2019年2月11日

ナイファンチ

ナイファンチの足は,平行が良い。本部朝基先生の有名な連続写真の通り,馬に跨がるように,足先は前を向いていた方が,身体操作的には良い。ここ1年ぐらい,ナイファンチを改めてじっくり検証し,最近はつとにそう感じています。



夢想会・新垣清師範の解説は,非常に分かりやすく,理に適っています。『極める!ナイファンチ』(BABジャパン)は,空手家必携でしょう。『沖縄空手道の歴史』も良かった。その新垣師範が,足は左右平行,としています。沖拳会・山城美智師範の足も,映像を拝見するに,ほぼ左右平行です。

ショウリン流や糸東流を始め,糸洲安恒先生系統のナイファンチは,足先が内側を向いていますが,これは,糸洲先生が那覇手のエッセンスを加えたためだと言われています。つまり,首里手のナイファンチを那覇手のサンチン的にやる,ということ。糸東流は,那覇手と首里手のハイブリッドなので,これはこれで一つの正伝だと思います。

ただ,どうも,自分で練れば練るほど,身体操作的には足先は平行が良いと感じています。その方が膝も痛みません。実は西田稔先生も晩年,ぼそりと私に「ナイファンチの足は平行が良い」とおっしゃっていました。そのときは,一体何を言ってるんだろう,ナイファンチは内八だろう,と思っていましたが,最近ようやく分かってきました。

腰もおそらく,袴腰が正しい。ナイファンチをするときに,那覇手のように尾てい骨を巻き込むように骨盤を後傾すると,どうも馴染まない。自然な身体感を探り続けた結果,現時点ではそう感じています。ただ,この辺りはもう,個人差のような気がしていて,普遍的な正解があるわけではないようにも思っています。サンチン的にナイファンチをしても至って自然な人もいれば,そうでない人もいる。正解は,その人にとっての正解しかない。だから,自分で探るしかない。

武道は,正解があるようでない,ないようであるから面白いわけですが,正解だと「確信」してしまうと次に行けないので,今の到達点も単なる通過点として,1年後にはまた違ったことを言っている(書いている)かもしれません(笑)。