2020年11月3日

エリジウム

(原題:Elysium)(アメリカ,2013)

富裕層は無菌的に守られた豊かなスペース・コロニー「エリジウム」に住み,貧困層は荒廃した劣悪な環境の地球に住む。こういう設定は良くあるし,個人的には好きだけど,この映画はなんというか,全体的に薄っぺらい。

主演はマッチョなマット・デイモンなのに,格闘技的なマニアックなアクションはほとんどないに等しい。もったいない。致死量を超える放射能を被曝してふらふらなのに(余命五日!),神経につなぐパワードスーツで改造されると,会話も表情も動きも元通り。監督としては敵となる殺し屋を暴力的で変態的で危険な人間に描こうとしているのだろうだけど,そのためか,この殺し屋の殺し方が,敵を爆死させたり刀で切ったり,というグロな方法。シンプルすぎ。ちなみに自分も顔が吹っ飛ぶ(けど,科学の力で復活。おいおい)。

エリジウムの映像は美しいし,宇宙都市は良く出来ている。それに地球の荒廃ぶりも良く描かれている。だけど,どうやって経済が成り立っているのかがイマイチ分からない。やっぱり,地球の貧困層が搾取されている,的な描写や説明は初めの段階でもっと必要かも。

他にも,地上から撃った携帯型ミサイルで宇宙を飛んでいるシャトルを打ち落とすとか,簡単に(10数分で?)シャトルでスペース・コロニーと地球を行き来できてしまうとか,極めて重要な人物が地球にいて簡単に襲撃可能な工場の庭から護衛もほとんどなくシャトルで出発するとか,ノートパソコン一つで結構サクサクとコロニーの中を侵入できちゃうとか,とにかく,全体を通してちょっと気になるご都合主義が多すぎるね。


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