2021年10月30日

寅さんの「日本」を歩く 寅さんの聖地探訪大事典

岡村直樹 2019 天夢人

「男はつらいよ」シリーズが好きな人は,最初から最後まで読み飽きません。著者は,映画評論家ではなくて,旅行作家(旅に関する著述家?)です。なので,全体としては著者の旅行記(日本各地の訪問記)なのですが,寅さんが映画の中で訪れた先について,映画の中のシーンと著者自身の知識とが絡んで,単なる映画解説に留まらない内容になっています。

旅行作家が本業とは言っても,「寅さん」ファンならず評論家として深い知識とデータを持っているので,映画シリーズそのものの情報から,映画に出てくる時代背景やアイテムに関する情報まで,ふんだんに込められています。

僕も「男はつらいよ」シリーズは昔から好きで,映画館には行ったことはないのですが,テレビで放映しているときは結構好んで観ていました。ここ最近はBSテレ東が土曜日の夜に全作放映しているので,撮りためては観たりしています。それでも,今回,この本を読んで,ああ,この作品はまだ観てないな,というのが数本ありました。48作もあれば,そりゃ,抜けてるのもありますよね。そんな,「まだ観てない」寅さんを,いずれ観たいと思っています。



2021年10月26日

ディレクターズカット/ブレード・ランナー 最終版 

(原題:Blade Runner: The Director's Cut)(アメリカ,1992)

1982年公開の「ブレード・ランナー」は,いくつかのバージョンがありますが,このディレクターズカット版が,リドリー・スコット監督の描きたかったバージョンだということで<最終版>となってます。他には,<完全版>とか<ファイナルカット>とかありますね。この<最終版>は,主人公デッカード(ハリソン・フォード)のモノローグを削除,デッカードの見るユニコーンの夢の挿入,エンディングの変更,などが他のバージョンとの違いです。

なぜブレード・ランナーを突然久し振りに観たかというと,今やっている後期の授業「心理学的映画論」の課題映画にしているからです。今週の授業で取り上げるので,改めて観てみた,というわけです。



2021年10月18日

1手ずつ解説!さばきの感覚が身につく棋譜並べ上達法 振り飛車編

佐藤慎一 2020 マイナビ出版

振り飛車の感覚というか,全体的な流れの感覚を掴みたくて買いました。タイトル通り,1手ずつ一言説明が付いていて,初心者にとっては非常に親切な本です。今の棋力の自分にはちょうど良い振り飛車解説書でした。

そもそもなぜこれを買おうと思ったかというと,いわゆる「棋譜並べ」というのが楽しそうだなと思って,実際に,NHKの「将棋講座」を買ってNHK杯の一局の棋譜並べをしてみたら,これが予想通り楽しかったために,であれば,振り飛車の棋譜集でも買ってみようと思ったのが始まりです。

もう一つ,定跡の解説書だと,どんどん枝分かれしていって,こうなったらこう,ああなったらこうと解説されていく,あの説明方法に疲れてしまいます。ある程度は知っておかないとそもそも将棋が分からないので,いくつかは読みました。ただ,人間は物理的に並列処理はできません。著者が定跡の分岐をいろいろと説明しようと思ったらその並列的な分岐を直列でしか説明できないわけで,こればっかりは仕方がありません。その点,棋譜並べは当然一本で流れていくので,行ったり来たり分かれたりしません。棋譜並べは好き嫌いがあるようですが,現段階の私はこれの方が好きです。将棋は趣味なので,強くはなりたいですが,無理して頑張るのも本末転倒なので,好きな方法で勉強しようと思うわけです。

それで,いきなり格好を付けて,鈴木大介プロの『中飛車名局集』なんぞを買ってみましたが,字は小さいわ(老眼にはきつい),解説は専門的だわ(初心者にはきつい)で,かなり手強かったので,まずは初級中の初級,1手ずつ説明しているこの棋譜集に辿り着いた,という次第です。棋譜並べをしてみたいけど,あまりにも専門的な本は読みづらい,という方にはオススメだと思います。

なお,同じ佐藤プロによる前著『1手ずつ解説!将棋の筋が良くなる棋譜並べ上達法』というものもあります。こちらは特に戦法を特定していませんので,まだ買っていません。とりあえず,振り飛車を徹底的に勉強したいなと思っています。とにかく初心者ですから,一つ戦法を決めて,それで色々と将棋のイロハを勉強するのが良いかなと思うからです。

戸辺プロの攻める中飛車が見ていてとっても気持ちよい戦い方なので,これは良いぞ!と最初,ある程度勉強してやってみましたが,思うに,攻める先手中飛車は,高度だと思います。差しこなすのは難しい。あれは中級者以上でしょう。各交換型の振り飛車なので,相手に攻め込まれるし,逆に手持ちの角をどう使って攻めたら良いかも見極めが難しいので,実際にアプリ(CPU)相手に指しても,なかなかうまくいきません。

これに対して,やっぱり,角交換しない振り飛車,ノーマル(クラシック,ベーシック)振り飛車が,初心者には向いていると思います。角交換はせず,無難にまずは美濃囲い。しっかり囲ってから,飛車を振った筋からじっくり崩していく。まずはやっぱりこれだと思って,今は「四間飛車」を勉強しています。

ああ,強くなりたいね~。将棋。


2021年10月15日

瞑想でたどる仏教:心と身体を観察する

箕輪顕量 2021 NHK出版

「NHKこころの時代:宗教・人生」のテキスト。テレビ番組のテキストなので(その番組自体は見ていないですが),分かりやすい文章と,それほど多くない分量で,読みやすかったです。

ブッダが起こした仏教の歴史に沿って,様々な時代,様々な地域で行われた仏教実践を,「心身の観察」という視点で読み解いた本です。結論としては,時代と地域で変容は遂げつつも,究極的には,いつのどこの仏教実践も様々な形で「止」や「観」が行われてきた,というものです。



2021年10月8日

1手ずつ解説する四間飛車

西田拓也 2020 マイナビ出版

「1手ずつ解説する先手中飛車」と同じシリーズ(「四間飛車」の方が先)。だいたい1ページ2~4手ずつ進めて1手ずつ意味を説明するので,非常に分かりやすい。将棋の手はすべて意味があるわけで,意味のない手はない!(無論,相手の出方を見たり,間を取ったりする手として戦局にほとんど関係の無い手を指すことはあると思いますが,それとて,「出方を見る手」「間を取る手」であり,意味があります)。

と偉そうなことを書いていますが,なるほど,この本を読めばそういう意味があるのかといろいろと発見がありました。一見関係なさそうだったり,意味が分からなかったりする手も,こうして丁寧に説明されると良く分かります。四間飛車というのがどういう方向性と戦略をもった形なのか,その入口が分かりました。

数手ずつの説明でもなかなか難しかったですが,何冊か読んでいる内に,盤上で駒を並べなくても段々分かるようになってきました。とポジティブに感じるのですが,しかし,それはもしかしたら,これの前に読んだ同シリーズ「先手中飛車」(戸辺誠著)の方がただ単に難しかったのか(中級者向け?),それとも,一般論として四間飛車の方が中飛車よりも分かりやすいのか,その辺はよく分かりません。

ただ,子どものように,とにかく何局も指して実戦で感覚を養うというパワーはないので,定跡書や棋譜並べや詰将棋で地道に勉強しながら少しずつ棋力を上げていく方が五十歳にはちょうど良いし,これがまた妙に面白い。

ちなみに,解説しているのは,角交換しないノーマルな(クラシックな,ベーシックな)四間飛車です。初心者である僕はまずここから。



2021年10月5日

1手ずつ解説する先手中飛車

戸辺誠 2021 マイナビ出版

戸辺流中飛車の戸辺誠プロの,先手番中飛車の本。2~5手ずつページが進み,その1手ずつ解説しているので,その点は初心者には親切。ただ,初心者にとっては,3手以上進むだけで盤上の駒運びが分からなくなるから,難しいときがある。1手1ページ解説が一番親切なんだろうけれど,そうすると,購買層が本当に自分のようなずぶの素人ばかりで売り上げが伸びない。となると,それなりに指せる中級者ぐらいまで手応えのある本を,と考えるとこのぐらいが限界でしょうか。

なので初心者にとっては,内容的には濃い。相手の出方によって何通りにも分岐するので,それを理解して展開を追いかけるのもなかなか至難の業。ただし,序盤から中盤までの展開の解説であって,「この辺までは先手優勢なので,あとは上手いこと優位に進めてね」というところまで。

とりあえず,まずは分かりやすそうな中飛車から手順や定跡をざっくり覚えて,この後,振り飛車(特に四間飛車)を勉強してみようと思っています。展開によって両方使えるように。



2021年10月2日

攻めて強くなる戸辺流中飛車

戸辺誠 2017 ルーク

「戸辺攻め」戸辺誠プロの中飛車解説本。DVD付き。というか,DVDがメインと言っても良いです。とりあえず,私のような初心者でもそれなりに指せる戦型はないかと色々と模索した結果,振り飛車でも特に「中飛車」はやりやすいかもしれない(なぜなら,振り飛車の場合,囲いは美濃囲いで手数が掛からないし,飛車先を伸ばして攻め崩す戦略はシンプルだけど破壊力があるから),という結論に至り,その中飛車で有名な戸辺プロの本書を買ってみました。

DVDがメインなので,初心者にはものすごく分かりやすくて良いです。というのも,本を読みながら理解するよりも,戸辺プロが大盤で説明しながら進めるので,具体的な駒の動きも記憶に残りやすく,分かった感じがするからです(「分かった感じ」と書いたのは,やっぱり,さすがに一度観ただけでは身につかないわけで,何度も見直す必要があることは確かです)。

なお,本の方も1手から3手の問題形式で並んでいて分かりやすいですが,「超」初心者である私にとっては,3手予想するだけでも結構負荷が高いので,本の方はとりあえず,DVDで学んだことの復習(確認)程度の扱いで良いのではないかと思います。

中飛車はすでに色々と攻略法が研究されているので,将棋を知っている人相手には,私のようなビギナー中飛車はなかなか通用しないと思いますが,それでも,戸辺プロや鈴木大介プロのような,中飛車を極めてプロでも活躍する人がいるわけですから,それなりに使いこなせば通用するのではないかと,そんな未来を描いています。ただ,そうは言っても,たぶん中飛車にこだわり過ぎると自滅するので,今は,他の振り飛車(三間飛車,四間飛車)の戦法も勉強して,臨機応変に使えるようになれば,と思っています。

(居飛車は,矢倉に囲んだりしてる内に,モタモタしてやられてしまうという,なんとも歯がゆい思いを繰り返してすぐ頭打ちになったので,自分のせっかちな性格として,まずは「攻め重視の振り飛車」を身に付けようかと,そんなことを目論んでいます)

というわけで,この本も,「超」初心者向けの良書(良DVD)ということで,オススメです。



全戦法対応 将棋・基本定跡ガイド

長岡裕也 2017 マイナビ出版

最近将棋を本格的に(?)やり始めたのですが(もちろん,始めたばかりなので,まったく全然まだ強くありません),本書は,基本的な戦型(居飛車,振り飛車)の,それぞれの序盤の駒組みの流れを知る上で,ものすごく分かりやすい本です。一手形式の問題集の形になっているので,その一手の意味や説明(なぜこの順番で駒組みするのか,もし相手がこう来たらこうする,とか)が,丁寧に書かれています。

私のような,小学生以来,久し振りに将棋を指し始めました(並べ方や動かし方ぐらいしか知らない),という人には,たいへん価値のある,良い本です。

というのも,他にも戦型や定跡を解説した本はいくらでもあるのですが,展開が数十手まとめて書いてあったり(この場合,まず棋譜並べ的に手をなぞらないと良く分からないし,なぞった上で読んでも,何をどう打ったか忘れてしまってイマイチ要点が飲み込めない),盤上の位置(筋と段)を表す数字ばかりが並んでいたり,専門用語(?)ばかりでちんぷんかんぷんだったり,と言う本が結構多い,と思うからです。やっぱり,「超」のつく初級の私のような「超」初心者は,まずは,こういう,初手から一手ずつ懇切丁寧に説明している解説書が,とっつきやすいと感じています。

この本を読んで,序盤をどう進めていったら良いか,そしてそれぞれの戦法の方向性や思想が,おおまかに分かりました。「超」初心者にオススメです。