2022年1月23日

アド・アストラ

(原題:AD ASTRA)(アメリカ,2019)

宇宙飛行士のロイ(ブラッド・ピット)は,地球外生命体を探しに太陽系の果てまで行って消息を絶った父(トミー・リー・ジョーンズ)を探しに,宇宙へと旅立つ。

宇宙時代の近未来の設定や描写はイケてます。しかし,各所にツッコミ処満載(というか,説明不足?科学的整合性の荒さ?が目立つ)。テーマも,親子の葛藤で,ひねりもない。月面上の略奪者の目的は(何の目的で攻撃してくるの)?途中で救難信号出してた実験宇宙船の意味は(特に深い意味はない,物語上,必要か)?この他,父の元まで辿り着くための冒険を演出するために,ピンチが散りばめられるのですが,その必然性や収束性があんまりなくて,ただ散りばめただけ,って感じ。火星の地下研究所の所長は火星で生まれて火星で育ったって言ってるけど,火星に学校(所長になるぐらい高等教育を受けられるところ)とかあるわけ?父はどうやって何十年も宇宙の果ての宇宙船で生きられるんだ?帰りだって何十日もかかるのに食事や排泄はどうなってるんだ?などなどいっぱい。

物語の中でしょっちゅう「心理検査(psychologial test)」を行いますが,これは全編通して,情緒的な安定が宇宙旅行(ひいては近未来社会)には常に必要であり,逆に不安定な情緒は危険やリスクを伴うので薬物を使ってでも調整する必要がある,というメッセージになってます。この映画の主人公ロイも,今まで感情を押し殺して生きてきました,でも本当は悲しみや怒りや愛を感じたいし表現したい,というのがテーマです。が,これもまぁ,よくある話。つまり,「心理検査」と言いながら,情緒(感情状態)の安定性ですから,むしろ「感情検査(emotional test)」と言った方が合ってます。「心理=感情」です。(映画の中でも,セリフでemotional stateと言ってるし)

0 件のコメント:

コメントを投稿