2023年12月31日

マリグナント 凶暴な悪夢

(原題:Malignant)(アメリカ,2021)

そういうことか~。

何だかよく分からない話だなぁと思って観てましたが,そうかそういうことか。しかし,でもなんかいろいろご都合主義っていうか,全体に要素や演技(演出?)がわざとらしいというか大げさというか。低予算なのかな。出だしからずっと全体に安い感じ。

監督はジェームズ・ワン。『死霊館』は良かったけどね。

ちなみに,malignantとは,「悪性の」という意味の形容詞。話も,そういうことです。だから,映画のタイトルが示唆することが分かっているか(←英語圏の人),「マリグナント」とカタカナで書かれてまったく意味が分からずただの識別記号としてしか用をなさないか(←私)で,若干,映画の見え方も違ってくるかもしれません。

★★


2023年12月30日

戦国武将伝 西日本編

今村翔吾 2023 PHP

東日本編に続き,西日本編。面白かったです。しかし,歴史モノはまったく素人の自分からすると,西日本の武将は知ってる名前が少ないね。まぁそれは,戦国時代後半が信長・秀吉・家康の天下統一の歴史だとすると,必然,京都・名古屋から東の話になるだろうからねぇ。いや,それは自分が名古屋人だからか?

それに,その名古屋から関東にやってきた自分にとっては,西日本の土地勘もあんまりない。せいぜいが仕事や旅行で行くぐらいだから,そことそこはどのくらい近いのか遠いのか,おおよその距離感というかスケール感というかが,よく分からない。なんとなく日本地図ぐらいの大雑把な感じしか分からない。

それに比べると,東海の愛知・岐阜・三重・静岡,関東の東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・栃木・群馬・・・なんとなく分かるなぁ。まぁ,その辺分かってる方がやっぱり楽しいでしょうね,歴史モノは。


2023年12月22日

戦国武将伝 東日本編

今村翔吾 2023 PHP研究所

47都道府県ごとに一人ずつ,戦国武将のエピソードをつづった短編集。面白い。NHKの大河ドラマ『どうする家康』をガッツリ見たので,この年齢になって戦国武将に興味が湧いて,買いました。次は西日本編。


2023年12月18日

中村尚人師との対談(月刊『秘伝』2024年1月号:発売中)

ヨガの中村尚人師との対談が,発売中の月刊『秘伝』2024年1月号に掲載されています。ご興味ご関心のある方,もし良ければ是非ご一読ください。

【特別対談 身心の専門家が語り合う!】
湯川進太郎×中村尚人「脳と身体が一致する喜びを体感しよう」


2023年12月17日

文庫版 魍魎の匣

京極夏彦 1999 講談社文庫

京極堂(百鬼夜行)シリーズ第二弾。25年ぶりぐらいに読んでみたわけですが,やっぱり面白い。登場人物や情景はなんとなくイメージとして残っているけど,ストーリーはけっこう忘れてます。「姑獲鳥の夏」もそうでした。ストーリーも,登場人物や情景からなるイメージ全体として溶け込んでいて,細かいところだとか,次にどうなるかだとかは,けっこう忘れているものです。

そういう意味では映画もそう。我々の記憶は勝手にいろいろと情報を編集したり脚色したりして,長期記憶という貯蔵庫の中に全体をイメージとしてコンパクトに丸め込んでしまってるけど,改めて見てみると,見ていながら見ていなかった(あるいは,忘れてしまっていた?)場面やセリフがたくさんあって,「こういう作品(話)だったのか」と再確認することがあります。今回,京極の本を読んでみて,これと似たような感じを体験しています。

だから,映画とか小説って,何度も観てみる(読んでみる)のも面白いわけですね。


2023年12月10日

2023年12月4日

文庫版 姑獲鳥の夏

京極夏彦 1998 講談社文庫

京極ファンならご存じ,この9月に,17年ぶりに京極堂(百鬼夜行)シリーズの新刊『鵼の碑』が出ましたので,登場人物と物語の流れを思い出すために,せっかくですからもう一度,最初から読み直してみることにしました。で,もともとは講談社ノベルズで読んでますから,今度は文庫版で。いやぁ分厚い分厚い(笑)。

この京極夏彦のデビュー作『姑獲鳥の夏』(講談社ノベルズ)は1994年ですから,そこから数えると来年でちょうど30年になるんですね~。大学院のときに,ものすごく面白い小説シリーズがあるよと隣の研究室の友人J師(とM氏)から奨められて読み始めて,今に至る京極ファンです。で,先日メールでJ師に京極堂の新刊の話をしたら,あれは修論のときだと言うから,1996年か~。気が付けばずいぶん年取りましたなぁアタシも。


2023年12月3日

バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー

(原題:Super-Heros)(フランス/ベルギー,2021)

「バットマン」ではなくて「バッドマン」。くだらない面白さ。アホ映画。くだらね~と思いながらも,最後まで観てしまいました。アメコミ映画のパロディ多数。しかし,一番笑えるのは,変な薬の治験をやってる友人(ポスター一番左)が本筋と関係なくしばしば見る幻覚。

★★


2023年12月2日

刑法の時間

佐久間修・橋本正博 編 2021 有斐閣

「刑法」について,とても分かりやすく,読みやすく,とても勉強になりました。

「刑法入門」といったような教科書を何冊か買って読んでみましたが,法学部の授業の教科書に使うような教科書はやっぱり難しい。というか,教科書ってホント,読んでいてつまらないよね(笑)。読み物じゃないからしょうがないんだろうけど。別に刑法に限らず,心理学の教科書も同じ。ちょっと前に認知言語学に俄然興味があって,認知言語学の教科書もいろいろ買って読んだけど,やっぱり読んでいてあんまりワクワクしないし,読みにくいことが多い。読んでいて疲れる。それが「教科書」。

その点,この本はいわゆる教科書ではないです。一般の読者に向けた,刑法の総論と各論を分かりやすく紹介・説明しています。刑法のざっくりとした全体像を知るのにおすすめです。


2023年11月26日

ジオング

今日はわたくしの,52歳の誕生日。

ガンプラ,作ってみました。1/144ジオング。

しかし,今のガンプラって,すごいね~。素人でもきれいに完成するし,最初から色も付いてるし,いろんな箇所がよく動くし。ジオング,指まで動くぞ。

四十何年前とはエライ違いです。

ザクとかグフとかドムとかゲルググとかズゴックとか,少し迷いましたが,やっぱりまずはジオングかな。なんとも禍々しいよね~,このフォルム。




2023年11月24日

恐怖の正体

春日武彦 2023 中公新書

「恐怖」にまつわる春日氏のお話。臨床経験に加えて,映画や小説や詩の話もたくさん出てきます。


2023年11月23日

22年目の記憶

(原題:My Dictator)(韓国,2014)

『殺人者の記憶法』(2017)のソル・ギョング主演。1972年,南北朝首脳会談に先立って,予行演習をするために北朝鮮の金日成になりきることを徹底的に仕込まれた無名の役者キム・ソングン。結局,予行演習は実現しなかったが,役に飲み込まれて徐々に自己のアイデンティティが混乱していく。それから22年後,マルチ商法で借金まみれになっていた息子のテシクは,実家の土地を売るために,今は老人ホームにいるソングンから実印の場所を聞き出すために,一緒に実家に戻ってくる。

★★


2023年11月19日

アンテベラム

(原題:Antebellum)(アメリカ,2020)

そうか~,そう来たか~。ヤバい映画,観てしまった。antebellumは,「戦前の,戦争前の」,特には「南北戦争前の」という意味。身の毛のよだつお話です。

タイトルの意味が分からなかったので,一体どういう話なのかよく分からず,食わずじまいでしたが,ようやく観て,なるほど~,こういう話か,こりゃ,早く観れば良かった,と思ってます。こわい。おぞましい。ぞっとする。肝が冷える。胸が痛い。

とりあえず,観てみた方が良いです。もっと良いのは,可能であればこれを観る前に,黒人奴隷を売り買いする南北戦争前のアメリカ南部社会を描いた問題作『マンディンゴ』(1975)を観ておくことです。

★★★★




2023年11月16日

2023年11月4日

法律版 悪魔の辞典

大西洋一 2021 学陽書房

まぁ,全体的には面白かったです。法曹の世界のややマニアックな話。

勝手なステレオタイプ的な想像で,こういう,シニカルなことを書くような人のイメージとして,見た目は中年のむさくるしけど老獪な親父風で,屁理屈を理屈で通す,でも頑固過ぎて弁護士業務ではあんまり儲かっていない,そんな濃いキャラをイメージして途中まで楽しく読み進めていましたが,ふと気になって,ネットでどんな年齢のどんな顔の人なのか見てみたら,な~んだ,普通に二枚目のイイ男ぢゃねぇか(※)。しかもたぶん,やり手の弁護士なんだろうなぁ。で,やり手の二枚目だと分かった途端,ちょっと楽しくなくなりました。なんだろうね,これ(笑)。

※・・・良く見たら,本の最後の著者紹介のところに写真が載ってました。

二枚目が毒舌を吐くのは,それはそれで別に良いんだけど,二枚目なんだからわざわざ毒舌吐かなくても良いのに,と思う節があって,その背景には,毒舌を聞くのがある種の快楽だとすれば,その快楽をもたらしてくれる人は,その人が毒舌を吐きたくなるような報われない人でなければならない,そういう人が吐くから聞く側が快楽となる,というような偏見の構図が(少なくとも僕の中には)あるからな気もします。古くはビートたけしや最近ではウエストランド井口みたいにね。つまり,二枚目として報われている人が毒を吐いても,聞く側はあんまり笑えない,なぜなら単なる嫌味に聞こえるから,でしょうか。だって,「やり手」の「二枚目」の「弁護士」ですよ。

と,本の中身とは関係ないところでいろいろ思いが広がる本でした。いや,この人の書いていること,実際,一つ一つ,面白いですよ。視点も冷静で客観的で説得的だし。だから,法律的な観点から見た,シニカルなエッセイなんか書いたら,売れるんじゃないかな~。僕は買いますよ,買います。



2023年10月22日

刑法的思考のすすめ

仲道祐樹 2022 大和書房

刑法とは何かという観点から,刑法がどのように成り立っていて,どのような社会にするために,どのように機能しているのか,を,殺人罪や窃盗罪や詐欺罪などを例にしながら考える本。面白かったです。



2023年10月13日

10歳から読める・わかるいちばんやさしい刑法

和田俊憲 2022 東京書店

わかりやすかったです。漢字に全部,ひらがなふってあります。



2023年10月9日

キャスト・アウェイ

(原題:Cast Away)(アメリカ,2000)

『フォレスト・ガンプ/一期一会』のロバート・ゼメキス監督。トム・ハンクス主演。フェデックスの敏腕システムエンジニアであるチャック(トム・ハンクス)の乗った飛行機が太平洋上空を飛行中に事故で墜落し,チャックは一人,無人島に漂着する。何もない小さな孤島で,恋人のケリーを心の支えになんとか耐えて生き抜き,4年後,とうとう島を脱出する。しかし,孤独で過酷な生活を耐え抜いた男が生還した先に待っていた現実は・・・。

cast awayは,「(孤島などに)置き去りにする」「(船などを)漂流させる,難破させる」「関係を断つ,孤立させる」って意味らしい。映画の冒頭,世界中を飛行機で駆け巡り,時間を惜しんで金を稼ぎ,良い飯食ってちょっと小太りだったチャックが,島にはココナッツの実ぐらいしかない4年間の無人島生活で,わずかな物資だけを頼りに様々なサバイバル術を身に付け,まるで原始人のようにすっかり痩せてスマートになるのは,さすがトム・ハンクス。

物に溢れる現代社会であくせく働く消費生活に対する批判とか,本当に大切なのは金や物ではなく愛する人への愛なのだとか,そういう物質的な消費社会から離れて自由に羽ばたくことに気づいたとか,いろいろメッセージはありますが,そういうメッセージはともかく,なんとかかんとか不器用にサバイバルしていくチャックを見ているだけでドキドキハラハラします。

ウィルソ~ン!

★★★


コンジアム

(原題:Gonjiam: Haunted Asylum)(韓国,2018)

こえ~。Kホラー,こえ~。超こえ~。興味本位でも心霊スポットには絶対に行ってはいけない。ましてや動画再生回数上げて金儲けしようなんて絶対に思ってはいけない。確実に呪われます。呪われたら帰れません。

コンジアム(昆池岩)は,実在する元精神科病院の名前。今は廃墟になっている韓国最恐の心霊スポット。そこへ,動画配信で心霊スポットを紹介・調査して稼いでいるチーム「ホラータイムズ」が潜入する。

しかし,韓国映画,レベル高いなぁ。Jホラーも怖いのは怖いけど,Kホラー,やばいっす。

★★★★


2023年10月8日

プロメテウス

(原題:Prometheus)(アメリカ,2012)

リドリー・スコット監督。人類の創造主を探して辿り着いた星にあったものは・・・。あの『エイリアン』の謎に迫る。

というわけで,何か書いたら即ネタバレ,というぐらい,あんまりひねりのないシンプルな話です。だから粗筋についてはほとんど書けません。

人間模様なんかはほとんど描かれなくて,各登場人物のキャラクター造形も平べったい。科学者の素朴な探求心みたいなのを話の原動力にしているのはまだ分かる。しかしそれだって,そういう風に科学者を描くのはステレオタイプ的だし,そういう安直なステレオタイプで話を成立させようとするのは,科学者を馬鹿にしているようでげんなりする。その言い訳か,隠蔽か,金が目的のチンピラ科学者みたいなのを出してるのも,安っぽいなぁ。そもそもこの話自体を成立させているプロジェクトに莫大な資金を投入している資産家(企業経営者)の動機づけがイマイチ弱くて説得力がない。

考えれば考えるほど話としては薄っぺらい感じがするのですが,エイリアンや異星人の姿形はキモくて見ごたえあるので,とりあえず最後まで観ました。

★★


鬱屈精神科医,怪物人間とひきこもる

春日武彦 2021 キネマ旬報

春日氏の映画話。半年間?あらゆる仕事を辞めてひきこもっていたらしい。春日武彦×映画。面白くないはずがない。


2023年10月7日

第50回 全日本杖道大会

10月15日(日)開催の,第50回全日本杖道大会(二段の部)に出場します。なお,全日本は,希望者は全員出場できますので,何か特別に選抜されたわけではありません。なので,出場すること自体はスゴいことでは全くありません。

入門する前に一度どんな武道なのか実際に観てみたいなど,ご興味ご関心のある方は,「横浜武道館」(JR関内駅下車徒歩6分)で午前中からやっていますので,是非ご来場ください。入場無料です。





2023年10月3日

PIG/ピッグ

(原題:PIG)(アメリカ,2020)

トリュフブタが探し出すトリュフを売って,森の奥でひっそり暮らす男ロブ(ニコラス・ケイジ)。そのブタは質の良いトリュフをよく見つける。ある晩,その大事にしているブタが強奪される。大けがを負ったロブだが,ブタを探しに街へと下りていく。

「本気になれることはそうないぞ」が良いセリフだったなぁと思って,もう一回観返して英語を何とか聞き取ると,

We don't get a lot of things to really care about.

って言ってました。これ,検索したら,ここんところの場面だけを切り取ってYouTubeにアップしてありますね。ここ,この映画で一番いい場面でした。しかし,ニコラス・ケイジ,ほんと,なんでもやるなぁ。姿も演技も,ほんと別人だわ。いや,ある意味で基本的に,いずれの映画も,やや常軌を逸している「変人」役ではあるね。

★★★


2023年9月29日

動物に「心」は必要か 増補改訂版:擬人主義に立ち向かう

渡辺茂 (2023) 東京大学出版会

我々は自律的に動く対象に心を知覚するけれども(これは同種他個体の行動を予測するため),動物に人と同じような「心」を想定する(擬人主義)必要はないし間違ってるよね,という慶応の渡辺先生の本。行動主義の隆盛と衰退,認知科学の勃興,比較認知科学の展開など,心理学史としても勉強になりました。

いろんな動物がいるけれど,人はどの類どの種まで心の知覚をするのかとか,植物は,機械は,という辺りに僕は興味があるのですが,渡辺先生の主旨としてはそういうことを書こうとしている本ではちょっと違うのかもしれないのだけれど,その辺の興味も満たされました。

東京大学出版会の広報誌「UP」連載の評論を書籍化し,かつ,書き下ろしを加えた増補改訂版。こういうのを載せてるUPって,すごいなぁ。




2023年9月26日

スリザー

(原題:Slither)(アメリカ,2006)

エイリアンに寄生されるSFパニック映画。グチャグチャドロドロ。slitherは,「ズルズル滑る,滑るように進む」って意味ですね。まさにそういう映画です。寄生された人たちはゾンビみたいになります。ゾンビゲロ的なのも吐きます。とにかく始終,性的なモチーフだらけ。ストーリーに新味はないけど,なんとなく,最後まで観てしまいました。キモち悪いです。


2023年9月19日

死霊館 悪魔のせいなら,無罪

(原題:The Conjuring:The Devil made me do it)(アメリカ,2021)

実話に基づくウォーレン夫妻の『死霊館』シリーズ第3弾。しかしこの,副題の,「〇〇なら,××」は何だろ,『IT』シリーズのあれですか。まぁ確かに,現代を直訳すれば,「呪術師:悪魔が私にそうさせた」でしょうから,これは悪魔のせいだ,ということであながち遠くはないだけど。なんか,他のホラー映画に被せるのって,恥ずかしくないのかね。売れれば何だって良いのか(笑)。

ホラー映画としては,まぁ,怖い。でも何だろう,いくつも見てると,この悪魔モノって,同じパターンだから,新味はないかもなぁ。結局,シリーズになるぐらいだからこそ期待してる分,引き算されちゃうのかも。

★★


2023年9月18日

スウィング・オブ・ザ・デッド

(原題:The Battery)(アメリカ,2012)

たぶん,私はゾンビ映画が好きです。つい,観てしまいます。これもつい,観てしまいました。

野球の元バッテリー(ピッチャーとキャッチャー)が,ゾンビの蔓延した世界で生き延びる旅を続けるロードムービー。現実を受け止めてしぶとく生きようとするベン(キャッチャー)と,現実を受け止められなくてどこかに救いを求めようとするミッキー(ピッチャー)。

何かすごい展開があるのか,すごい結末があるのかと期待しながら,とりあえず最後まで観てしまった。


2023年9月14日

ゾンビボーダーランド~めざせ!アンデッドのいない国境地帯へ~

(原題:The Last Serb in Croatia)(クロアチア,2019)

B級ゾンビ映画だと思って,軽い気持ちで観始めました。

原題を直訳すれば,『クロアチア,最後のセルビア人』。今はクロアチアとセルビアは国境を接する独立国家同士ですが,歴史を振り返ると複雑で,クロアチアにセルビア人も住んでるし,セルビアにクロアチア人も住んでますが,両者は仲が悪いらしい。ネットで検索してみると,両方ともスラブ系ですが,クロアチア人はローマ・カトリックを信仰していてラテン文字を使用し,セルビア人はセルビア正教を信仰していてキリル文字を使用するらしい。宗教と文字が違うのは大きい。特に仲が悪くなったのは第一次・第二次世界大戦を経て現代に至るまで,いろいろあったから。うううむ,この辺り,複雑でよく分からん。ごめんなさい,不勉強。

とりあえず,この映画は,その辺りの「クロアチア人とセルビア人は歴史的にものすごく仲が悪い」という話を前提に観る必要あり。クロアチアの映画だからクロアチア寄りの映画なのかと思いきや(もしそうだとしたら,クロアチア人によるクロアチア万歳映画になってしまって,ただのゲス映画だから,あり得ないか),クロアチアという国はもうすでに国家破綻しているところから始まるし,クロアチア人は全員ゾンビ化して,最後はアメリカの企業に殲滅されます。だから,クロアチア人がクロアチアを小ばかにしたブラックジョーク映画,なんだよね,きっと。

邦題は,B級ゾンビ映画として,とりあえず観せようとするための,苦し紛れ。別に国境に向かうことはそれほど重要な要素ではないから,ボーダーランドとか国境地帯とか,この映画の本質的な内容とはあんまり関係ないです。とても仲の悪いクロアチア人とセルビア人を描いたブラックジョーク映画,として正しく観れば,まぁ,面白い。

★★


2023年9月8日

こころの違和感 診察室

春日武彦 (2022) 河出新書

最近また春日先生の本をいくつか読むようになって,あんまり綺麗ごとを言わないところや自己客観視しているところが,サッパリしていて読んでいて安心できるし,やっぱり良いです。あの『鬱屈精神科医,占いにすがる』が突出して歪んでただけかもしれない。ものすごくベッチョリしてました。

ただ,ですます調の文章より,である調の方が,春日先生のシニカルなところ(の面白さ)が出やすいんじゃないかと思いました。ですますになることで,強烈な皮肉やブラックジョークが弱まってしまうような気がします。あるいは,年を取って丸くなったのか。


2023年8月24日

コンスピリチュアリティ入門:スピリチュアルな人は陰謀論を信じやすいか

横山茂雄他 2023 創元社(叢書パルマコン・ミクロス)

「陰謀論(conspiracy)」+「スピリチュアリティ(spirituality)」で,コンスピリチュアリティ(conspirituality)。本書の日本人著者らの造語ではなく,Ward &Voas(2011)が提唱した概念。この概念が研究テーマとして有効かどうかというところから議論しているのが本書。

結論としては,ううん,どうなんでしょう。特に斬新で痛快な現代的テーマとは思えなかったなぁ。そもそも,陰謀論も,スピリチュアル(ニューエージ的,オカルト的,精神世界的)なものも,科学的論理的に飛躍したキワモノ,という点で,どちらも日本では『ムー』的なモノ,あるいは『トンデモ』なモノ,ということで同じ穴の貉ですもんね。別に,くっつけるまでのこともなし。実際,すでにそういう批判はあるそうです。なんだそりゃ。


2023年8月14日

それは私がしたことなのか:行為の哲学入門

古田徹也 2013 新曜社

最近読んだ中でも特に良い本です。そもそも「心理学」をやっているつもりの人は読んだ方が良いし,「法学」をやっているつもりの人も読んだ方が良い本です。私は法学の特に刑法に興味があるので,ワクワクしながら,そうだよなぁ,確かになぁ,と楽しく美味しく読めました。ごちそうさまでした。じっくり読んで,分かりやすく哲学を楽しめる,とても良い本です。2013年刊ですが,2022年の時点で七刷です。納得。


2023年7月28日

猛暑日

気温が35℃以上だと「猛暑日」ということになるそうで,観測記録から年間の猛暑日を数えたら,大正・昭和期に比べて平成・令和期は猛暑日が3倍ぐらいになってるそうです。確かに,昭和46年(1971年)生まれの私からすれば,小さい頃は暑くても30℃前後であって,35℃を超えることは滅多に無かったように思うので,記録は記憶を裏付けていることに,思わず首肯しました。

で,今年はその年間猛暑日の日数が記録を超えるような勢いの暑さが続くそうで,毎日毎日,「暑いですね~」「たいへんな暑さですね~」「命に関わりますね~」「こりゃマズい暑さだわ~」と,挨拶する度に同じことばかり繰り返してるのにうんざりしました。

そこで,小さい頃(昭和)が懐かしいなぁ,昔は良かったよね,(本当は)暑くても30℃前後なんだよね,と嘆くのは止めて,もはや日本の夏は40℃前後だと思うことにしました。それが今の「本当」です。で,一度そう思えば,まぁ,暑さなんてこんもんだと思えます。


無論,地球温暖化だとか脱炭素化だとか原発だとかウクライナ戦争だとか,世界規模・地球規模で今すぐにでもなんとかすべきことは山積みであり,そう思うと,次世代の人たちに申し訳ない気持ちが最近してきて,気が気でないわけで,できることがあれば何かすべきだとは思います。

が,とりあえず,毎日生きている身として,目の前の暑さをどうしのぐかもまた,私自身としては重大であることから,今日から私は,「日本の夏は30℃」から「日本の夏は40℃」へと再定義(認知的に再評価)し直すことにしました。

2023年7月25日

シン・仮面ライダー

映画館で観ましたが,アマプラで配信されたので,早速,もう一度観てみました。映画館で観た時は,お金も払ってるし,席も快適だし,それなりに楽しめましたが,しかし,これ,もう一度観たけど,正直言って面白くないね。

戦闘シーンは,そんなに悪くない。けど,本郷猛(池松壮亮)の棒読みは,やっぱり,ちょっとどうなんだろう。「コミュ障」という設定だけど,演出だとしたら,この俳優さん,かわいそうかもしれん。wikiを見てみると,どうやら映画やらドラマやらにものすごいたくさん出ているようだから,演技力は評価が高いんだろうけど,この「シン・仮面ライダー」だけ観た人(=私)からすると,ものすごい下手くそな役者にしか見えないぞ。潰す気か。

というか,『仮面ライダーThe First』『同 The Next』の方が,戦闘シーンは良いしね。


2023年7月24日

グラン・トリノ

(原題:Gran Torino)(アメリカ,2008)

クリント・イーストウッド。相手の青年(少年?)役の演技が大根すぎる(素人起用か?)。東洋人に対する人種差別的な頑固親父が,あれよあれよという間に隣人のモン族と仲良くなるのはかなり違和感が大きい。

★★


2023年7月17日

マルモイ ことばあつめ

(原題:Malmoe: The Secret Mission)(韓国,2019)

知らないままでいることは,時に幸せかもしれないが,しかし,知らないことがあるというのは,時に罪であると思う。日本人なら,観た方が良い。

★★★★


2023年7月1日

うつ病になってマンガが描けなくなりました 入院編

相原コージ (2023) 双葉社

相原コージ氏,自殺未遂をして,いよいよ閉鎖病棟で入院することに。うつの人の主観的世界やうつになったときの医療体制を垣間見ることのできるマンガ。これだけがうつの人の唯一の真実というわけではないだろうけれど,一つの例として,知ることができる。本人にとってどうしようもなく辛い現実なんだろうけど,かの相原コージ氏が描いてるから面白いんだね,この本。3巻目はいよいよ,退院編。期待して待つ。


2023年6月28日

奇想版 精神医学事典

春日武彦 (2021) 河出文庫

春日氏の「連想」で事項がつながる事典。最後の事項が最初の事項につながってループする変な事典。完成までに10年かかったそうです。面白い。


2023年6月27日

ライダーズ・オブ・ジャスティス

(原題:Riders of Justice)(デンマーク/スウェーデン/フィンランド,2020)

列車事故で妻を亡くした歴戦の職業軍人マーク。同じ列車に乗っていた数学者オットーは,事故は偶然ではなく意図的なものだったと気づき,警察に訴えるが取り合ってもらえず,マークに伝える。妻を亡くして,残された娘マチルデとともに,どうしてよいのか分からず途方に暮れるマークだったが,妻を巻き添えにした首謀者と思しきギャング「ライダーズ・オブ・ジャスティス」のボスへの復讐を計画する。

列車には娘のマチルデも乗っていて,病院は,マチルデとマークにそれぞれ,カウンセリングを申し出るも,マークは歯牙にもかけない。母の死を受け入れられない娘の気持ちも無視して,ひとり悶々としている。本当は自分も妻の死を受け入れられていないのに。

そこへ現れたのがヘンテコな学者崩れ三人,オットーとレナードとエメンタール。事の成り行きから,娼夫のボダシュカ(←心優しい青年)も加わり,一つ屋根の下に暮らすことに。マークたちによる復讐計画の進む中,マチルデの心も少しずつ癒されていく。

しかし,問題はマーク。頑固な軍人は心を開かない。戦場で感情を抑制することを生業とする軍人であることから,自分の内面へと向き合おうとしない。悲しみや不安を打ち消そうとする。これがいけない。さて,果たしてマークは救われるのか。彼らの復讐計画は?

★★★★



ハンコック

(原題:Hancock)(アメリカ,2008)

アル中でダメダメの超人ハンコック。悪者を退治するたびに,街中をぶっ壊して嫌われ者になっている。PRが仕事のレイを助けたのがきっかけで,スーパーヒーローとしてやり直すことに。

★★


2023年6月20日

KAPPEI カッペイ

(日本,2022)

マンガが原作の映画。観ようか観まいか迷っていて,つまらなければ途中で観るのを止めればいいやぐらいで観始めましたが,結局,最後まで観てしまった。

★★



2023年6月6日

NOPE/ノープ

(原題:Nope)(アメリカ,2022)

面白い!

監督は,『ゲット・アウト』のジョーダン・ピール。主演は,同じく『ゲット・アウト』のダニエル・カルーヤ。父親が立ち上げた田舎の馬牧場をなんとかやりくりしているOJ。ある日,山の向こうの雲間に,巨大な物体が飛んでいくのを目撃する。

★★★★


2023年5月21日

9つの脳の不思議な物語

ヘレン・トムスン(著)仁木めぐみ(訳) 2019 文芸春秋

非常に稀な神経・精神症状を呈している患者自身に,どのような感じなのかをインタビューしたり,その患者の主治医やそうした症状の専門家にインタビューして,疾患の謎に迫る科学読み物。単に科学的な追求ではなく,その本人がどのようにその世界を生きているかに注目しているところが新鮮でした。オリバー・サックスとか,ヴィラヤヌル・ラマチャンドランとか,最近だと,『私はすでに死んでいる──ゆがんだ<自己>を生み出す脳』のアニル・アナンサワスーミーとか,その線の話です。面白かったです。勉強になりました。


2023年5月3日

ロスト・ボディ ~消失~

(原題:A perfect enemy)(スペイン/ドイツ/フランス,2020)

原題を直訳すれば,「完璧な敵」でしょうか。それだと本作の内容がイマイチよく分からないから「ロスト・ボディ~消失~」にしているわけですが(何をもってこのタイトルにしたかは,見終わる頃には分かりますが),それでもやっぱり,この邦題だとさらによく分からない(笑)。一体,どんな映画なのか,タイトルからはさっぱり。じゃ,どんなタイトルが良いかと言われればそれも難しいけど。

著名な建築家のジェレミーは,パリでの講演後にタクシーに乗るが,空港までの渋滞に巻き込まれる。途中,同じく空港に行くという若いアバズレ女を乗せてやることに。結果的に予定していたワルシャワ行の飛行機には乗れず,ラウンジで時間をつぶすことに。すると,その女がラウンジにやってきて,あれこれ絡んできて,離れない。でもって,勝手に色々話し出す。なんだこの変な女は。

この変な女のキモさが謎で,最初はなんだか恨みを持ったヤツにストーカーされる話かと思って,観るのを途中で止めようかと何度か思ったけど,最後まで観ることができました。嫌いではない話。

まぁだから,ものすごく特徴的なのはこの二十代のキモい女の存在なのであって,全編,基本的に,この女との空港と回想での二人劇なわけだから,やっぱり,タイトルは,この女にちなんだ方が良いでしょう。「空港女」とか,どうでしょう?(笑)邦題は,結局,種明かしっていうかネタバレっていうか核心っていうか,「ああ,そういうことね」という話なので,だからやっぱり良くないよね,タイトルにするのは。

ただしかし,なぜ「女」なのかね。「男」だと,絡んできた時点でケンカになっちゃうか警察に通報されるだけだからかね。若い女,ということで,ラウンジで絡んでくることを許容させている仕掛けになってるってことか。あと,なぜ「アバズレ」なのか。これもやっぱり,しつこく何度も絡んでくる必要があるから,まっとうな若い女性や淑女では駄目なんだね。でも,一見まともな人がラウンジで病的にしつこく絡んでくるのも,それはそれでキモいと思うけど。

一番最初の場面で,この女,自分でタクシーのドアを開けました。ここは,厳密さを追求するために,ジェレミーが開けないといけないと思う。惜しい。

★★


2023年5月2日

ウルフマン

(原題:The Wolfman)(アメリカ,2010)

ユニバーサル映画。「狼男」。主演は,ベニチオ・デル・トロ。この濃い顔,どこで見たっけなぁと思って検索してみましたが,『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』のDJぐらいでした。でも,一度観たら忘れられない濃さです。父親役は,アンソニー・ホプキンス。追いかける警部役は,『マトリックス』のヒューゴ・ウィービング。まぁ,話としては凡作。狼男への変身シーンも,結局,CGだから,何とでもなっちゃうし,それだけ何だか嘘くさいというか空々しいというか。ただ,殺戮場面は非常に生々しい。

やっぱり,狼男と言えば,僕らの年代だと,『狼男アメリカン』(アメリカ,1981)でしょう。あの特殊メイクのリアルさには感動しました。最後に流れるMECOの「ブルー・ムーン」は泣かせます。また観たいなぁ。

★★


2023年4月22日

このゲームにはゴールがない:ひとの心の哲学

古田徹也 (2022) 筑摩書房

言語哲学。門外漢なので正しいのか分からないけど,いわゆる「心の哲学」とくに「他我問題」を言語哲学的に考えた感じでしょうか。言っていることは分かるし,なるほどそういう風に見ればそうだよね,というところもあるけれど,そもそも僕はこの本の中でいう懐疑論的な立場というか,その立場をただ面白がってる遊んでいるだけなところはあるので,なんだかその遊びを注意されてる(ふざけないでちゃんと考えなさい!)みたいで,そこんところがちょっと面白くない。懐疑論とか反懐疑論は,理論でもなんでもない(から,不毛だ)と言っているからね。でも,本書の結論も結局,懐疑論の範疇から出ないんじゃないかなぁ。分からんものは分からん,そういうゲームなのだ,ということだし。いや,しかし,そこが僕の哲学的理解の浅さなのかもしれない。よく分かりません。古田先生ゴメンナサイ。こういう,哲学的な詳細が,踏み込んでいくうちにだんだん分からなくなって思考が混乱して曖昧になるところが,徹底的に哲学できない僕の性質いや限界なのであって,たぶんそれが心理学者になった理由のような気がしています。哲学者ってのは,だからいつでも尊敬しています。いずれにせよ,他者の心をどう思うか,という議論や,感情や意思や動機というものをどう扱うか,心とは何か,って話は面白いし,僕自身にとってもずっと本質的な問いです。



2023年4月11日

ブレット・トレイン

(原題:Bullet Train)(アメリカ,2022)

東海道新幹線で殺し屋対決。なんとなくヘンテコな日本は興味深い。ってか,邦題が「ブレット・トレイン」だけど,「弾丸列車」で良いんじゃないかね。

★★



2023年3月31日

家へ帰ろう

(原題:The last suit)(スペイン/アルゼンチン,2017)

とても良い映画でした。

アルゼンチンに住む,頑固で偏屈な仕立て屋の老人アブラハム。たくさんの子供と孫に恵まれたが,悪くしていた右足はとうとう切断しなくてはならないほど悪化し,老人ホームに入れられることに。しかしその前に,70年前,ナチスの迫害から守ってくれた親友のいるポーランドに,ある約束を果たすために,一人旅立つ。それは,自分の仕立てたスーツを届けることだった。

★★★★


2023年3月24日

カオス・ウォーキング

(原題:Chaos walking)(アメリカ/カナダ,2021)

これはなかなか面白かった。良かった。

西暦2257年。人類は地球から遠く離れた惑星「ニュー・ワールド」に入植した。しかし,この惑星では,理由は分からないが,男だけ思考が外に漏れ出てしまう。思考は音声化(言語化)されたり映像化(視覚化)されたりする。だから男は昼も夜も騒々しく,頭の周りには常に何か七色の煙のようなものが立ち込めている。

青年トッドの住む村に女は一人もいない。なぜなら,この惑星の先住民スパクルにことごとく殺されたからだ。あるとき,地球から来た宇宙船から出発した偵察船(先発隊)が,大気圏突入時の事故で,トッドの住む村の近くに不時着する。生き残ったのは一人の女性(ヴァイオラ)。トッドが彼女を見つける。

主演は『スパイダーマン:ホームカミング』のトム・ホランド,監督は『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のダグ・リーマン。原作は,パトリック・ネスの『心のナイフ(原題:The knife of Never Letting Go)』。

ここで「思考が漏れる」というのは,自分の考えていることが他者に知られてしまい,他者の考えていることが分かってしまう,ということである。まさに統合失調症の症状である「思考化声」や「思考伝播」のような状態であり,これはかなり生きづらい。想像以上に生きづらい。

Never Letting Goという原作のタイトルも,思考(心)とは「手放せないもの」という意味もあるかと思います(それを手放していこうとするのが,マインドフルネス瞑想であり,仏道修行ですね)。

先住民スパクルとの関係も考えさせられるものがあります。映画も,単なる異形の野蛮な怪物ではなく,入植者である人類との関係を考えさせるように描いています。

★★★★


統合失調症

村井俊哉 2019 岩波新書

統合失調症の実際を,非常に分かりやすく解説した良書。統合失調症という疾患(症候群)を,治療する医師の立場から丁寧に説明しています。統合失調症に対して持っている思い込みやあいまいな認識が解消されて,かなりクリアになりました。良い本です。

奇しくも,今から59年前(1964年)の今日,「ライシャワー事件」が起きたと,NHKラジオ『マイあさ!』の「今日は何の日」で言ってました。


2023年3月21日

サイバー・ゴースト・セキュリティ

(原題:Nekrotoronic)(オーストラリア,2018)

邦題はイマイチ。原題の「ネクロトロニック」のままでも良いと思う。ちゃちいタイトルほど内容は薄くない。まぁまぁ良い映画。アクションも,悪魔や幽霊の造形や演出も,物語の設定も悪くない。

人間の魂を吸い取る悪魔(デーモン)と,それを退治するネクロマンサー(魔術師,悪魔ハンター)との戦い。現代の悪魔はネットに入って人間の魂を吸い取る。だから戦いの舞台はときどきネットを経由するわけだけど,実際は魂が移動するときにネット経由するぐらいで,バトルはリアル。だから,サイバー・ゴースト・セキュリティなんて,ちゃちい邦題つけずに,どうせ横文字にするならそのまんま「ネクロトロニック」(ネクロマンサーとエレクトロニックの合成語だろうね)で良いのに。その方が,「何これ?」って思うしね。「サイバー・・・」じゃ,ねぇ。

一番良いのは,主人公に憑りつく悪霊。主人公の親友(仕事の相棒)が殺されちゃうんだけど,主人公の魔術力でもって,不可抗力で悪霊になって主人公に憑りつくわけなんですが,これがなかなか良い味出してます。

★★★