢先生と東恩納寛量先生の弟子である東恩流・許田重発先生の元でも修行をされました。

この宗家糸東流を練る我が稔真門の空手は,いわゆるオリンピック競技に採用される「スポーツ空手」とは異なり,組手や型の競技は一切行いません

ただひたすら形(型)を練ることで,開祖・摩文仁賢和先生の空手的身体,さらにはそこに脈打つ沖縄の偉大な武人達の身体をじっくりゆっくり再体験し,いつの日か自らもそこに到達することを目指しています。

開祖・摩文仁賢和先生は,有名な次の歌を残しています。これこそ,武道家の至る究極の境地であり,まさしく禅の境地です。我が稔真門は,ひたすら形を練りながら,これを実践しています。

何事も 打ち忘れたり ひたすらに 武の島さして こぐが楽しき

このような開祖・摩文仁賢和先生の思いを今に伝える故・西田稔先生と小林真一先生の理念を私なりに解釈して書いたものが,拙著『空手と禅』です。「稔真門」の名は,故・西田稔先生と小林真一先生の名前をそれぞれ取って名づけられました。


柏(豊四季台,旭町)以外に,都内にも二箇所(赤羽,上野),道場を開いています。詳しくは下記,「稔真門」ウェブサイトを御覧ください。(私は主に,柏の豊四季台道場で稽古しています)

糸東流空手術稔真門
https://jinshinmon.blogspot.com/

競技(勝敗)にこだわるスポーツ空手はどうも性に合わない,糸東流宗家直系の沖縄伝統空手を自分のペースでじっくりゆっくり練りたい,と言う方は是非,稔真門へ!


2018年10月16日

骨盤の傾き

空手の稽古の際,以前は骨盤を後傾させることを心がけていましたが,最近,それはもしかしたらちょっと違っていたかもしれないと思って,再検討しています。

例えば,尾骨を巻き込む,臍を上に向けるなど,骨盤の位置あるいは動かし方に関する口伝はあります。これは,尻(の穴)を締める,内ももの締める,腹を充実させる,などのような口伝と,基本的には同じことを言っているものと解釈していました。

この解釈でもあながち間違っていないのは,特に那覇手(剛柔流)では,腰(背中の下部)がほぼ平らになるぐらい丸め込む,とされています。私の理解では,太極拳もそうしているように思います(ここのところの理解は微妙で,要検討です)。

しかし,首里手系統ではそういう風には特に言われていない(ように思います)。夢想会・新垣清師範によれば,武術的にはそこは「袴腰」であるとされています。広い意味で言えば,後傾ではなくむしろ前傾であり,逆です。

ただ,あえて無理に(大げさに)前傾することはないでしょう。となれば,間を取って,ちょうど真ん中,つまり,坐禅をするときの坐り方と同様,坐骨が地面と接する際に前にも後ろにも傾かず,ちょうど良いところで立ち,その上に腰椎・胸椎・頸椎が無理のないS字カーブを描いて乗るような感じが良いのではないかと,最近は思っています。その自然なS字カーブが「袴腰」であろうと思います。

この状態で,腹を充実させれば,尻(の穴周辺の筋肉群=骨盤底筋群)も締まります。師である小林先生も先日,骨盤の傾き(を気にする)よりもむしろ腹の充実(の方が大切)だろうと言っていました。

自然にすっと立っている状態から,膝を曲げればそのまま自然に沈み下がる感じです。

なぜまたこういう考えに至っているかと言うと(また変わるかもしれませんが),骨盤を無理に後傾させながら膝を曲げると,膝(の前)に余計な力がかかるような気がしたからです。骨盤を後傾させようとすると膝はむしろ伸びる方が,体感的には自然な気がします。つまり,膝は伸びようとするのにそれを曲げようとするから,膝に無理が来ているのかもしれない,ということです。それが膝痛の原因の一つかもしれないと思ったわけです。

痛い,ということは,どこか間違っているはずです。その間違いがどこかを探るのも,武術の楽しさの一つです。そうすれば,武術的な身体,空手的身体へとまた一歩近づけます。だから武術は深くて面白い。