2021年3月2日

ポゼッション

(原題:The Possession)(アメリカ・カナダ,2012)

少女はある日,ガレージセールで古めかしい木箱を見つける。その木箱には悪魔が住んでいた。悪魔に魅入られた少女は,少しずつ乗っ取られていく。菜食主義だった少女が,夜な夜な生肉に食らいつきます。ちなみに,「この映画は実話に基づいています」と最初にテロップで出ます。うへぇ。

いわゆる悪魔が憑依する話。憑依する相手は少女。ユダヤ教のエクソシストも登場する。だから『エクソシスト』と構造的には同じ。でも,『エクソシスト』ほどグチャグチャでドロドロした感じはない。何でだろう?あんまりドバドバ出たりゲロゲロ出したりしないからかも。悪魔の力は強力だけど,無力感に襲われるほど圧倒的でしつこいわけではない。だから当の少女が見てられないほど可哀想なことにはならない(それでも,かなり可哀想だけど)。

ただ,取り憑く相手に「住んでる」感じがものすご~く気持ち悪い。タイトルがpossessionだから,悪魔の箱を所有する,って意味なのかと思いましたが,身体の中に持ってる,って意味もあるだろうし,箱の中に入れている,って意味もあるでしょう。と,ここで単語の意味を調べてみたら,そもそも「悪魔が取り憑くこと」って意味もありました。これがタイトルの原義か。まぁあとは,大量の蛾ですね。そういえば『サスペリア』は蛆で,『来る』は芋虫でした。大量の。

90分の尺だからコンパクトに調えられていて,飽きさせない。悪魔の力は徐々に高まり,周りも徐々に「悪魔のしわざ」であることに気づいていく。ラストはちょっと予想できたけど,でも,まぁ,そうでなくちゃね,という具合に怖いです。家族,夫婦,親子がサブテーマになっていてその展開もほどほどにしつこくなくて良い。映像も全体的に白を基調としてスタイリッシュ。「低予算」映画らしいから,この映画,よくできてると思います。

★★★


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