2021年1月8日

感情とは何か:プラトンからアーレントまで

清水真木 2014 ちくま新書

「感情の哲学史」を狙ったものですが,著者の狙いは,単に感情をテーマにした哲学思想を網羅的に順番に並べることではなくて,感情を哲学のテーマに据える場合に,「感情とは何か」というものをどのように問うのが良いのかという視点から洗い直すことにあります。

そもそも感情とは何かという問いを発するとき,私のような心理学者の発想は「感情の科学」の発想であるのに対して,著者はこれと「感情の哲学」との違いを浮き彫りにします。その意味でも,非常に合点のいく話が続いていて,線を引きドッグイヤーを付ける箇所がやたら増えてしまいました。感情研究する上で,心理学者も読んでいた方が良いと思います。

ただ,これは私の理解力の問題もありますが,一番肝心の「情動主義」を語る第二章の途中,「良い」「悪い」といった価値判断との関わりの辺りから,段々と話が一体どこに着地しようとするのか分からなくなり(話もときどき脱線気味?),読むのにちょっと難儀しました。


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