2020年11月5日

蹬脚

 太極拳(中国武術)には,「蹬脚(とうきゃく)」という蹴り技(蹴り方)があります。英語で言えば,Heel Kickになります。日本語に訳せば,「かかと蹴り」でしょうか。


太極拳の場合,この蹬脚を「ゆっくり」行います。非常に難しい。まず,脚が上がらないし,上げたところで保てません。一つには筋力の問題だと思うし,一つにはコツ(身体の使い方)だと思います。力と技の両方ですね。

膝がなかなか良くならないのは,太ももとお尻,要するに腰周りから下半身にかけての筋力不足のせいだろうと思い(僕はどちらかというと脚が細い),何か良い方法はないだろうかと考えていました。単純にスクワットとかのような,いわゆる「筋トレ」は大嫌いです。

そこで,空手の「前蹴り」を太極拳の蹬脚のように「ゆっくり」とやってみようと思い立ち,ここ1ヶ月ぐらい,毎朝やっています。これがなかなか,良い。想像以上に鍛えられている感じがします。

膝が悪いのにスクワットとかすると膝に負担が掛かって余計に痛くなります。水泳や水中ウォーキングでも,結局,膝に負担がかかるので,痛くなります。膝の痛みを無くすために筋トレをすると余計に痛くなるという悪循環。そこで,いかに膝に負担を掛けないで下半身の筋力強化をするか,しかも,楽しく強化するかを考えて,「蹬脚的前蹴り」に辿り着きました。タイチー空手です。

太極拳の蹬脚のように斜め横方向に蹴り出すと,軸足の膝がねじれて痛いので,僕の場合は素直に空手の前蹴りが自然でした。人によって身体の構造は若干違いますから,軸足に対してどちらの方向に蹴り出すのが自然かは,人それぞれだと思います。試してみたい方は,自分の身体と相談しながらやってみてください。


なお,空手の前蹴りですが,稔真門では,つまり,小林先生や西田先生の教えでは,蹬脚のようにかかとを出して蹴ります。かかとで蹴るわけではありません。前蹴りとは,かかとを出すように蹴り跳ねることで,足先(上足底)によって急所を下から蹴り上げる技だからです。

相手との距離が遠ければ,足首を伸ばして甲で蹴っても良いですが,伸ばして蹴ると足の指先や足首を痛める可能性があります。ですから,基本的には上足底で下から金的を蹴り上げる。これが前蹴りです。

一般的には足首を伸ばして上足底で中段や上段に蹴り込むような前蹴りを習うのだと思いますが,それはそれで間違ってはいないと思います。ただ,我が稔真門では,かかとを出す感じで蹴ります。それも決して金的(急所)より上を狙うことはありません。護身的な実戦を考えれば,必然的な結論ですね。


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