2021年6月9日

世界の心理学 50の名著

T・バトラー=ボートン(著)米谷敬一(訳) 2019 ディスカバー・トゥエンティワン

現代心理学に大きな影響を与えている,あるいは,心理学に関連して一般に広く売れている本を,著者の観点から50冊,紹介している本です。各本とも,著者の略歴,社会的な位置づけや評価,味噌を押さえた内容の解説,心理学的な位置づけや評価と,コンパクトにまとめられていて,飽きさせません。

要するにブックガイドなのですが,数ページでまとめるには難しいであろう本を,社会的学問的位置づけととともに上手にまとめられていると思います。600ページもある分厚い本ですが,読んでいてホント,飽きませんでした。

たぶん,日本語訳が良いのだと思います。誤字脱字はありませんでしたし,日本語としてもこなれていて,翻訳であることを忘れる,良い訳でした。訳書は本当に,訳者の力量が重要です。

なお,50冊を選んでいるわけですが,心理学における重要な本がたったの50冊であるわけはなく,あくまで著者の独断です。選んでいる基準は,上にも書きましたが,研究上大きな影響を与えている本か,ベストセラーなど一般に売れている本です。僕なら,今思いつくだけでも,アントニオ・ダマシオとか,ポール・エクマンとか,ジョン・カバット=ジンとかの本も入れても良いと思いますが,入ってません。

ざっと,有名どころの本をなぞるには,良い本です。

【追記】研究室の本棚を見ると,おや?同じようなタイトルの本が・・・。2008年に『世界の心理学 50の名著 エッセンスを学ぶ』というのが同社から出ていました。つまり,10数年前に同じものを買って読んでました(笑)。面白そうだと思う本は片っ端から買っているので,ときどきこういうことがありますね。中身を見ると,内容は同じですが,新しい方は紹介している本の並べ方を変えて,内容ごとにまとまりを作っていました。確かにこの方が読みやすいです。


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