2022年2月16日

ケーキの切れない非行少年たち

宮口幸治(2019)新潮新書

ようやく読みました。話題を呼んだ新書だったので,すぐ読めば良かったのですが,なかなか機会がなく,ようやく手に入れてようやく読みました。司法犯罪関係に進みたい臨床家志望の学生,教育関係に進みたい臨床家や教師志望の学生は,これは読んでおいた方が良い必読書です。

私も二度ほど少年院を見学させてもらったことがありますが,教官の先生たちの説明も含めて,本書に書いてあることはまさに真実なのだと思います。本書にも出てくる「少年院とは教育の敗北」であるという言葉は,実際,私が少年院を訪れたときの実感でした。

少年らは好き好んで,この壁のある管理された場所に管理された状態で長期間いるわけではありません。誰だって自由が良いに決まっています。もちろん犯罪行為や虞犯行為の原因をその本人に帰属させることもできますが,構造的には,社会によってここにいることになってしまった,つまり,少年らはある意味で大人の犠牲者のように思えてなりませんでした。

私は小学校や中学校の教師でもないし,司法矯正領域の臨床家でもありませんから,直接何らかのアプローチをすることはできませんが,それでも,将来教師や臨床家になろうという学生に,こういう,読みやすくてリアリティがあって現場でもきっと役に立つ本を紹介していきたいと思う,そんな本です。


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