2024年2月29日

ペパーミント・キャンディー

(原題:Pepermint Candy)(韓国/日本,1999)

うううん,なんとも切ないなぁ。

1999年,20年ぶりの同窓会のピクニックに,なぜかスーツで現れたキム・ヨンホ(ソル・ギョング)。一人,荒れに荒れて,自棄になって,やがて線路に立って,迫りくる列車の前に立ちはだかり,「帰りたい!」と叫ぶ。話はそこから,時間を少しずつ巻き戻りながら,キム・ヨンホの人生を回想していく。

弱くて優しくて寡黙で優柔不断で不器用で,その反動か鬱屈か,悶々として耐えきれずになって,やがて爆発して前後不覚に暴れ出す無軌道さ。ああ,なんでこうなってしまったんだ,俺の人生は何だったのか,一体どこで間違えたんだ。もう一度,あのときに,初恋の人に会った20年前のあのときのこの場所に戻りたい。

ソル・ギョング,いい役者だなぁ。ラスト,泣けるなぁ,切ないなぁ。

【追記】数週間後,また観ました。二度三度,観たくなる映画。ラストがもう,震える。

★★★★



Blank 13

(日本,2017)

監督・斎藤工。主演・高橋一生。実話に基づく話。

観た直後は,パッとしない感じでしたが,思い返すとジワジワ来ますね。

★★



2024年2月27日

Mr.ブルックス 完璧なる殺人鬼

(原題:Mr. Brooks)(アメリカ,2007)

会社を経営する金持ちで慈善家のブルックス氏(ケヴィン・コスナー)。奥さんと娘もいる。成功したビジネスマンだ。でも彼は,殺人依存症のシリアルキラー。依存症だからやめたいけどやめられない。捕まらないように殺人を行うための徹底ぶりは完璧。2年間我慢していたのに,また殺ってしまった。殺人場面を偶然目撃した,うだつの上がらなさそうな青年・自称スミス氏は,自分も殺人をしたいと,ブルックス氏に持ち掛ける。連続殺人を追う女刑事(デミ・ムーア)は,自分の離婚問題も抱えながら,少しずつ手がかりを辿る。

ちなみに,このブルックス氏には,「マーシャル」というおっさんのイマジナリーフレンドがいつも一緒にいてくれて,話し相手になってくれて,そそのかしたり,助言したり,一緒にバカ笑いしたりしてくれる。

これはストーリー展開も含めて,非常に面白い映画でした。無論,殺人はいけませんが,サイコキラー映画として,アタリです。観た方が良いよ。

★★★★


2024年2月26日

ローラーボール

(原題:Rollerball)(アメリカ,1975)

うううむ,なんだこれ。しかし,これって多分,けっこう有名な映画だと思うんで(2001年にリメイクもされてるしね),観てみましたが,イマイチよく分からん。中心となるストーリーの軸である「主人公はなぜか引退を迫られる」ってのを支える理由が最後までよく分からん。「管理社会になって平和になったから,人間は暴力を求めてる」ってメッセージは,まぁ,そういうことなんだろうけどね。主人公に引退を迫る理由が,結局,よく分からず終いなんだよね。「管理社会だから理由は教えない(永遠に謎)」とか「管理社会は結局,誰が管理してるか分からないから,誰の命令なのか分からない」とか,って無茶な理屈なわけ?いつか種明かしされるのかと思って最後まで観ましたが,よく分かりませんでした。消化不良。いいのかこれで。

唯一興味深かったのは,東京チーム。選手は皆,空手と合気道の使い手(笑)。応援するファンは正拳突き。ローラースケートを滑るときの東京チームも正拳突き。こんなに危ないゲームなのに,なぜか東京チームには眼鏡キャラが2名。鉢巻には「風」って書いてある。いいなぁ,この,コテコテの古典的日本(人)ステレオタイプ。

そういえば昔,「ローラーゲーム」ってのがあったよね。ああいう時代だよね。


結城秀康:秀吉と家康を父に持つ男

大島昌宏 1998 PHP文庫

NHK大河ドラマ『どうする家康』が非常に面白くて,普段ドラマなんて一切観ないのに,毎週楽しみにして観ていました(『冬のソナタ』以来)。ドラマには,名前のよく知っている者から知らない者までいろんな戦国武将が出てくるので,もうちょっと知りたいと思って『戦国武将伝』(東日本編,西日本編)なんてのも読んだりして,にわかに戦国武将に興味が湧いてます。

というのもやっぱり,NHKの大河ドラマなんかで出てくるエピソードは,史実に基づいていたり創作だったりするのでしょうが,きっと,そういう歴史モノを読んでいる(分かっている)人からすれば,史実か創作か区別がついて,史実に基づいていれば有名な場面だったりやりとりだったりするわけで,つまり,そういうのを知っていればさらにドラマや小説が楽しめることになります。知に広がりとつながりができる。縦糸と横糸が紡がれて鮮やかな模様が浮き出てくる。これこそまさに教養ですね。

歴史モノ自体,もともと興味関心はなかったので,この辺の知識は,中高の教科書レベルかそれ以下(なぜならすっかり忘れているから)だったので,改めて,「ふうん,なるほど~」と感心しています。やはり,歳を取ったから歴史に興味を持ち始める,というのも一つの要因ではないかとは思っています。なんだろうね,オッサンの歴史好き(笑)。

さてその『どうする家康』を見ていて,個人的にものすごく気になった人物が,この人,結城秀康です。私のような素人の知る歴史の表舞台には出てこないけれど,とんでもなく数奇な運命に翻弄されたこの人,一体どういう人生をどういう気持ちで過ごしたんだろうと,興味が湧きました。加えて,勤務する大学が小山にあるので,結城はすぐそばであって,それもまた何か興味をそそられる一因となりました。小山は,小山評定の小山ね。

歴史小説って,作者によって描き方は全然違うでしょう。たとえば,『どうする家康』だって,これ,松本潤さんが主演してるから綺麗に描かれてるけど,秀吉を主人公にしたら,まったくの悪人(腹黒い狸)に描かれたりするわけで,小説もドラマも,脚本によって全然違うことは明らかです。なので,「結城秀康」の歴史小説を,他に2冊買いました。これから読み比べてみるつもりです。


2024年2月23日

文庫版 鉄鼠の檻

京極夏彦 2001 講談社文庫

いやホント,完全にストーリーを忘れてます。こんな話だったっけ?なんとなく,場所だったり,場面や情景だったり,登場人物だったり,なんとなくざっくりと覚えているけど,さて,犯人は誰だっか,まったく覚えていないし,ははぁ,これはそういう話だったかと,30年弱たって読み直して,改めて思いました。

特に,仏教に関しては,まだあの頃はマインドフルネスはやってなかったから,禅についてはまったく無知でした。もちろん今だって禅が分かってるわけではないですが,あの頃よりは多少なりとも知識はあるかとは思います。だから,あの時読んだのと,今読んだのとでは,響き方が違ってるだろうなと思います。もはや比べようがないですが。

しかし,分厚いな~(笑)。5センチ強あります。でも,次の『絡新婦の理』ともう少し下って『邪魅の雫』が一番分厚そうだ。


2024年2月15日

光の旅人 K-PAX

(原題:K-PAX)(アメリカ,2001)

ようやく観ました。そっか~,こういう映画か~。最後まで目が離せませんでした。

★★★★


グフ

 ガンプラ4体目。いいね~。

ザクもいいけど,やっぱり,ザクとは違うよね~,ザクとはね~。



2024年2月11日

ノック 終末の訪問者

(原題:Knock at the Cabin)(アメリカ,2023)

監督はM・ナイト・シャマラン。『シックス・センス』『アンブレイカブル』『ヴィジット』『ミスター・ガラス』のナイト・シャマランなのになんで評価が低いのかと思ってましたが,なるほど,これ,ものすごく後味が悪いんですわ。あまりにも理不尽な状況が続いて手に汗握るけど,でもね~,これってどうなのよ。展開も結末も,納得いかんのよ,なんとなく(笑)。キリスト教圏の人はこれで納得するんかね。まったく共感できん。でも,理不尽さが気持ち悪いぐらいヤバすぎて手に汗握ったから★2つ。

★★



2024年2月10日

ブレア・ウィッチ・プロジェクト

(原題:The Blair Witch Project)(アメリカ,1999)

POV映画,あるいはモキュメンタリ―映画を有名にさせた傑作。と知りながら今まで観たことがなかったので,アマプラで観ました。いやぁ,怖いわ,確かに。

出演はほぼ全編,3人(冒頭何名かインタビューに答えてるけど)。撮影場所はほぼ全編,森の中(最後に,荒れた家)。ほとんどお金はかかってない。で,ここまで怖い。2024年の今観たら,この手の映画が多いからあんまりインパクトないですが,こりゃ,公開時はかなりインパクトあっただろうなぁ。

★★★


2024年2月8日

差別感情の哲学

中島義道 2015 講談社文庫

本書は,2009年に出た単行本の文庫版である。どのような差別感情がどこに潜む(生じる)のか,私たちの心の中を徹底的に探る。自己批判的に,繊細に,考える。


2024年2月1日

ナチスは「良いこと」もしたのか?

小野寺拓也・田野大輔 2023 岩波ブックレット

リベラルアーツの必読書。これを読まずしてナチスを語るなかれ。平易な文章で分かりやすく書かれているし,ロジカルかつコンパクトにまとまっていて,本当に素晴らしい良書です。