2017年7月27日

沖縄空手会館

先日,沖縄空手会館に行ってきました。結論からいえば,とにかく空手家は,必ず一度は訪れた方が良い場所だ,ということです。



資料室には空手の歴史的な解説や関連書籍・武具などが展示され,一度だけでは到底味わいきれないので,一度だけと言わず何度も訪れた方が良いでしょう。沖縄空手の限定グッズの売店や沖縄そば(空手そば?)などが食べられるレストランもあります。何より,豊見城城址跡地にあるので,高台からの見晴らしがまた格別です。スタッフの若い方も多くが空手家であり,とても親切でした。

沖縄空手会館
http://karatekaikan.jp/

メインの道場も広く,ちょうど,沖縄剛柔流空手道協会(電光掲示板にそう出ていました)が稽古をしていました。総勢200人ぐらい。その大半は海外からやってきたと思われる,外国人空手家です。非常に熱心に,おそらく,セイエンチンの動きの一カ所を,何度も何度も何度も,繰り返していました。とても美しい光景でした。

資料室(観覧料:大人310円)では,約20分のフィルム上映があり,空手の歴史がコンパクトにまとめられています。タッチパネルの資料説明画面がいくつも設置されていたり,鍛錬具の体験コーナーがあったりと,空手家にはたまらない,それこそ,一日いても飽きない場所でした。(残念,今回は家族と一緒だったので,1時間半ぐらいの滞在でした)

資料室出口を出て左,レストランとの間には,空手の先達の等身大写真が並んでいました。我が糸東流開祖・摩文仁賢和先生の写真もありました。守礼門をバックに,写真右から,本部朝基先生(本部流),知花朝信先生(小林流),喜屋武朝徳先生(少林寺流),摩文仁賢和先生(糸東流),船越義珍先生(松濤館流),です。


私の記憶では,解説フィルムでは確か,沖縄空手の流派として,「剛柔流(宮城長順)」「小林流(知花朝信)」「少林流・少林寺流(喜屋武朝徳)」「上地流(上地完文)」「糸東流(摩文仁賢和)」「松濤館流(船越義珍)」,という風に紹介されていました(紹介された順番は記憶が曖昧)。『沖縄空手・古武道事典』でも,本土の流派で沖縄空手としてくくられていたのは,糸東流と松濤館流ですので,それに沿っているのだと思われます。

資料室では,この日,ボランティアで解説員をされていた,與儀清春先生(小林流)とじっくりお話することができました。売店横の裏にある資料整理室(事務室)にもお誘いいただき,この空手会館や空手の将来などなど,いろいろお話できました。そこで與儀先生が『沖縄空手・古武道事典』を開いて,(湯川が段位をもらった)糸東流二代目宗家摩文仁賢榮先生はこの人ですねとページを開いて示してくださったので,ついでに,私の先生の先生がこの人ですと,同事典に写真の載っている西田稔先生のことをお伝えしておきました。今度訪れたときには是非一緒に稽古しましょう,と暖かいお言葉もいただきました。ありがとうございました。

資料室出口近くには,西田先生とともに同事典に写真が載っている横山雅彦先生(糸東流・三木養秀館)がプロデュースした,EXILEのTAKAHIROさんによる書『清』も掲示されていました。TAKAHIROさんは,船越義珍先生の師である安里安恒先生の子孫である安里廣之先生,安里より子先生から初段をいただいているそうです。

(資料室内は写真撮影禁止なので,出口側から撮りました)

これだけでは到底伝えられないほど,もっと他にも書きたいことがあるのですが,このくらいにしておきます。とにかく説明するよりまずは是非,空手家の方は,人生において一度は,この地を訪れるべきだと思います。空手家であれば,絶対にテンションが上がります(笑)。そのくらい,かなり濃度の高いマニアックなところでした。


2017年7月10日

月刊『秘伝』8月号

月刊『秘伝』8月号(7月14日発売)に,太極拳家の真北斐図(まきたあやと)先生と私の対談が載ります。また,今号はなんと,その真北先生と私が表紙になっています。


今号の特集テーマは,「みんなが知らない太極拳の秘密」です。最近,真北先生が出された『太極拳のヒミツ』(BABジャパン)にちなんでいます(と思います)。

真北先生は,いわゆる競技系(表演系)の太極拳家ではなく,武術として,心身修養の術として,太極拳を学び,修行と研究を重ね,教えておられます。その点で,術者としては真北先生の足下にも及ばないのですが,私と武術観が非常に近いと,対談したときに感じました。

また,前にも書きましたが,自身の内面的な身体感覚を非常に重視されていて,そういった意味も,武術というものをどう考えているかが似ていて,先生の著書は発見や気づきが多いですし,今回の対談もとても勉強になりました。

是非ご関心のある方は,お手にとって(願わくばお買い求めになって)ご覧いただければと思います。

2017年7月2日

風邪

普段ほとんど風邪などひいたことがないのに,先日,京都への出張(日本感情心理学会の年次大会)で,のどにくる風邪にかかってしまいました。症状がたまたまそのときから出始めたので,京都でもらってきたわけではないかもしれないですが,とにもかくにも,まず数日間声がかすれて出ず,その後,咳と痰です。

こうして身体に患部(問題)があると,人はそこにどうしても意識が留まってしまいます。すると,今の作業が手に付かなくなり,次の作業への意欲も低下します。問題の大きさとしてはそれほどでもない声のかすれや咳だけでも,身体の問題となると気になります。そこに意識が滞ってしまいます。つまり,まず問題を改善解消しようとして,活動を停止しようとします。これは動物として極めて自然なことです。

だから,問題は問題なので,これを全く無視するのはよろしくありません。つまり無理をしてはいけません。ただ,そこはそことして気づきながら,問題の大きさを勘案して無理のない程度に,普段通りの活動できれば良いなぁと思います。

これもまたマインドフルな在り方だと思うのですが,病を病としてそこにあることに気づきつつ,それはそれとしてそこに全神経を集中するのでなく,私が在る中の幾分かはそこに配分しつつ(気を配りつつ),他のことにも意識を配っていく感じが良いのではないか。

のどにくる風邪で,そんなことを思いました。