2021年3月14日

悪魔のいけにえ

(原題:The Texas Chain Saw Massacre)(アメリカ,1974)

観てしまった。とうとう観てしまいました。人体破壊などのグロい描写があんまり好きではないので,ホラー映画の金字塔という噂のこの映画は,なんたってチェーンソーですから,正直,観るのを避けていました。ですが,怖い物見たさでとうとう観てしまいました。

こりゃすごい映画です。やっぱり,最初にレザーフェイス登場場面が強烈にインパクトがあります。なんていうか,脅かそうとかビビらせようとか,そういう意図がまったくなく,あっさり出てきてあっという間にやってしまうその躊躇の無さが怖いです。さっきまでの日常が瞬間で凍りつきます。この急激な転換に,血の気が引きました。

だんだん不気味になっていくとか,だんだん怖くなっていくような,チラリズム的なぞくぞくするホラーではなくて,呼吸が止まって胃がキュッっとなって背筋が冷えるホラーです。この急展開とリアリティの高さは,BGMがないからですね。田舎町で非日常的な残酷殺人が行われている日常という違和感。非日常と日常の背景的なトーンが同じだから,人間にとって,誰にとっても,一寸先は闇なのだという怖さです。

84分ですから,短い映画です。120分もこの調子だったらえげつなすぎて耐えられません。ヒッチハイカー(次男)も不気味すぎる。コック(長男)もやばい。レザーフェイス(三男)は有名なので言わずもがな。チェーンソーをブインブイン言わせて振り回しながら追っかけてきます。なお,続編があって,もう一人兄弟がいるようです。

しかし,初めて観ましたが,今時の直接的な人体破壊シーンはありませんでした。でも十分痛さは伝わります。殺戮場面はこれぐらいで十分なのに,なんで直接的に残酷描写をする映画がけっこう多いんでしょうね。そういうのを観たい人がいるのは分かりますし,その方が物語としてインパクトがあるからでしょうか。むしろそういう描写をしないで同じぐらいのインパクトを与えるような工夫をした方が,映画として凄いと思うんですけどね。

なので,人体破壊描写がダメな人でも,ホラー映画の金字塔(名作)として,(変な言い方ですが)これは観ても大丈夫(?)だと思います。観る価値は大いにあります。

最後,赤い夕日が沈む中で,チェーンソーをブインブイン言わせて一人でグルグル回ってるレザーフェイスが切なくて怖い。

★★★


0 件のコメント:

コメントを投稿