2024年3月26日

ダークレイン

(原題:The Similars)(メキシコ,2015)

奇天烈映画。そうきたか~。エビ投げハイジャンプ魔球並みの超変化球。これは絶対,カルト映画化するぞ。もうしてるかもね(笑)。激しい雨が降りしきる深夜の,メキシコシティから5時間離れたバス・ステーションでのお話。「ダークレイン」は,話中に出てくるコミックマンガ。

ちなみに,日本公開用の映画ポスターは,あれは,よろしくない。中身を全然表してなくて,かえってチープなホラー映画のイメージにしちゃってる。あの,透明人間みたいな顔面包帯家族のポスターから想像するのとは全然違うぞ,この話。そもそも,この絵の中にいる四人は映画の登場人物と恰好が違うし,映画では包帯人間は一人だけだし,主要な登場人物は四人だけじゃないし(笑)。もったいない。ポスターが,この映画の本当の深い味わいを台無しにしています。

★★★





ニュー・オーダー

(原題:New Order)(メキシコ/フランス,2020)

近未来のメキシコ。貧富の差が激しくなり,国中で暴動が起こる。略奪・殺人が街を破壊する。無政府状態。貧困層の怒りが爆発し,破壊の限りを尽くす。そんな中,裕福な家で豪華な結婚パーティをしていたマリアンは,昔の使用人を助けたくてパーティの途中に街に出るが,暴動鎮圧をしている兵士に捕まる。助かったと思いきや,それは誘拐犯だった。誘拐された人々は拷問され,誘拐犯は身代金を要求する。かたや無政府状態を統治するために軍隊が出動し,徹底した管理の元で,ようやく秩序らしきものを取り戻す。マリアンの母は最初の暴動のときに殺され,父と兄とフィアンセは無事に生き残り,徐々に元の裕福な暮らしを取り戻している。しかし,マリアンはまだ見つからない。

・・・とまぁ,話のミソをネタバレしないように書いてるとややこしいので,とりあえず,観てみることをおススメします。最初は,何だこれ,こんなことあり得るのか,何がどうなってるんだ,と訝しく観ていましたが,しかし,たぶん,政府の統治機構が不安定な国なら,こういうことは十分あり得るのかもしれないなぁと思いました。そう思うと,ものすごく怖い。

★★★


2024年3月25日

シェイプ・オブ・ウォーター

(原題:The Shape of Water)(アメリカ,2017)

ようやく観ることができました。2017年って,もう,6~7年経ってるのか~。とても良い映画でした。ギレルモ・デル・トロ監督。鑑賞後にいろいろと回想すると,あれこれつながってくるので,味わい深い映画です。もう一度観ようと思う映画です。

★★★★


極楽征夷大将軍

垣根涼介 2023 文藝春秋

第169回直木賞。ようやく読みました。弟の直義と足利家家宰の高師直の視点が交互に繰り返されながら話は進む。流れのままに尊氏が征夷大将軍になるころぐらいまでが面白かった。まさに「極楽征夷大将軍」。ここまでで良かったんじゃない?

その後はもう,あいつが怒ったこいつが騙したあいつが敵だこいつが悪いあいつが死んだこいつが殺したのすっちゃかめっちゃかで,事あるごとに進撃して,くっ付いて離れて,合流して寝返っての,まぁ,同じようなパターンが続くだけ。で,後半はあんまり尊氏は出てこないし。

でも,日本史は中学校レベルの知識さえも薄れている素人の私としては,室町幕府(足利幕府)って,こうやって成立したんだ,と改めて色々知って,その点はたいへん面白かった。南北朝とか,やっぱり,学校で習うことって,興味関心がないとすっかり薄れますからね。歴史小説って,面白いし,勉強になります(無論,小説なので,虚実入り混じってると思いますが)。

ちなみに,プロフィールを見てちょっと驚き。垣根涼介氏は,筑波の人間学類心理学専攻出身みたいですね~。しかも卒論は社会心理学の研究室だそうで,5歳上だから,そうすると,堀研究室か?じゃあ,SさんとかIさんとかと同級か?いや,Kさんか?



2024年3月21日

ズゴック

ガンプラ7体目。量産型ズゴック。

HGUCの006番なので,発売はなんと1999年!最近出ているモデルは,パーツが細かかったり,裏側(内側)まで細かい造形が施されていたり,関節の動きがスムースだったりしますが,他のMSとは形がだいぶ違う「ズゴック」だからか,あるいはHGUCの初期発売のものだからか,相対的にパーツも少なく,作りも大雑把でした。数えたら今から四半世紀も前のプラモデルだからねぇ。そんなもんか。でも最終的な出来栄えは,悪くないです。


2024年3月15日

ガンダム

 ガンプラ6体目。今度は,連邦の白い悪魔。

実は,開封した時に「シール」をどこかに失くしてしまって,一部,カラーの欠けているところがあって,ちょっと残念。付属品はちゃんとチェックしよう~。



2024年3月12日

「差別」のしくみ

木村草太 2023 朝日選書

憲法学の視点から,夫婦別姓問題と同性婚問題を中心に,また,日米を比較しながら,差別のしくみを考える。こまかく分析していくと,何がどう差別なのかが,解けます。

あからさまな差別行為ではなくて,一見問題のないような言動だとか判断の中に,差別的な感情が含まれていることを知ることができます。その意味では,中島義道『差別感情の哲学』とも通じ,自分の言動や思考・判断の意味に,今以上に自覚的になることが必要だということを改めて感じました。


2024年3月5日

殺人者の記憶法

(原題:Memoir of A  Murderer)(韓国,2017)

また観ました。二回目観ると,またちょっと違った感じがします。細かいストーリーは意外と忘れていますね。ソル・ギョング,良い味出すなぁ。

しかし,アマプラですが,前に観た時と少し編集が違う(短く編集されている?)ような気もしないでもないけれど,どうなんでしょう。ちなみに『殺人者の記憶法 新しい記憶』というバージョンもあり,そっちはまだ観てません。観たい。

★★★★


インデペンデンス・デイ:リサージェンス

(Independence Day; Resurgence)(アメリカ,2016)

あのエイリアン侵略から地球を守った日から20年。またもやエイリアンが,さらなる巨大戦艦で地球に到来。人類,どうする?

20年前の懐かしの登場人物が再び登場。

★★★


2024年3月4日

SISU/シス 不死身の男

(原題:SISU)(フィンランド,2022)

最強ジジイVSナチス部隊。痛快アクション。舐めてたナチスがコテンパンにやられます。ちょっとグロいけど。

★★★


ギャン

ガンブラ5体目。マ・クベ大佐の搭乗機。

しかしほんと,今のガンプラは,実によくできている。組み立ても,素人に優しいし,最初から色は付いてるし,可動域を滑らかにするための工夫が随所になされているし,裏側とか細かいところとかまでよく装飾がなされてるし,組み立てる楽しさを高めるために,こんなところパーツに分ける必要あるの?っつうぐらいあえて細かくしてあったりして,ホント,すごいです。

40年前のガンプラに比べたら,もう,天と地の差だね。



2024年3月3日

インデペンデンス・デイ

(原題:Independence Day)(アメリカ,1996)

たしか公開当時に観たので,約30年前ですか。圧倒的な戦力と科学技術を持つエイリアンの侵略という人類最大の危機に対して,大統領以下一致団結して戦う。当時としては,超巨大な円盤型宇宙船に恐怖した覚えがあります。シールド(バリア)貼ってて,ミサイル攻撃なんかも一切効かないし。

ストーリーとしてはものすご~く単純ですが,観る方も単純に,大統領の演説に,勇敢に立ち向かう科学者やパイロットたちの姿に,思わず泣けてしまう。30年ぶりに観ましたが,やっぱり泣ける。俺も単純だな~。

思わず涙してしまうのは,なんだろうね,スポ根マンガ的なのかな,あるいは,寅さん的なのかな。自己犠牲的に戦う人の姿には,泣けるのか。

ただ映像的にはやっぱり,30年の月日は大きいかも。最近のSFは,映像的にもっとリアルですね。奥行とか,ディテールとか。4Kデジタルリマスターとかすると,もっと良い感じになるかも。人気の映画だから,リマスター版もあるんだろうね,たぶん。

★★★


2024年3月1日

暗数殺人

(原題:Dark Figure of Crime)(韓国,2019)

実話に基づいた話。殺人罪で捕まったカン・テオ(チュ・ジフン)。麻薬捜査中に会った刑事キム・ヒュンミン(キム・ユンソク)に,留置所での面会中,連続殺人を告白する。カン・テオは,留置所で使うための金や物を要求しながら,手がかりを小出しに与えるも,支離滅裂だったり曖昧だったり嘘だったり前言を撤回したり怒鳴ったり嘲笑ったりして,キム刑事を翻弄する。キム刑事は,わずかな手がかりを基に,粘り強く愚直に捜査を続ける。

★★★


越前宰相秀康

梓澤要 2013 文春文庫

単行本2011年刊。結城秀康の小説2冊目。秀康が辿った大筋や,ところどころのエピソードはだいたい同じですが,なぜそういう判断をしたのか,そのときどういう思いだったか,誰がどこにいるか(どこに出てくるか)などは,当然だけど小説だから両者で違いますね。

歴史的な事実や,話として伝えられているエピソードや,寺社の縁起なんかを総合して,そこから想像して,話をつなげて,物語として構成するわけだから,話のタネは点であり,その点と点をどうつなげていくかがその歴史小説の面白さなんだなということが,読み比べてみて改めて分かりました。その意味では,この梓澤本より大島本の方が面白かったかなぁ。

梓澤本は,大島本に比べて,相対的に,秀康とその周辺があまり不遇ではない。それなりに遇されています。大島本の方が,不遇さ故の屈折した秀康の心模様が描かれています。父・家康に対して屈折した思いを描いている点は同じですが,その原因となる不遇さ・不条理さが,大島本の方がはっきりしいているのに対して梓澤本の方はその辺が緩い。それなりに好待遇だから,なんでそんなに屈折するのかに対して説得力が弱い。

まぁしかし,一方で大島本の弱いところは,服部半蔵をキーマンに使いすぎて,理屈づけやつじつま合わせに,暗躍するこの忍者に頼り過ぎなところがある点かな。あと,もう一人のキーマンに,黒人の従者がずっと付いているだけど,これは大島本の創作なのかもしれない。まぁ,忍者や黒人が出てくるところが,ある意味,エンターテイメント性を重視した,より「小説」的な小説だから,大島本の方が読み応えがあって面白いのかも。

もう一冊,植松三千里氏のものも買ってあるので,そのうち,読みます。