2021年8月14日

IT/イット THE END ”それ”が見えたら,終わり。

(原題:IT: Chapter Two)(アメリカ,2019)

27年前の田舎町デリー。”ルーザーズ”の少年たちは勇気を振り絞り,団結してペニーワイズを倒した。今度またペニーワイズが現れたら必ず戻ってきて倒すと約束したルーザーズ。27年経ち,デリーに残ったマイクから,かつてのルーザーズたちに電話が入る。「あれ(IT)が再び現れた」。かつての事件はすっかり忘れて大人になったルーザーズの面々は再会を喜ぶが,それぞれの仕事や家庭もあって,再び現れたITの恐怖におののき,逃げ出したくなる。

キモい。もう,キモ描写は,前作を上回ってます。グロいとかおぞましいというよりは,「キモくて恐い」がぴったりでしょう。非日常的なピエロ(クラウン)が日常では不気味で薄気味悪いのはその通りであり,テレビシリーズを編集した1990年の『IT』はそういう不気味さが秀逸だったわけで(一度観たら忘れられない),前作の『IT/イット』(2017年)もどちらかというとそういう不気味さを踏襲していたと思います。しかし,今回の”第2章”は,それに「キモさ」をこれでもかというぐらい盛った作品になってます。

キモさは,魔物の造形,魔物の動き,登場の仕方などなど,とにかく色々とキモい。ゴア描写とか人体破壊とかはほとんどない。現実がどこで非現実となるのか,その境目は曖昧だ。お化け屋敷は恐いけど,出てくるお化けが本物だったり,ビックリ仕掛けが現実だったりしたら,とんでもなく恐い。そんな,リアルお化け屋敷と化した故郷で,ルーザーズの面々はそれぞれ,自分の昔の(思い出したくない)記憶を辿る。

ただ,ペニーワイズは恐いんだけど生身の人間も恐いんだよというメッセージなのか,デリーという田舎町の閉鎖性を示唆するメッセージなのか,魔物とは(ほぼ)関係なく,人が人を襲う要素が2つ入っている。個人的には,これは必要ないかもしれない(この要素を排除して編集したものを観ることはできないので,なんとも言えないですが)。

あと,最後は当然ペニーワイズと対決するわけですが,そこんところは凶悪な魔物との最終決戦ということでドタバタのアクション映画風になってしまっているのは,クライマックスとしてどうしても避けがたいんでしょうね。それがダメだというわけではないですが,せっかくキモい描写てんこ盛りのキモ映画として良い感じで来たのだから,最後の最後までキモさで勝負して欲しかった。

★★★


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