2021年3月25日

アップグレード

(原題:Upgrade)(アメリカ,2018)

これまた凄い映画です。日常生活の機械化・自動化が進む近未来。アナログな旧型車の製造・修理を生業にしているグレイは,妻と一緒に客に車を納品した帰り道,自動運転の車が暴走して事故に遭い,おまけに怪しい集団に妻を殺され,自分も撃たれて全身麻痺になる。納品した車の主は機械産業のトップ企業の天才創業者で,新しく開発した神経接続チップ「ステム」を脊髄に埋め込めば,体を動かせるようになるかもしれないと言う。

果たしてチップを埋め込んだグレイは,自分で動けるようになる。しかし,ここからが問題だ。ある日,自宅にいると,どこからか声がするのだ。自分に話しかけてくる声の主はなんと,埋め込まれたチップ「ステム」だった。

ステムは,グレイにあれこれ提案してくる。妻を殺した犯人たちを捜そうと誘う。犯人の一人とはちあったとき,ただの機械工であるグレイはどうして良いか分からない。するとステムが提案する。自分に任せろ,自分に主導権を渡せと。すると突然,超人的な動きで犯人の男をボコボコにして殺してしまった。この辺りの殺戮描写は残酷でグロい。

本当は全身麻痺なのだが,ステムのおかげで日常生活どころから超人的なこともできるようになったグレイ。まさにアップグレードである。ただし,ステムが過剰に提案したり,過剰に行動して,グレイは徐々に自分が制御しているのか制御されているのかよく分からない状態になっていく。恐ろしい。ヤバい映画です。

機械化人間のメカも一つ一つグッとくるし,超人モードの時の格闘シーンも,ロボット的カンフーアクションでこれまたグッときます。新しい。製作はあのブラムハウス。ブラムハウスと言えば『ゲット・アウト』。『ゲット・アウト』と言えば,あの,家政婦役のベッティ・ガブリエルですが,この『アップグレード』にも,グレイの行動に疑問を抱いて追いかける刑事役で出てきます。顔(特に目)が特徴的な,一度観たら忘れられない,とても印象的な俳優です。

★★★


0 件のコメント:

コメントを投稿