2021年6月15日

近現代日本の民間精神療法:不可視なエネルギーの諸相

栗田秀彦・塚田穂高・吉永進一(編)(2019)国書刊行会

ここでいう「精神療法」というのは,19世紀後半から20世紀前半(明治から第二次世界大戦終戦)にかけて発展・流行した「霊術・療術」のことです。系譜としては,呼吸法・催眠術・ニューソートなどが入り交じった諸技法であり,洋の東西を往復して混交していく様子がありありと伝わってきます。なるほどそういう歴史があったのか。

10編の論文と,このテーマに関わる人物史とその詳細な著作ガイドが載っていますので,研究書として非常に価値が高いです。このテーマに興味関心のある人,特に身体技法・心身技法をやっている人は,読んでおいた方が良いでしょう。私も非常に勉強になりました。

今でこそマインドフルネスとか瞑想とかが比較的一般にも浸透していますが,これを語る上では,我が国における大きな歴史的流れとして,この辺りの代替医療(非現代西洋医学的なアプローチ)の歴史も踏まえておいた方が良いと,改めて思いました。


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