2024年5月5日

不思議惑星キン・ザ・ザ

(原題:Kin-Dza-Dza)(ソ連,1986)

やっと観ました。これがかの有名なキン・ザ・ザね。クー。

★★★



2024年5月4日

ゴジラ-1.0

(日本,2023)

アマプラで早速観ちゃいました。いやぁ,マジ面白かったわ~。面白過ぎて汗と涙が出ちゃいました。とにかく必見。ゴジラ生誕70周年記念作品。『シン・ゴジラ』以来7年ぶり。

★★★★


2024年5月2日

ファンタスティック・プラネット

(原題:Fantastic Planet)(フランス/チェコ,1973)

有名なアニメ映画だよね。初めて観ました。1973年にこれはすごいよね。僕がまだ2歳だからね。50年前ですよ。衝撃だったでしょう,きっと。

魚のような顔をしたドラーグ人に,まるでアリのような昆虫のごとく,飼われ,遊ばれ,潰され,駆除される人間たち。人間からすりゃ,アリの扱いもそんなもんだったりするからねぇ。不思議な人種,不思議な服装,不思議な装置,不思議な習慣,不思議な植物,不思議な動物。

ただ,惑星間移動はいわゆる「ロケット」なのね。

★★★


ロブスター

(原題:The Lobster)(アイルランド/イギリス/ギリシャ/フランス/オランダ/アメリカ,2015)

なんかすごい映画,というか,ものすご~く変な映画を観てしまった。監督はヨルゴス・ランティモスというギリシャの人。これが長編三作目だそうです。変,って言っても,別に支離滅裂っていうわけではないです。筋はちゃんと通っています。いろいろと寓話や意味がこれでもか!というぐらいいろんなところに込められてます。最後まで釘付けです。

独身が罪となる世界で,妻に離婚された男・デヴィットが連れて来られたところは,風光明媚な湖畔にたたずむ瀟洒なホテル。ホテルには,「独身者」たちが宿泊している(というか,収監されている)。ここで,45日以内に相思相愛のパートナーを見つけなければ,希望する「動物」に換えられてしまう。タイトルの「ロブスター」は,デヴィットが希望する動物だから。なお,ホテル滞在者は毎日,森に逃げ込んで暮らす独身者たちを(麻酔銃で)「狩る」という義務も与えられている。独身者を一人捕獲するたびに,ホテルに滞在可能な日数が一日増える。

まぁしかし,数多あるディストピア映画の中でも,こんな設定は初めてですわ(笑)。過剰管理社会とか出産制限社会とか資源枯渇社会とかエイリアン支配社会とか色々ありますが,だいたい,あまりに突飛すぎる設定は随所に無理が出て,インパクトは最初だけで開始早々に破綻したりして,ご都合主義のオンパレードになり,もう後半はしょうがないからアクションでごまかす,なんてのが多いような気がする。しかしこの映画は,破綻する前に,畳みかけるように設定の細部をどんどん重ねていって,その中に暗喩・明喩の両方絡めて人間社会の本質,夫婦・家族の本質,愛の本質みたいなのを皮肉たっぷりに描いていて,非常に面白い。というか,変。

あまりに突飛な設定なので,これ,作りによっては思いきり空振りする可能性もあっただろうけれど(最初に脚本見せられた出資者は絶対難色示したんじゃなかろうか。「これ,大丈夫?」って),映画全体を通して真面目にキッチリ作られていて,妙な白々しさ,嘘くささは全然感じない。だから怖い。というか,変だわマジで(笑)。よく作ったよ,ホント。

終わり方もね~,良いよね~。愛とは何だ?夫婦って何だ?人間って,何だ~?

★★★★★


2024年4月30日

22ジャンプストリート

(原題:22 Jump Street)(アメリカ,2014)

「21ジャンプストリート」の続編。今度は大学潜入。シンプルなギャグに,笑えます。声に出して笑えるアメリカンコメディ。たぶん,ギャグが全体的にあんまりコッテリじゃないからかね。このぐらいが良いよ,このぐらいが。でも,下ネタは多いなぁやっぱり。

★★★


2024年4月28日

21ジャンプストリート

(原題:21 Jump Street)(アメリカ,2012)

1987年~1990年に放映されたテレビドラマの映画化。テレビドラマは,ジョニー・デップの出世作(らしい)。

青少年犯罪の潜入捜査専門の課,通称「21ジャンプストリート」署に所属することになった新人警官のシュミットとジェンコは,麻薬汚染が疑われる高校に「高校生」として潜入する!もうこの時点で笑える。なんで「21ジャンプストリート」かというと,隠れ蓑として,21番ジャンプ通りにある廃墟となった教会にこの捜査課(署)があるため。

全編,笑えます。アメリカンジョークなところも多いけど(アメリカ人は下ネタ好きだね~),でも,高校生の突き抜けた(無意味な)アホさってこういう感じだよね,というど真ん中なギャグが爽やか。

カメオ出演で,テレビシリーズのときのコンビ,ジョニー・デップ(とピーター・デルイーズ)が登場!愛されてるなぁ。

★★★



2024年4月21日

カメの甲羅はあばら骨:人体で表す動物図鑑

川崎悟司 2019 SBビジュアル新書

代表的な動物の特徴を,特に骨格の観点から,人体で表現してみたらどうか,っていう本。そうすることで,その動物がどのように進化して今の形になったのか,いかに人類と異なるのかが良く分かる。なので,ただ単にヘンテコな動物人間の図鑑ではなくて,「構造」的な説明と「進化」的な説明がポイントになっている。面白かったです。

図鑑としての発想が極めてオリジナリティが高く面白いからか,なぜか映画化されてます。観る気は起きないですが。


2024年4月18日

絡新婦の理

京極夏彦 (2002) 講談社文庫

講談社ノベルズ版は,1996年刊。漠然としたイメージ(千葉県にある名門女学校が舞台)が残っているだけで,話の中身は全然覚えてませんでした。最後まで読み応えがありました。


2024年4月5日

誰でもわかる精神医学入門

東徹 2023 日経メディカル

これは非常に分かりやすい!精神科医療の実際(現場)が垣間見える実践的な知識を,分かりやすい文章と説明で伝えていて,非常に良書です。心理臨床家になろうとしている大学院生だとか,あるいはこれから臨床心理学を学ぼうとする学部生にとって,精神科医との観点(視点)やアプローチの仕方の違いを知る上で,良い本だと思います。非常に勉強になりました。

「精神医学」「統合失調症」「うつ病」などの全体像をまず知る上で,今まで自分が読んだ中で一番と言って良いほど分かりやすかった,という点で最適の入門書です。


2024年4月4日

ガンキャノン

ガンプラ8体目。シブいなぁ,ガンキャノン。

40年前,小学校の頃のガンプラブームでは,やっぱりガンダムが一番人気で,近所にあったおもちゃ屋「おもちゃのプリンス」でも,ガンプラマニアの大人や中高生・大学生なんかが早々に予約して持ってっちゃうもんだから,僕らのような素人のガキンチョが手に入れることができる連邦軍のモビルスーツは(つまり,店頭に残っているのは),ガンキャノンやガンダンク,それからジム,といった機体だった記憶があります。ガンダムやシャア専用ザクのような主役級ではない脇役。ガンダムよりちょっとカッコよくない。ガンダムの代わりで良いから欲しい。そんなノスタルジーを思い起こさせるガンキャノン。シブいなぁ。



オンライン講座「マインドフルネス入門:心理学的メカニズムから実践のコツまで」

日本ヘルスファウンデーション協会主催で,「マインドフルネス入門:心理学的メカニズムから実践のコツまで」というオンライン講座を5月26日(日)に開きます。マインドフルネスの基本的なメカニズムと,具体的な実践方法について解説します。

興味関心のある方,是非,ご参加ください。下記が予約サイトです。





2024年3月26日

ダークレイン

(原題:The Similars)(メキシコ,2015)

奇天烈映画。そうきたか~。エビ投げハイジャンプ魔球並みの超変化球。これは絶対,カルト映画化するぞ。もうしてるかもね(笑)。激しい雨が降りしきる深夜の,メキシコシティから5時間離れたバス・ステーションでのお話。「ダークレイン」は,話中に出てくるコミックマンガ。

ちなみに,日本公開用の映画ポスターは,あれは,よろしくない。中身を全然表してなくて,かえってチープなホラー映画のイメージにしちゃってる。あの,透明人間みたいな顔面包帯家族のポスターから想像するのとは全然違うぞ,この話。そもそも,この絵の中にいる四人は映画の登場人物と恰好が違うし,映画では包帯人間は一人だけだし,主要な登場人物は四人だけじゃないし(笑)。もったいない。ポスターが,この映画の本当の深い味わいを台無しにしています。

★★★





ニュー・オーダー

(原題:New Order)(メキシコ/フランス,2020)

近未来のメキシコ。貧富の差が激しくなり,国中で暴動が起こる。略奪・殺人が街を破壊する。無政府状態。貧困層の怒りが爆発し,破壊の限りを尽くす。そんな中,裕福な家で豪華な結婚パーティをしていたマリアンは,昔の使用人を助けたくてパーティの途中に街に出るが,暴動鎮圧をしている兵士に捕まる。助かったと思いきや,それは誘拐犯だった。誘拐された人々は拷問され,誘拐犯は身代金を要求する。かたや無政府状態を統治するために軍隊が出動し,徹底した管理の元で,ようやく秩序らしきものを取り戻す。マリアンの母は最初の暴動のときに殺され,父と兄とフィアンセは無事に生き残り,徐々に元の裕福な暮らしを取り戻している。しかし,マリアンはまだ見つからない。

・・・とまぁ,話のミソをネタバレしないように書いてるとややこしいので,とりあえず,観てみることをおススメします。最初は,何だこれ,こんなことあり得るのか,何がどうなってるんだ,と訝しく観ていましたが,しかし,たぶん,政府の統治機構が不安定な国なら,こういうことは十分あり得るのかもしれないなぁと思いました。そう思うと,ものすごく怖い。

★★★


2024年3月25日

シェイプ・オブ・ウォーター

(原題:The Shape of Water)(アメリカ,2017)

ようやく観ることができました。2017年って,もう,6~7年経ってるのか~。とても良い映画でした。ギレルモ・デル・トロ監督。鑑賞後にいろいろと回想すると,あれこれつながってくるので,味わい深い映画です。もう一度観ようと思う映画です。

★★★★


極楽征夷大将軍

垣根涼介 2023 文藝春秋

第169回直木賞。ようやく読みました。弟の直義と足利家家宰の高師直の視点が交互に繰り返されながら話は進む。流れのままに尊氏が征夷大将軍になるころぐらいまでが面白かった。まさに「極楽征夷大将軍」。ここまでで良かったんじゃない?

その後はもう,あいつが怒ったこいつが騙したあいつが敵だこいつが悪いあいつが死んだこいつが殺したのすっちゃかめっちゃかで,事あるごとに進撃して,くっ付いて離れて,合流して寝返っての,まぁ,同じようなパターンが続くだけ。で,後半はあんまり尊氏は出てこないし。

でも,日本史は中学校レベルの知識さえも薄れている素人の私としては,室町幕府(足利幕府)って,こうやって成立したんだ,と改めて色々知って,その点はたいへん面白かった。南北朝とか,やっぱり,学校で習うことって,興味関心がないとすっかり薄れますからね。歴史小説って,面白いし,勉強になります(無論,小説なので,虚実入り混じってると思いますが)。

ちなみに,プロフィールを見てちょっと驚き。垣根涼介氏は,筑波の人間学類心理学専攻出身みたいですね~。しかも卒論は社会心理学の研究室だそうで,5歳上だから,そうすると,堀研究室か?じゃあ,SさんとかIさんとかと同級か?いや,Kさんか?



2024年3月21日

ズゴック

ガンプラ7体目。量産型ズゴック。

HGUCの006番なので,発売はなんと1999年!最近出ているモデルは,パーツが細かかったり,裏側(内側)まで細かい造形が施されていたり,関節の動きがスムースだったりしますが,他のMSとは形がだいぶ違う「ズゴック」だからか,あるいはHGUCの初期発売のものだからか,相対的にパーツも少なく,作りも大雑把でした。数えたら今から四半世紀も前のプラモデルだからねぇ。そんなもんか。でも最終的な出来栄えは,悪くないです。


2024年3月15日

ガンダム

 ガンプラ6体目。今度は,連邦の白い悪魔。

実は,開封した時に「シール」をどこかに失くしてしまって,一部,カラーの欠けているところがあって,ちょっと残念。付属品はちゃんとチェックしよう~。



2024年3月12日

「差別」のしくみ

木村草太 2023 朝日選書

憲法学の視点から,夫婦別姓問題と同性婚問題を中心に,また,日米を比較しながら,差別のしくみを考える。こまかく分析していくと,何がどう差別なのかが,解けます。

あからさまな差別行為ではなくて,一見問題のないような言動だとか判断の中に,差別的な感情が含まれていることを知ることができます。その意味では,中島義道『差別感情の哲学』とも通じ,自分の言動や思考・判断の意味に,今以上に自覚的になることが必要だということを改めて感じました。


2024年3月5日

殺人者の記憶法

(原題:Memoir of A  Murderer)(韓国,2017)

また観ました。二回目観ると,またちょっと違った感じがします。細かいストーリーは意外と忘れていますね。ソル・ギョング,良い味出すなぁ。

しかし,アマプラですが,前に観た時と少し編集が違う(短く編集されている?)ような気もしないでもないけれど,どうなんでしょう。ちなみに『殺人者の記憶法 新しい記憶』というバージョンもあり,そっちはまだ観てません。観たい。

★★★★


インデペンデンス・デイ:リサージェンス

(Independence Day; Resurgence)(アメリカ,2016)

あのエイリアン侵略から地球を守った日から20年。またもやエイリアンが,さらなる巨大戦艦で地球に到来。人類,どうする?

20年前の懐かしの登場人物が再び登場。

★★★


2024年3月4日

SISU/シス 不死身の男

(原題:SISU)(フィンランド,2022)

最強ジジイVSナチス部隊。痛快アクション。舐めてたナチスがコテンパンにやられます。ちょっとグロいけど。

★★★


ギャン

ガンブラ5体目。マ・クベ大佐の搭乗機。

しかしほんと,今のガンプラは,実によくできている。組み立ても,素人に優しいし,最初から色は付いてるし,可動域を滑らかにするための工夫が随所になされているし,裏側とか細かいところとかまでよく装飾がなされてるし,組み立てる楽しさを高めるために,こんなところパーツに分ける必要あるの?っつうぐらいあえて細かくしてあったりして,ホント,すごいです。

40年前のガンプラに比べたら,もう,天と地の差だね。



2024年3月3日

インデペンデンス・デイ

(原題:Independence Day)(アメリカ,1996)

たしか公開当時に観たので,約30年前ですか。圧倒的な戦力と科学技術を持つエイリアンの侵略という人類最大の危機に対して,大統領以下一致団結して戦う。当時としては,超巨大な円盤型宇宙船に恐怖した覚えがあります。シールド(バリア)貼ってて,ミサイル攻撃なんかも一切効かないし。

ストーリーとしてはものすご~く単純ですが,観る方も単純に,大統領の演説に,勇敢に立ち向かう科学者やパイロットたちの姿に,思わず泣けてしまう。30年ぶりに観ましたが,やっぱり泣ける。俺も単純だな~。

思わず涙してしまうのは,なんだろうね,スポ根マンガ的なのかな,あるいは,寅さん的なのかな。自己犠牲的に戦う人の姿には,泣けるのか。

ただ映像的にはやっぱり,30年の月日は大きいかも。最近のSFは,映像的にもっとリアルですね。奥行とか,ディテールとか。4Kデジタルリマスターとかすると,もっと良い感じになるかも。人気の映画だから,リマスター版もあるんだろうね,たぶん。

★★★


2024年3月1日

暗数殺人

(原題:Dark Figure of Crime)(韓国,2019)

実話に基づいた話。殺人罪で捕まったカン・テオ(チュ・ジフン)。麻薬捜査中に会った刑事キム・ヒュンミン(キム・ユンソク)に,留置所での面会中,連続殺人を告白する。カン・テオは,留置所で使うための金や物を要求しながら,手がかりを小出しに与えるも,支離滅裂だったり曖昧だったり嘘だったり前言を撤回したり怒鳴ったり嘲笑ったりして,キム刑事を翻弄する。キム刑事は,わずかな手がかりを基に,粘り強く愚直に捜査を続ける。

★★★


越前宰相秀康

梓澤要 2013 文春文庫

単行本2011年刊。結城秀康の小説2冊目。秀康が辿った大筋や,ところどころのエピソードはだいたい同じですが,なぜそういう判断をしたのか,そのときどういう思いだったか,誰がどこにいるか(どこに出てくるか)などは,当然だけど小説だから両者で違いますね。

歴史的な事実や,話として伝えられているエピソードや,寺社の縁起なんかを総合して,そこから想像して,話をつなげて,物語として構成するわけだから,話のタネは点であり,その点と点をどうつなげていくかがその歴史小説の面白さなんだなということが,読み比べてみて改めて分かりました。その意味では,この梓澤本より大島本の方が面白かったかなぁ。

梓澤本は,大島本に比べて,相対的に,秀康とその周辺があまり不遇ではない。それなりに遇されています。大島本の方が,不遇さ故の屈折した秀康の心模様が描かれています。父・家康に対して屈折した思いを描いている点は同じですが,その原因となる不遇さ・不条理さが,大島本の方がはっきりしいているのに対して梓澤本の方はその辺が緩い。それなりに好待遇だから,なんでそんなに屈折するのかに対して説得力が弱い。

まぁしかし,一方で大島本の弱いところは,服部半蔵をキーマンに使いすぎて,理屈づけやつじつま合わせに,暗躍するこの忍者に頼り過ぎなところがある点かな。あと,もう一人のキーマンに,黒人の従者がずっと付いているだけど,これは大島本の創作なのかもしれない。まぁ,忍者や黒人が出てくるところが,ある意味,エンターテイメント性を重視した,より「小説」的な小説だから,大島本の方が読み応えがあって面白いのかも。

もう一冊,植松三千里氏のものも買ってあるので,そのうち,読みます。


2024年2月29日

ペパーミント・キャンディー

(原題:Pepermint Candy)(韓国/日本,1999)

うううん,なんとも切ないなぁ。

1999年,20年ぶりの同窓会のピクニックに,なぜかスーツで現れたキム・ヨンホ(ソル・ギョング)。一人,荒れに荒れて,自棄になって,やがて線路に立って,迫りくる列車の前に立ちはだかり,「帰りたい!」と叫ぶ。話はそこから,時間を少しずつ巻き戻りながら,キム・ヨンホの人生を回想していく。

弱くて優しくて寡黙で優柔不断で不器用で,その反動か鬱屈か,悶々として耐えきれずになって,やがて爆発して前後不覚に暴れ出す無軌道さ。ああ,なんでこうなってしまったんだ,俺の人生は何だったのか,一体どこで間違えたんだ。もう一度,あのときに,初恋の人に会った20年前のあのときのこの場所に戻りたい。

ソル・ギョング,いい役者だなぁ。ラスト,泣けるなぁ,切ないなぁ。

【追記】数週間後,また観ました。二度三度,観たくなる映画。ラストがもう,震える。

★★★★



Blank 13

(日本,2017)

監督・斎藤工。主演・高橋一生。実話に基づく話。

観た直後は,パッとしない感じでしたが,思い返すとジワジワ来ますね。

★★



2024年2月27日

Mr.ブルックス 完璧なる殺人鬼

(原題:Mr. Brooks)(アメリカ,2007)

会社を経営する金持ちで慈善家のブルックス氏(ケヴィン・コスナー)。奥さんと娘もいる。成功したビジネスマンだ。でも彼は,殺人依存症のシリアルキラー。依存症だからやめたいけどやめられない。捕まらないように殺人を行うための徹底ぶりは完璧。2年間我慢していたのに,また殺ってしまった。殺人場面を偶然目撃した,うだつの上がらなさそうな青年・自称スミス氏は,自分も殺人をしたいと,ブルックス氏に持ち掛ける。連続殺人を追う女刑事(デミ・ムーア)は,自分の離婚問題も抱えながら,少しずつ手がかりを辿る。

ちなみに,このブルックス氏には,「マーシャル」というおっさんのイマジナリーフレンドがいつも一緒にいてくれて,話し相手になってくれて,そそのかしたり,助言したり,一緒にバカ笑いしたりしてくれる。

これはストーリー展開も含めて,非常に面白い映画でした。無論,殺人はいけませんが,サイコキラー映画として,アタリです。観た方が良いよ。

★★★★


2024年2月26日

ローラーボール

(原題:Rollerball)(アメリカ,1975)

うううむ,なんだこれ。しかし,これって多分,けっこう有名な映画だと思うんで(2001年にリメイクもされてるしね),観てみましたが,イマイチよく分からん。中心となるストーリーの軸である「主人公はなぜか引退を迫られる」ってのを支える理由が最後までよく分からん。「管理社会になって平和になったから,人間は暴力を求めてる」ってメッセージは,まぁ,そういうことなんだろうけどね。主人公に引退を迫る理由が,結局,よく分からず終いなんだよね。「管理社会だから理由は教えない(永遠に謎)」とか「管理社会は結局,誰が管理してるか分からないから,誰の命令なのか分からない」とか,って無茶な理屈なわけ?いつか種明かしされるのかと思って最後まで観ましたが,よく分かりませんでした。消化不良。いいのかこれで。

唯一興味深かったのは,東京チーム。選手は皆,空手と合気道の使い手(笑)。応援するファンは正拳突き。ローラースケートを滑るときの東京チームも正拳突き。こんなに危ないゲームなのに,なぜか東京チームには眼鏡キャラが2名。鉢巻には「風」って書いてある。いいなぁ,この,コテコテの古典的日本(人)ステレオタイプ。

そういえば昔,「ローラーゲーム」ってのがあったよね。ああいう時代だよね。


結城秀康:秀吉と家康を父に持つ男

大島昌宏 1998 PHP文庫

NHK大河ドラマ『どうする家康』が非常に面白くて,普段ドラマなんて一切観ないのに,毎週楽しみにして観ていました(『冬のソナタ』以来)。ドラマには,名前のよく知っている者から知らない者までいろんな戦国武将が出てくるので,もうちょっと知りたいと思って『戦国武将伝』(東日本編,西日本編)なんてのも読んだりして,にわかに戦国武将に興味が湧いてます。

というのもやっぱり,NHKの大河ドラマなんかで出てくるエピソードは,史実に基づいていたり創作だったりするのでしょうが,きっと,そういう歴史モノを読んでいる(分かっている)人からすれば,史実か創作か区別がついて,史実に基づいていれば有名な場面だったりやりとりだったりするわけで,つまり,そういうのを知っていればさらにドラマや小説が楽しめることになります。知に広がりとつながりができる。縦糸と横糸が紡がれて鮮やかな模様が浮き出てくる。これこそまさに教養ですね。

歴史モノ自体,もともと興味関心はなかったので,この辺の知識は,中高の教科書レベルかそれ以下(なぜならすっかり忘れているから)だったので,改めて,「ふうん,なるほど~」と感心しています。やはり,歳を取ったから歴史に興味を持ち始める,というのも一つの要因ではないかとは思っています。なんだろうね,オッサンの歴史好き(笑)。

さてその『どうする家康』を見ていて,個人的にものすごく気になった人物が,この人,結城秀康です。私のような素人の知る歴史の表舞台には出てこないけれど,とんでもなく数奇な運命に翻弄されたこの人,一体どういう人生をどういう気持ちで過ごしたんだろうと,興味が湧きました。加えて,勤務する大学が小山にあるので,結城はすぐそばであって,それもまた何か興味をそそられる一因となりました。小山は,小山評定の小山ね。

歴史小説って,作者によって描き方は全然違うでしょう。たとえば,『どうする家康』だって,これ,松本潤さんが主演してるから綺麗に描かれてるけど,秀吉を主人公にしたら,まったくの悪人(腹黒い狸)に描かれたりするわけで,小説もドラマも,脚本によって全然違うことは明らかです。なので,「結城秀康」の歴史小説を,他に2冊買いました。これから読み比べてみるつもりです。


2024年2月23日

文庫版 鉄鼠の檻

京極夏彦 2001 講談社文庫

いやホント,完全にストーリーを忘れてます。こんな話だったっけ?なんとなく,場所だったり,場面や情景だったり,登場人物だったり,なんとなくざっくりと覚えているけど,さて,犯人は誰だっか,まったく覚えていないし,ははぁ,これはそういう話だったかと,30年弱たって読み直して,改めて思いました。

特に,仏教に関しては,まだあの頃はマインドフルネスはやってなかったから,禅についてはまったく無知でした。もちろん今だって禅が分かってるわけではないですが,あの頃よりは多少なりとも知識はあるかとは思います。だから,あの時読んだのと,今読んだのとでは,響き方が違ってるだろうなと思います。もはや比べようがないですが。

しかし,分厚いな~(笑)。5センチ強あります。でも,次の『絡新婦の理』ともう少し下って『邪魅の雫』が一番分厚そうだ。


2024年2月15日

光の旅人 K-PAX

(原題:K-PAX)(アメリカ,2001)

ようやく観ました。そっか~,こういう映画か~。最後まで目が離せませんでした。

★★★★


グフ

 ガンプラ4体目。いいね~。

ザクもいいけど,やっぱり,ザクとは違うよね~,ザクとはね~。



2024年2月11日

ノック 終末の訪問者

(原題:Knock at the Cabin)(アメリカ,2023)

監督はM・ナイト・シャマラン。『シックス・センス』『アンブレイカブル』『ヴィジット』『ミスター・ガラス』のナイト・シャマランなのになんで評価が低いのかと思ってましたが,なるほど,これ,ものすごく後味が悪いんですわ。あまりにも理不尽な状況が続いて手に汗握るけど,でもね~,これってどうなのよ。展開も結末も,納得いかんのよ,なんとなく(笑)。キリスト教圏の人はこれで納得するんかね。まったく共感できん。でも,理不尽さが気持ち悪いぐらいヤバすぎて手に汗握ったから★2つ。

★★



2024年2月10日

ブレア・ウィッチ・プロジェクト

(原題:The Blair Witch Project)(アメリカ,1999)

POV映画,あるいはモキュメンタリ―映画を有名にさせた傑作。と知りながら今まで観たことがなかったので,アマプラで観ました。いやぁ,怖いわ,確かに。

出演はほぼ全編,3人(冒頭何名かインタビューに答えてるけど)。撮影場所はほぼ全編,森の中(最後に,荒れた家)。ほとんどお金はかかってない。で,ここまで怖い。2024年の今観たら,この手の映画が多いからあんまりインパクトないですが,こりゃ,公開時はかなりインパクトあっただろうなぁ。

★★★


2024年2月8日

差別感情の哲学

中島義道 2015 講談社文庫

本書は,2009年に出た単行本の文庫版である。どのような差別感情がどこに潜む(生じる)のか,私たちの心の中を徹底的に探る。自己批判的に,繊細に,考える。


2024年2月1日

ナチスは「良いこと」もしたのか?

小野寺拓也・田野大輔 2023 岩波ブックレット

リベラルアーツの必読書。これを読まずしてナチスを語るなかれ。平易な文章で分かりやすく書かれているし,ロジカルかつコンパクトにまとまっていて,本当に素晴らしい良書です。


2024年1月30日

キングスマン

(原題:Kingsman: The secret service)(イギリス,2014)

コテコテのスパイコメディ。観たいと思っていた映画の一つで,ようやく観ました。一部,「なめてた相手が」映画でもある。近接格闘シーンは圧巻。ただ,ストーリー的には,ご都合主義のてんこ盛り。でもそれはコテコテのパロディだから,意図的なんだろうね。そこ含めて,アクションやギミックやバカバカしいほどの壮大なスケールを楽しめるかどうか,だね。

★★


2024年1月29日

ザクⅡ

やっぱりザクⅡだね。1/144ガンプラ3体目。しぶいね~。




2024年1月25日

自殺帳

春日武彦 2023 晶文社

なぜ自殺するのか。自殺する理由についてあれこれ思いを巡らせた春日節の本。自殺した本人は一体何を考えて自殺に至るのか,あるいは,どういう状況・文脈で自ら命を絶つのか。数々の小説や患者のケースも踏まえながら考えてみた,という本。自殺に関する本なので読んでいてだんだん欝々としてきますが(笑),自殺というものすごくインパクトのある行為についての本質的な理解を深める素材となるという意味で,とても良い本だと思います。


2024年1月21日

パッチギ!

 (日本,2004)

「パッチギ」=頭突き。ようやく観ました。良かった。在日韓国・朝鮮人,日本と朝鮮(韓国・北朝鮮)との関係を改めて考えさせられる,観た方が良い映画。

しかし,高岡蒼佑と沢尻エリカ,すごく良いのにね。もったいない。塩谷瞬は良かったけど,特に印象的なのは桐谷健太。脇役だけど,なんだろうあのキャラクターの異様な濃さ。目が奪われます。

★★★


2024年1月15日

文庫版 狂骨の夢

京極夏彦 2000 講談社文庫

文庫版は,「本文レイアウトに合わせて大幅な加筆訂正がなされて」いるそうです。さすが京極,レイアウトへのこだわりはノベルズ版でもしてるから,こっちでもしてるだろうなと思っていましたが,わざわざそのために「大幅な加筆訂正」してるのか~(どこがどう加筆訂正されてるのか,当然わかんないですけど)。仕事が細かいねぇ。


2024年1月8日

M3GAN/ミーガン

(原題:M3GAN)(アメリカ,2022)

子ども型アンドロイド(お友達ロボット)「ミーガン」の暴走。これを今時の深層学習するAIで成立させる。話はシンプル。最後は『ターミネーター』的ホラー。「未来のアンドロイド」としての出来(造形)も違和感なし。おもちゃ会社に勤めるロボット開発者のジェマは,事故で両親を亡くした姪っ子に,開発中の「ミーガン」を与える。

ただ,妙なJホラーな動き(四つん這いで走ったり,貞子っぽくコキコキクネクネ動いたり)は文脈的に不要だと思うけどね。キモさを出そうとする意味では,まぁ,キモいけど,どうせやるなら,なにか独自路線のキモさ(例えば,首とか腕とか足とかがくるくると高速に回るとか,目玉や顔がバグって動くとか,くだらないけどキモい感じ)を追求すれば良かったかなぁ。途中の,殺人前のダンスは,良かったです。ああいうところ,もっと伸ばそうよ。

しかも,主人公でミーガン開発者のジェマは,この後,法的にはいろいろと問題が発生して,ただでは済まないような気がします。

★★


2024年1月7日

見えざる手のある風景

(原題:Landscape with invisible hand)(アメリカ,2023)

支配,搾取,生活,自由。姿形も生態も言語も文化もまったく異なる異星人に侵略・占領された近未来の地球。

他国に占領されたり,全体主義的に管理されたりするのって,たぶん,こういう理不尽さなんだろうなぁ。それでもそこに住んでいる人は,生きていかざるを得ないわけで,隣国から侵攻されたり,国家に管理されたりしてる人々は,なんとか生きていくためになりふり構っていられないんだろうなぁ。

なんだか辛い気持ちになりますが,しかし,本作の主人公アダム(アサンテ・ブラック)は,そんな世界でも自分らしさを失うことなく,生きていく。

★★★★


2024年1月5日

アビリティ 特殊能力を得た男

(原題:DOE)(アメリカ,2018)

いやぁ,これは面白かった。一体どこへ向かってるんだと,観ながらハラハラドキドキする。真実に迫っていく謎解きが面白い。あるとき公園のベンチで気がついたら,過去の記憶(エピソード記憶)が一切ないにも関わらず,何十か国もの言語を話せる能力を有していた。身分証明書もなく,過去に関わる一切の手がかりもなかった男,ジョン・ハットンは,言語学と法言語学の博士号を取得し,大学で言語学の教授をし,妻と娘と幸せな家庭を築いていた。

しかし,ある日,大学での講義が終わると,不審な男がゆっくり近づいてきて,「俺にはスーパーコンピュータ並みの数学の特殊能力がある。お前と同じ,8年前に気が付いたら,それまでの一切の記憶がなかった。理由を教えてやる」と。

主演のティモシー・デイヴィスは,この作品の他には『疑惑の金メダリスト』って映画しか検索で引っ掛からないけど,味のある顔の,良い感じの俳優です。他にも出てそうなのに,意外。

原題の「DOE」とは,はて,どういう意味だろうと調べてみたところ,いろんな意味がありますが,これはたぶん,「身元不明人」のことを指していると思われます。日本語だといわゆる「名無しの権兵衛」っていうやつで,英語では,これをJohn Doe(ジョン・ドウ)というらしい。女性ならJane Doe(ジェーン・ドウ)となるわけね。なるほど~,それでDOEね。

★★★★



エイリアン:コヴェナント

(原題:Alian: Covenant)(アメリカ,2017)

『プロメテウス』の続編。2時間を感じさせない面白さ。『プロメテウス』は,キャラ設定や展開が全体的に薄くて何だか平板な作品だったけど,こっちはけっこう面白かった。展開も飽きさせず,スピーディー。

★★★


2024年1月4日

バーバリアン

(原題:Barbarian)(アメリカ,2022)

なかなか怖い。雨の降る夜,テス(ジョージナ・キャンベル)が予約していた民泊?の一軒家に着くと,そこにはすでに泊まっている男(ビル・スカルスガルド)がいた。早々にビル・スカルスガルドが出てくるので,これが悪いやつなのか良いやつなのか,観る側のそんな勘繰りはすっかり置き去りにして,恐ろしいことになります。

★★★


2024年1月2日

DUNE/デューン 砂の惑星

(原題:Dune: Part One)(アメリカ,2020)

ようやく観ました。これは,二部作の一作目。2024年3月にPart Twoが公開されるそうです。『デューン/砂の惑星』といえば,ディヴィット・リンチ監督,カイル・マクラクラン主演の1984年の方を思い出しますが,そっちの方は(たぶん)観たことある(と思う)けど,なんだか説明の少ない複雑な話で,内容をよく覚えてませんでした。巨大なサンドワームと,荘厳だけど異様な雰囲気だけ印象に残ってます。

で,こっち。監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ,主演はティモシー・シャラメ(美男子!)。ドゥニ・ヴェルヌーヴといえば,『メッセージ』『ブレードランナー2049』。話も展開も絵も良かった。ストーリーも別にそんなにやたらと複雑でもないし(おおむね理解できる範囲),出てくるいろいろなギミックや装飾も良いし,スケール感もあるし。しかし,まぁ長いといえば長い。155分。でも,その長さをあんまり感じさせない面白さは十分あります。

Part Twoはいよいよ,ハルコンネン軍とその裏にいる帝国軍との全面戦争,ということでしょうか。今回のPart Oneは,だから,話としては中途半端なところで終わってます。

★★★★