2024年5月16日

月刊『秘伝』6月号

月刊『秘伝』の今月号(6月号)に,私の記事が載っております。良かったら是非!

「武術の稽古を長く続けていくための心得」



イコライザー THE FINAL

(原題:The Equalizer 3)(アメリカ,2023)

痛快。元CIAのマッコール(デンゼル・ワシントン)がイタリア・シチリア島でやりたい放題のマフィアを懲らしめます。「ナメてた相手が」映画の傑作シリーズ。邦題だとファイナルってなってるけど,4はないのかね。

ちなみに,前にも書いたけど,「イコライザー」ってカタカナで書くと意味がよく分からないから,なんかもっと気の利いた邦題考えてくれたら良いのに。例えば,かのチャールズ・ブロンソンの『Death Wish』は『狼よさらば』です。なんかそういう,グッと来る邦題つけてもいいと思うんだけどね,この映画。でも,回り回って,原題通り,ってことか。

★★★


差別の哲学入門

池田喬・堀田義太郎 2021 アルパカ

差別について哲学するための基本的な観点。「差別とはどういうものか」「差別はなぜ悪いのか」「差別はなぜなくならないのか」の3つの問いについて,関連する哲学・心理学の議論を分かりやすく丁寧に説明している。良書。

中島義道『差別感情の哲学』や木村草太『「差別」のしくみ』と合わせて読むと良いかも。特に,差別してると思ってない(むしろ配慮しているつもりの)言動が,差別に基づいていたり,かえって差別を支えてしまったりしているマイクロアグレッションは,言われないと分からない。言われてみれば確かにそういうことになるから,気を付けないといけない,そういうところまで考えを巡らさないといけない,本書も中島の本も木村の本も,そんなことに改めて気づかされます。


2024年5月5日

思考を哲学する

森川亮 2022 ミネルヴァ書房

よくよく,ちゃんと,落ち着いて,考えてみよう。君は思考が奪われていないか,本当に自分で考えているか。そんな本です。こういうところまで切り込んでる本は,最近読んだ本だと,中島義道『差別感情の哲学』でしょうか。世の中に溢れている言説を鵜呑みにせず,立ち止まってよく考えてみること,自分を客観的に眺めてみること,バランスよく観察してみること。読んだ方が良い一冊。


アメリカン・フィクション

(原題:American Fiction)(アメリカ,2023)

媚びない作風の頑固な小説家モンク。黒人として,いかにもな黒人社会を描いた中身の薄い小説に嫌気が指している。こだわりが強すぎて,勤めていた大学からも休暇(という名の休職)に出される中,いろいろと家族の不幸も続いて,半ばやけくそで書いた(ある意味,皮肉のつもりで冗談で書いた)いかにもな黒人小説がバカ売れする。嗚呼,なんてこった。

★★★


不思議惑星キン・ザ・ザ

(原題:Kin-Dza-Dza)(ソ連,1986)

やっと観ました。これがかの有名なキン・ザ・ザね。クー。

★★★



2024年5月4日

ゴジラ-1.0

(日本,2023)

アマプラで早速観ちゃいました。いやぁ,マジ面白かったわ~。面白過ぎて汗と涙が出ちゃいました。とにかく必見。ゴジラ生誕70周年記念作品。『シン・ゴジラ』以来7年ぶり。

★★★★


2024年5月2日

ファンタスティック・プラネット

(原題:Fantastic Planet)(フランス/チェコ,1973)

有名なアニメ映画だよね。初めて観ました。1973年にこれはすごいよね。僕がまだ2歳だからね。50年前ですよ。衝撃だったでしょう,きっと。

魚のような顔をしたドラーグ人に,まるでアリのような昆虫のごとく,飼われ,遊ばれ,潰され,駆除される人間たち。人間からすりゃ,アリの扱いもそんなもんだったりするからねぇ。不思議な人種,不思議な服装,不思議な装置,不思議な習慣,不思議な植物,不思議な動物。

ただ,惑星間移動はいわゆる「ロケット」なのね。

★★★


ロブスター

(原題:The Lobster)(アイルランド/イギリス/ギリシャ/フランス/オランダ/アメリカ,2015)

なんかすごい映画,というか,ものすご~く変な映画を観てしまった。監督はヨルゴス・ランティモスというギリシャの人。これが長編三作目だそうです。変,って言っても,別に支離滅裂っていうわけではないです。筋はちゃんと通っています。いろいろと寓話や意味がこれでもか!というぐらいいろんなところに込められてます。最後まで釘付けです。

独身が罪となる世界で,妻に離婚された男・デヴィットが連れて来られたところは,風光明媚な湖畔にたたずむ瀟洒なホテル。ホテルには,「独身者」たちが宿泊している(というか,収監されている)。ここで,45日以内に相思相愛のパートナーを見つけなければ,希望する「動物」に換えられてしまう。タイトルの「ロブスター」は,デヴィットが希望する動物だから。なお,ホテル滞在者は毎日,森に逃げ込んで暮らす独身者たちを(麻酔銃で)「狩る」という義務も与えられている。独身者を一人捕獲するたびに,ホテルに滞在可能な日数が一日増える。

まぁしかし,数多あるディストピア映画の中でも,こんな設定は初めてですわ(笑)。過剰管理社会とか出産制限社会とか資源枯渇社会とかエイリアン支配社会とか色々ありますが,だいたい,あまりに突飛すぎる設定は随所に無理が出て,インパクトは最初だけで開始早々に破綻したりして,ご都合主義のオンパレードになり,もう後半はしょうがないからアクションでごまかす,なんてのが多いような気がする。しかしこの映画は,破綻する前に,畳みかけるように設定の細部をどんどん重ねていって,その中に暗喩・明喩の両方絡めて人間社会の本質,夫婦・家族の本質,愛の本質みたいなのを皮肉たっぷりに描いていて,非常に面白い。というか,変。

あまりに突飛な設定なので,これ,作りによっては思いきり空振りする可能性もあっただろうけれど(最初に脚本見せられた出資者は絶対難色示したんじゃなかろうか。「これ,大丈夫?」って),映画全体を通して真面目にキッチリ作られていて,妙な白々しさ,嘘くささは全然感じない。だから怖い。というか,変だわマジで(笑)。よく作ったよ,ホント。

終わり方もね~,良いよね~。愛とは何だ?夫婦って何だ?人間って,何だ~?

★★★★★