2021年5月4日

いのちが目覚める原初のヨーガ:解説と実技

塩澤賢一(2021)新泉社

ヨーガとは本来,こういうものです,というのが分かる本です。ヨーガ(ここではハタヨーガ)が何をしているもので,何を目指しているのか,何を味噌としているのかが,対話形式で書かれています。対話は,ライターの高山リョウさん(塩澤師の弟子でもある)が聞き手となって,丁寧に進んでいきます。

特に聞き手である高山さんが,忌憚のない,正直な質問(すなわち,ヨーガを教える立場ではなく教わる立場としての質問)を,塩澤師に投げ返すことで,丁寧に一つ一つ解説されていくのは,読者にとって親切です。

本書の構成は,この,対話部分と,対話で出てきた動作に関する実技部分でなっています。さらには解説動画も手に入れることができますから,本のイラストだけでは分からない動作は解説動画で補えます。

個人的に特に参考になったのは呼吸とマントラについてです。「オーン(オウム)」を改めて考えて,実際にやってみる機会になりましたし,「スーハム」の話はとても参考になりました。ヨーガのリズム,呼吸のリズム,呼息と吸息の間の意味,プラーナの話,仙骨の話,いずれも興味深いものばかりです。「意識を向けたところにプラーナが集まる」というのは,気功における気の話と同じなので,東洋的な身体技法の共通点ですね。

実技の中から,やってみたいと思うものを,毎朝の稽古に取り入れて早速やっています。アメリカ的?なフィットネス的な現代ヨガ(「ヨーガ」ではなく「ヨガ」)ではない,インド伝統の本来のヨーガに触れたい人,垣間見たい人,自分も少しやってみたい人には,一読に値する絶対オススメの本だと思います。


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