2022年4月22日

怒りの哲学:正しい「怒り」は存在するか

アグネス・カラード他 (2021) ニュートンプレス

「怒り」に関する哲学者の議論。カラードは,例え不正に対する怒り(道徳性を回復しようとする感情)でも,怒りであれば常に非道徳性(悪意や復讐心)が含まれる。つまり,道徳性を求めるための非道徳性は必要であり,悪意や復讐心は当然必要な合理的なものである,としている。

これに対して,いろんな立場からいろんなことをいろんな人が述べている本です。「怒り」という感情にまとわりつく様々な観念について,あるいは様々な現象や行為に絡む「怒り」という感情について考えることで,「怒り」とは何かが浮き彫りになる。

「怒り」に関する哲学は,歴史的に見ても断片的には色々なされてきたと思いますが,こうして一つの本としてまとまったものは今までなかったと思います。なので,たいへん良い勉強になりました。


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