2022年2月16日

MORTAL モータル

(原題:Motral)(ノルウェー,2020)

これは面白かった。タイトルでもあるmortalは,第一義的には「死ぬべき運命の」「致命的な」ですが,第二義的には,死ぬべき運命にある「人間(の)」を意味しています。映画の冒頭に,「mortal=human being(名詞)」と辞書的定義が写されます。だから,モータルと聞いて,まぁ,映画やゲームが好きな人は「モータル・コンバット」がすぐ思い浮かぶかもしれないのですが(この「モータル」は第一義の方の意味でしょう),本作の「モータル」は「人間(の)」の方です。

自然豊かなノルウェーの山奥をさまようホームレス然とした青年。何やら火傷のような傷を負ってひどく消耗しているけれど,とにかく人目を避けている。街まで降りて病院に侵入して薬とキャンディを盗むのだが,その帰り道に若者に絡まれる。しつこく絡む若者に「俺に触るな」と警告するも,触った若者は白目をむいて即死する。警察に逮捕された青年は塞ぎ込んだまま動かないが,若い臨床心理士クリスティーンが耳を傾けると,少しずつ事情を話し始まる。自分はアメリカ人で名前をエリックという。親戚の農場を訪ねにいったときから,近づくもの触れるものが皆焼け焦げてしまうという。

人間は,理解を超えたものに対して,恐怖と畏怖の念を抱く。いずれも愚かであり,また,いずれも自然である。mortalには,「死」の意味が色濃く,「地獄に落ちる」とか「恐ろしい」とかそういう意味合いも出てきます。「人」なんだけど,でも・・・そういう意味合いを込めてのタイトルでしょうね。

★★★

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