2021年8月22日

デッド・ドント・ダイ

(原題:The Dead Don't Die)(アメリカ,2019)

映画の中で流れるカントリー調の陽気な歌は,本物のカントリー歌手スタージル・シンプソンが歌う"The Dead Don't Die"。南極の掘削工事で地軸が微妙にずれたためか,世界各地で奇妙な現象が起き始める。田舎町のセンターヴィルも同様,屍体が動き出すゾンビ化が起こり,じわじわと町中がパニックに落ちていく。

しかし,なんだこのグダグダな感じは。署長のクリフ(ビル・マーレイ)と巡査のロニー(アダム・ドライヴァー)は,まったりとパトロールしながら,「もう夜なのに,明るすぎないか?」「コーヒーとドーナツ買って帰るか?」「もう夜だし,寝れないからコーヒーはやめとく」とか,のんきにどうでも良い話をしている。翌日,ダイナーで二人の惨殺屍体を見て,ロニーが「これはゾンビの仕業だ」と断言するところから,ヘンテコな話になっていく。

少年院の子ども達だとか,森に住むホームレスだとか,葬儀屋の怪しい女主人(ティルダ・スウィントン)だとか,都会からドライブに来た若者達だとか,いろいろ関係あるようなないようなエピソードが散りばめられつつ,いずれも回収されないグダグダな感じは,これ,わざとなんだろうなぁ。つまり,現実に起こったらこんなもんでしょう,世の中,基本的には関係のないことが同時並列的に起こっていて,それがときどき交錯するわけで,映画のような整合性のある因果関係ばかりじゃない,せいぜい緩やかな縁でつながってる,ってことなのかな。いや,分からないけど(笑)。

ロニー(アダム・ドライヴァー)が『スター・ウォーズ』のスター・デストロイヤーのキーホルダーを自分の車の鍵に付けていて,それを葬儀屋の女主人が「あなた,スター・ウォーズのファンなのね」と指摘して,ロニーが「ああ,そのとおり」と答える場面で,これはメタ映画なんだとはっきりしました。

でも,なんでこんな映画撮ったんだろう。ただ撮っただけ?撮りたかった?豪華俳優と豪華メイキャップと豪華CGと豪華主題歌による,詰めの甘い高校生脚本の自主映画,って感じです。


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