2021年8月30日

ヒトラーを殺し,その後ビッグフットを殺した男

(原題:The man who killed Hitler and then the Bigfoot)(アメリカ,2018)

その白髪のじいさんは後悔していた。名前はカルヴィン(サム・エリオット)。自分の人生を深く悔いていた。

帽子屋を営んでいた彼は,第二次世界大戦中,ロシアから徒歩で単独ドイツに侵入し,ナチス総統ヒトラーを暗殺するという特殊任務を母国アメリカ政府から受け,従軍する。何カ国語も操る高い知能と語学力,着実にターゲットを捜し出す根気と情報収集力,そしてどんな環境でもサバイブする勇気と行動力で,見事に任務を完遂した。彼は,実質的に第二次大戦を終結させアメリカを勝利に導いた伝説的暗殺兵となったが,しかし,そのために最愛の人と離ればなれになり,生涯独身のまま,冴えない人生を送っている。白髪頭を鏡でみる度に,自分が老いたことをつくづく痛感し,自分は一体何のために生きてきたんだと,昔を思い出しながら後悔していた。

物語は,老人となった現在,若い頃の過去(最愛の人との思い出と第二次世界大戦での従軍)を回想して,今と昔を行ったり来たりしながら進んでいく。あのとき従軍してヒトラーを暗殺したことで最愛の人と一緒になれなかったと,ガッツリ後悔し続ける。

そんなカルヴィン老人に突然,アメリカのCIAとカナダ政府の特使がやってくる。「ビッグフットを狩ってくれ」。理由は,カナダの森に生息するビッグフットが致死性の病原体を保菌していて,鳥類以外の動物がことごとく死滅しているからだ。ワクチンができるまでに国家的な壊滅状態になりかねない。アメリカに侵入しそうな場合には,カナダに核を落とすことになっている。軍保管の血液情報から,カルヴィンにはこの病原体への免疫があることが分かり,かつ,ヒトラーを暗殺したレジェンドであることから,白羽の矢が立ったのだ。

今更そんなことを依頼されてもと断るカルヴィン。「人間はそうそう変われないのだ」と,弟のエドに諭されるカルヴィン。さて,どうする?

冒頭から何度も右足の靴に何かが引っかかっているのが気になってしょうがないのだが,どうしても取れない。でも,映画の最後,気になっていたそれがやっと取れる。

ヘンテコなタイトルだから,マニアックなB級映画を覚悟して,つまらなかったら途中で観るのを止めればいいやと思って観始めましたが,全体にスタイリッシュな映像で,無駄がなく,割と良い映画でした。

★★★


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