2023年2月28日

リトル・モンスターズ

(原題:Little Monsters)(イギリス/オーストラリア/アメリカ,2019)

園児たちが遠足に行った先でゾンビに襲われる。キャロライン先生と,下心から遠足に付き添ったデヴィッド(園児の一人フェリックスのおじさんで,売れないロッカー)は,園児たちを守るために奮闘する。

★★★


2023年2月20日

リピーテッド

(原題:Before I go to sleep)(アメリカ/イギリス/フランス/スウェーデン,2014)

原題を直訳すれば,『眠ってしまう前に』でしょうか。その方が良いような気もします。いや確かに,『リピーテッド』でも内容を表してはいますが。

過去20年ぐらいの記憶を喪失してしまい(逆行性健忘),毎日起きてから寝るまでの1日しか記憶が続かない(前向性健忘),40歳ぐらいのクリスティーン(ニコール・キッドマン)。毎朝目が覚めると,過去20年分の記憶を失っている状態で目が覚める。隣には見知らぬ男が寝ている。彼は,夫のベンだという。ベンは,自分がクリスティーンという名前で,どういう症状なのかを説明する。

ベンが出勤すると,電話がかかってくる。医師のナッシュという男から,クローゼットの奥にしまってあるカメラの動画を見ろと言われる。そこには自分がカメラに向かって語る姿が映っていた。

設定は面白い。『メメント』に近いか(『メメント』のように複雑に時間が逆行しないから,そこまでややこしくはない)。ループ設定という点では『オール・ユー・ニード・イズ・キル』にも近い。真犯人は誰だ。

★★


2023年2月13日

ANIARA アニアーラ

(原題:Aniara)(スウェーデン/デンマーク,2018)

環境破壊により人類は火星へと次々に移住する時代。地球から火星へと向かう定期便である巨大宇宙船アニアーラは,いつものように3週間の航行に出た。巨大宇宙船には21ものレストランがあり,デパートやホールやバッティングセンターまである。地球よ,さようなら。さあ,みなさん,3週間の優雅な旅をお楽しみください。

だがしかし,順調に思えた航行中,宇宙デブリとの衝突を避けるために航路を変えたところ,わずかなデブリが燃料タンクに衝突,そのまま制御不能となり,火星とはまったく違う方向へとひたすら進むことに。その先進路を変えるあてもなく,ひたすら宇宙の果てまで航行することになる。

いやぁ,なかなかいい感じの変な映画でした。

食料や電力など資源はそこそこあるけれど,しかし,永遠にあるわけじゃなし。いつかその資源も枯渇するであろう中で,外を見ればそこは深淵の暗闇。何千人もの人々を乗せた巨大宇宙船は,暗闇の中をひたすら突き進む。何年も何十年も・・・・。こうして宇宙船に閉じ込められていることを「囚人」だと思い,そこから解放されることを求め,かたや宗教を生み出して神に願い,かたや現実的な技術を考えて少しでも癒しを求め,一方で,希望をなくして自ら命を絶つ人もいる。

でもこれは,今現在,我々がいるこの地球のアナロジーであり(ありきたりな喩えでいえば「宇宙船地球号」か!),その地球上の今ここにいる私は永遠にここにしかいないのだから,どこかにいつか行くわけでもなく,死ぬまでずっとここにいるのだ。つまりは,私は今,巨大宇宙船アニアーラに乗っているのと同じなのだ。

ではなぜ,どこへとも知れずひたすら宇宙をつきすすむ巨大宇宙船だとこんなに絶望的になるのだろうか。行先なんてないところ,資源もいつか枯渇するところは,地球とアニアーラと,なんら違いはないのにね。

★★★★


2023年2月12日

書楼弔堂 待宵

京極夏彦 2023 集英社

弔堂シリーズ3冊目。いつもながら面白い。なお,これを読む前に,京極の『ヒトごろし』を読んだ方が良いでしょう。


うつ病になってマンガが描けなくなりました 発病編

相原コージ 2022 双葉社

かの相原コージ氏が,「大うつ病」(うつ病性障害群)になってマンガが描けなくなった体験をマンガに。ただ言葉でなくマンガで,しかも当の本人が表現しているので,うつ病になったときの内面が非常にリアルに描かれていると感じます。うつ病っていうのは,こういう感じなんだなと。次は「入院編」がそのうち出るらしいので,絶対に買います。



2023年2月6日

第9地区

(原題:District 9)(アメリカ/ニュージーランド,2009)

なんとなくまた観たくて観ました。

★★★


2023年2月5日

オーウェル『1984』を漫画で読む

ジョージ・オーウェル(文)フィド・ネスティ(編・絵)田内志文(訳) 2022 いそっぷ社

読み応えありました。ロシアがウクライナを侵略している今こそ読むべき,オーウェルのディストピア小説『1984』の漫画版。思想統制されている全体主義の国はこんな感じなのだろうという恐怖を抱かずにはいられません。

実は,原作小説そのものは読んだことはなく,映画の『1984』は観たことがありました。映画は非常に良かった。今回このグラフィック・ノベルを読んで,これが原作を忠実に表現しているのだとしたら,映画もかなり原作を表現していると思いました。あるいは,絵を描いているフィド・ネスティも,映画版『1984』を大いに意識しているように思えますが,役者の田内氏は小説『1984』の日本語版(2021)を翻訳しているので,原作に忠実なのだと思います。



2023年2月2日

私はすでに死んでいる:ゆがんだ<自己>を生み出す脳

アニル・アナンサスワーミー(著)藤井留美(訳)春日武彦(解説) (2018) 紀伊国屋書店

コタール症候群,認知症,身体完全性同一性障害,統合失調症,離人症,自閉症スペクトラム障害,体外離脱・ドッペルゲンガー,恍惚てんかん。非常に面白かった。ポイントは,身体感覚,つまり脳部位としては「島皮質」。意識,自己,私の話。

神経科学者のような専門家が書いた本じゃなくて,科学ジャーナリスト(科学ライター)が取材して書いた本だから,あくまで一般の人にとって分かる範囲の用語や説明で書かれていて,読んでいて安心です。神経科学的な説明にあまり深入りはしません。専門家の書く本は時に,専門的に説明が微に入り細に入り,よく理解できない(難解すぎる)ことがありますが,この本はそんなことはありませんでした。


2023年2月1日

ザ・ウェーブ

(原題:The Wave)(アメリカ,2019)

また変な映画を観てしまった。保険会社で働く真面目な弁護士フランクは,大きな手柄になりそうな案件を見つけて,前祝に友人とバーへ。その流れでパーティに行くと,妙な男に変なドラッグを飲まされ,そこから支離滅裂で訳の分からないことに。

言いたいことは,なんとなく分かったような分からないような。フランクが辿り着いた答えが最後,イマイチよく分からなかったけど,でも,まぁ,全体にヘンテコで面白い。

『テネット』より予算的には二桁か三桁いやもしかしたらもっと違うんじゃないかと思うけど,これはこれで妙ちくりんで好きです。

★★