2021年1月6日

ゲット・アウト

(原題:Get Out)(アメリカ,2017)

ヤバい映画を観てしまいました。一度観た後,すぐにもう一度,早送りで観直してしまいました(録画なので)。それぐらいとんでもない映画でした。

才能豊かなプロカメラマンである優しげで知的な黒人青年・クリス。彼が白人の彼女・ローズの実家に行く(要するに,彼氏として紹介される),という出だしです。黒人青年が白人の彼女の実家に行く,というのはなかなかそれだけでハードルが高そうです。なので,アメリカの黒人差別の問題をテーマにしていることは間違いありません。ただそういう,観ていて居心地の悪い差別問題を扱ったエピソードが続く社会派映画なのかなと思いきや,話はだんだん不気味な,奇妙な,不穏な方向に流れていきます。だから,この映画はできればあんまり先入観(事前情報)なく観た方が良いです。この前の『マンディンゴ』とは全く逆。

白人彼女の実家アーミテージ家の家政婦・ジョジーナ(黒人)がもう,メチャクチャ不気味です(その演技は秀逸。マジで怖すぎる)。男の管理人・マーカス(黒人)もどことなく挙動不審。白人彼女の母親も,その表情がまるで霞がかかっているかのように分かりにくい。これ,映像的なエフェクトなのかと思うぐらい,表情が分からない目をしている,そういう顔した俳優さんです。そういう人を起用しているところが監督の凄さかも。精神科医である母親は,いったい何を考えているか分からず,それでいて心の奥まで見通している様子です。その一方で父親は分かりやすい,フランクで博識で若々しく物わかりが良く知的な,スティーブ・ジョブズ的人物。弟はちょっとアホっぽい差別主義的な道楽息子。嫌だろうね,親類家族にこういうヤツがいると。

実家に訪れてまもなく,近所の人たち(ただ,彼女の実家は森の奥なので,一番近い家が湖の反対側らしい)を集めてのパーティが開催されます。集まってくる住人達は主に白人(と一人だけアジア人と一人だけ黒人)。みんな礼儀正しいし,笑顔でクリスを迎えてくれます。でも,話しかける内容がどことなくちょっと妙なのです。

映画のタイトルの意味は途中で分かります。映画を観る前は,「白人コミュニティから出て行け!」という意味かと思っていましたが・・・。怖い映画ってのはこういう映画だと思った,そういう作品です。

★★★★



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