2023年11月4日

法律版 悪魔の辞典

大西洋一 2021 学陽書房

まぁ,全体的には面白かったです。法曹の世界のややマニアックな話。

勝手なステレオタイプ的な想像で,こういう,シニカルなことを書くような人のイメージとして,見た目は中年のむさくるしけど老獪な親父風で,屁理屈を理屈で通す,でも頑固過ぎて弁護士業務ではあんまり儲かっていない,そんな濃いキャラをイメージして途中まで楽しく読み進めていましたが,ふと気になって,ネットでどんな年齢のどんな顔の人なのか見てみたら,な~んだ,普通に二枚目のイイ男ぢゃねぇか(※)。しかもたぶん,やり手の弁護士なんだろうなぁ。で,やり手の二枚目だと分かった途端,ちょっと楽しくなくなりました。なんだろうね,これ(笑)。

※・・・良く見たら,本の最後の著者紹介のところに写真が載ってました。

二枚目が毒舌を吐くのは,それはそれで別に良いんだけど,二枚目なんだからわざわざ毒舌吐かなくても良いのに,と思う節があって,その背景には,毒舌を聞くのがある種の快楽だとすれば,その快楽をもたらしてくれる人は,その人が毒舌を吐きたくなるような報われない人でなければならない,そういう人が吐くから聞く側が快楽となる,というような偏見の構図が(少なくとも僕の中には)あるからな気もします。古くはビートたけしや最近ではウエストランド井口みたいにね。つまり,二枚目として報われている人が毒を吐いても,聞く側はあんまり笑えない,なぜなら単なる嫌味に聞こえるから,でしょうか。だって,「やり手」の「二枚目」の「弁護士」ですよ。

と,本の中身とは関係ないところでいろいろ思いが広がる本でした。いや,この人の書いていること,実際,一つ一つ,面白いですよ。視点も冷静で客観的で説得的だし。だから,法律的な観点から見た,シニカルなエッセイなんか書いたら,売れるんじゃないかな~。僕は買いますよ,買います。



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