笠尾楊柳(恭二)先生の著書,「太極拳に学ぶ身体操作の知恵」(BABジャパン)を読んだ。2009年の本。もうすでに多くの太極拳家や武術家が読んでいるんだと思う。
随所に良いことが書いてある。書評にも書いたけれど,太極拳をやる人はもとより,武術をやる人は,読めばどこか一つはきっとためになる。そんな本です。
僕がここは良いなと思ったところの一つが,ゆっくり動くことの利点。緩慢に動くことで,分析的に技を練ることができる,と言う話。技の起こりから極まるところまで,丁寧に練ることができるので,その中で動きの無駄を削っていき,技を精錬させていくことができる。
そう。その通りなのだ。この感覚が今まで上手く言葉にできなかったのだけれど,こうして言葉にされていて,とても納得。そう。これはマインドフルネスなのだ。
太極拳はだから,マインドフルに分析的な武術なのです。全身の身体感覚の微細な流れに万遍なく意識を向けた,高度に分析的な身体修練法なのですね。
空手もだから,サンチンの感じで,ナイファンチを練るのも良い。サンチンも,締めないでやってみる。テンショウもゆっくりやる。スピードやリズムを変えてみる。粘るように練ったり,力を抜いて動作したり。あれこれやってみる。
空手には他にもたくさん形があって,それぞれに良いけれど,突き詰めるほどに,他には要らない気がする。原理的に極まっているこの3つ,結局この3つで良い気がする。この3つの形を,いろいろなリズムやスピードで分析的に稽古する。それだけで十分楽しいし,それだけで武術的にも十分な気がする。
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